常盤池・余水吐【4】

溜め池インデックスに戻る

現地撮影日:2016/6/23
記事公開日:2016/6/29
常盤池関連で続編記事を書くのは久し振りのことだ。あるいは当サイトの記事更新自体も珍しくなってしまっているかも知れない。最近は記事を充実するよりも今まで得てきた知見を煮詰めて形にする方に注力しているので。

さてこの記事を書こうとしている2016年現在の梅雨はかなりシビアである。まったくうんざりするほど雨の日が多い。6月中旬には九州や中国地方で水害が出たし、今現在も外は雨降りだ。そして週間予報もあまり芳しくない。
それでなくとも2015年から降水量が多いため常盤池はずっと高水位で推移してきている。以前、低水位調査なんてやっていたのが信じられない位だ。
特に今月22日の雨はかなり酷かった。かなり強い雨が長時間降り続き、宇部線はストップした。幸い翌日は梅雨の中休みを思わせる晴天となった。

こうした状況で、ある読者の方から常盤池の余水吐から豪快に水が流れているという報告を頂いた。以下はその方からショートメッセージ経由で送られてきた映像である。
承諾を頂いて寄せられた画像をリサイズし掲載しています


この画像にあわせて荒手を滝のように余剰水が流れ落ちる動画も送っていただいた。
最近高水位だったので溢れ出るであろうことは想像はついた。もっともいつ降り出すか分からない気まぐれ天気の中をリスク取って観に行く気もなかった。その翌日は雨の心配がなさそうな天気予報だったので、午後から観に行ってきた。

もう何度も紹介してきた本土手の張り出し桟橋歩道からの撮影である。
溢れ出ているのはここからも見えるとして、かなりの量のようだ。


近づく前からズーム撮影している。
流れ落ちた水が余水吐の底で泡立っている。水の音は張り出し歩道のところまでも届いていた。


次第に音が大きくなりやがて轟音の発生源となっている余水吐の真上に来た。
水量がもの凄い!


コンクリート製の余水吐の上を遙か越えて大量の水が流れ落ちていた。
余水吐の中へ落ち込む水の量が多く、底の部分が見えないほどだ。


自転車を歩道の外へ出して停め置き偵察を開始した。

偵察と言っても動ける場所が少ない。
普通に降りられていた場所まで池の水が押し寄せていた。


岸辺に生えている樹を手がかりに身を乗り出し余水吐全体をとらえたショット。
余水吐の天端から落ち込む水の厚みは十数センチ位ある。


今回も動画撮影しておいた。

[再生時間: 37秒]


これほどの余剰水が荒手を流れているならば、夫婦池へ落ち込むあの滝では壮観なことになっているのではないかと想像された。そこで自転車を押し歩きしつつ市道を横断して荒手の方へ向かった。


そして遊歩道を進むまでもなく先の方で水の落ちる音が聞こえ始めていたのだった。

(「常盤池・荒手【5】」へ続く)

総括記事では越流するのが稀なように書かれているが、それは記事制作を開始した2012年頃の話で、2014年あたりからは常盤池の水位が高めに推移し少しの雨でも頻繁に越流するようになっている。
そのすべてを観測しているわけではないが、時期を違えて余水吐の前を通りかかったとき越流している様子を撮影したものをここにまとめて掲載する。
《 過去の越流状況 》
2010年5月の撮影。
個人的には余水吐の越流を撮影した初めてのものとなる。


これ以降暫くは低水位期が続いていた。本土手周辺を含めて常盤池岸辺の低水位調査を頻繁に行ったのもこの頃である。
状況が変わり始めたのは2014年からのことと思われる。

2014年5月中旬。


2015年4月下旬。
4月に入った時点で水位は余水吐の上限付近に達していたことが分かっている。


2015年5月下旬。
頻繁に越流するからか、この1ヶ月の間に余水吐天端のスクリーンが引き揚げられている。


2015年6月中旬。
この頃になると余水吐からの越流はまったく珍しい現象ではなくなった。


2016年5月の撮影。
この記事での大量越流にもっとも近い時期の撮影である。


撮影はいずれも晴天で、前日あたりまで雨だった日の後に撮影している。2016年の越流量が際立って多いことが分かるだろう。

ホームに戻る