峠池【1】

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現地撮影日:2016/11/3
記事作成日:2016/11/6
霜降岳の後城を経て本城まで到達したものの、そこから先の道をよく覚えておらず仕方なく来た道を戻った。再び殺人的にきつい斜面を降りることで持世寺川の後城分岐まで戻ってきたとき既に午後3時を回っていた。しかしこの方面へ来ることはあまりないので、本来歩く予定であった持世寺コースを経て峠池方面に向かった。まだ訪れたことがなくどんな溜め池なのか見ておきたかったのである。

峠池まで至る持世寺コースと呼ばれる登山道は川沿いにどんどん山の奥へ向かう道なので、厳しいアップダウンはなく先の後城への登山道に比べたら楽勝である。ただ、かなりの距離があり眺めが変わらないため道中かなり退屈で、一体いつになったら池が見えるのだろうという気持ちになった。

溜め池を前にして登山道がちょっとした坂になる。堰堤部に上がるためで、先で視界が開けているようだからどうやら池に着いたと分かった。しかし初めて到達したときの眺望は、時間帯のせいでかなり厳しかった。

これが最初のショット。
いきなり厳しい逆光の洗礼である。


位置といい高度といい、辿り着いたとき太陽がジャストミートする位置にあった。カメラでは光に邪魔されて殆どわけが分からない状態だが、肉眼でもとても目を開けていられない位だった。このまま無造作に撮影するとまたカメラが白トビ病を誘発してしまうので、ISO80は固定したままで光量をマイナス方向に2段階補正した。[1]

それはそうと…いきなり堰堤でお出迎えしたのが円錐状に積まれたこれである。


ケルンである。(蹴るんじゃないよw
山岳では割と見慣れたものだが何でこんなところに…


それは溜め池の堰堤端に造られていて高さは私の背丈くらいあった。ケルンは山頂に自然の礫石を積み上げたものが多いが、ここのは何でもない登山道の途中でしかもセメントで塗り固められていた。かなり以前からあったようだ。文字などは記載されてなかったと思う。日照が強すぎて日の当たる部分以外調べようもなかった。

堰堤方向を撮影している。この方向にも登山道がある筈だ。
池がありながらカメラをその方向へ振れない。


せっかく溜め池へ来たのに満足な写真が一枚も撮れないって訳にもいかないので、太陽を回避できそうな場所を求めて堰堤の端へ向かった。
そこに余水吐があり、登山道は石橋で横切っていた。


何とまあ幅の細い石橋だ。
横向きになるとこんな塩梅だった。


橋を渡った先はかなり細い山道で、すぐに池側が茂みで隠された。この方向へ進んでも池への眺望は得られないと思い引き返した。

引き返す途中で池に近い茂みの中に何やら掲示板らしきものが出ているのを見つけた。


「注意」という文字が見えていたものの、その場所は完全に茂みで覆い尽くされ足下が地山なのか既に池の縁にあたるのかも分からず危険なので接近しなかった。
ズーム画像はこちら

再び石橋のところへ戻ってきたとき、今度は先よりも明瞭に読み取れる位置に札が下がっているのを見つけた。


太い梢を利用して石橋の幅がないから注意して歩くようにとの札がぶら下がっていた。


なるほど…私のようにケルンのある側から歩けば石橋が見えるが、持世寺分岐から下ってきたときは確かに橋は見えづらい。不用意にズンズン歩めば余水吐の開渠に落っこちてしまうだろう。

それはそうと、札に記載されている水利組合の名称が気になった。
高麗谷溜池水利組合となっている。


高麗谷溜池…さてそれは何だろう。手元にある資料ではそんな溜め池も谷の名称もない。しかしここに札が下がっている以上、この溜め池を含めた水利組合の名称だろう。もしかすると峠池とは近年の別称で、元は高麗谷溜池と呼ばれていたのだろうか。

石橋の上に立ち、きつい日射が及ばない方向へカメラを向けた。
堰堤からだとこのアングルしか確保できなかった。


この方角が南東になる。
遠浅になった幅広の入江が見えていた。


ズーム撮影する。
あの砂が堆積している場所まで行けば良い塩梅で撮影できるのだが…そこまで行く気力はなかった。


その入江がある方角にランドマークとなるものを見つけた。


山の上に立つ送電鉄塔である。
これは確か馬の背池の方へ向かっている鉄塔だ。最近架け替えられたので覚えている。


架け替えられたというのも(溜め池のジャンルながら些か送電鉄塔の話題になるのだが)恐らくは送電容量の増強だ。ワイヤが二導体になっている。このようなタイプは県外では割と普通に見られるが、市内の鉄塔ではここ数年の変化である。
鉄塔は山の景観を損ねるだけという見方もされがちだが、山歩きする場合には重要なランドマークとなる。普通に登山道を歩いている場合には確認用にされる程度だが、道を外れて山中を迷ってしまったときには時に運命を左右する。このため地理院地図でかつて送電鉄塔の経路が消去されたとき相当な批判があった。現在では元に戻されている。[2]

さて、西側から差し込む強烈な日光を避けつつ山の上へ聳える鉄塔をズーム撮影していたとき、枯れた樹木にしては奇妙に背の高い突出物を見つけていた。

あれは何だ?


上の写真ならある程度推察はつくが、現地ではファインダーを覗いただけでは異常に突出した枯れ木のように見えていた。どうも人工物のようだがこれは一体…?

(「峠池【2】」へ続く)
出典および編集追記:

1.登山道のように木々が鬱蒼と茂る中で木漏れ日が差し込むような環境では特に白トビ病を誘発しやすいので登山道の撮影は必要最小限にしか行っていない。去年の9月に末信コースを経て中城を訪れたとき酷い白トビ病が起きたのが最初である。

2. むしろ宇部興産(株)特別高圧線のように既に撤去されていても地図上ではなお表記されているものもある。

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