馬の背池・新堤【2】

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現地踏査日:2013/2/15
記事編集日:2013/4/4
(「馬の背池・新堤【1】」の続き)

常盤用水路の経路を探すという当初の目的から外れ、まったくの興味本位でどんどん山奥へ進んでいった挙げ句に偶然出会った小さな溜め池。初めて訪れた十数年前には問題なく行けたのに、その後まったく接近できなくなっていた。分岐点はなく、気が付けば溜め池を見下ろす高台まで到達してしまうのだった。

当時は藪を漕いで先に進む度胸はなかったから、ちゃんとした道があった筈だ。そこで面河内池の初回踏査を行った折りにその道を見つけて岸辺への到達を試みた。

結論としてこの溜め池へ向かう道はほぼ完全に失われていた。相当期間人の往来がなかったらしく、藪の中へある程度踏み込み、微かに見える水面を頼りに進む状態だった。
こうして得られた最初の眺めがこれである。


岸辺に到達した。
溜め池の喫水域付近で草が立ち枯れており、最近水位が上がったらしい。


この重なった大岩には見覚えがあった。
中山観音コースの真下あたりにある岩で、初めて訪れたときもカメラを向けた筈だ。


上池・下池と異なりこの溜め池の堰堤は自然の土のままだった。
一面に草が生えており、灌木も侵入している。


堰堤の中央に樋管が設置されている。これは高台からも確認できていた。


樋管はコンクリート製でもの凄く古い。円筒形ではなく上部がドーム状に湾曲していて側面は平坦だ。


初めて訪れたときも樋管は確認していた。しかしカメラでは撮影していなかった。


現在も機能しており水が流れ落ちる音が聞こえていた。


さて、溜め池本体の方だが…
周囲は200m程度で堰堤から岸辺を一通り見渡せる程度の大きさである。 最近雨が降って水位が変動して間もないからか、透明度はそれほど高くはなかった。


堰堤の端まで歩いてきた。
水位が上がっているせいか、岸辺を辿って歩けそうな余地はまったくない。


この真後ろ側、池の右岸側の堰堤が下流側に切れ込んでいた。
そのことから余水吐があることに初めて気が付いた。


樋管からの出水が追いつかなくなったときの走水路である。
初めて訪れた十数年前のときから樋管の存在には気付いていたが、余水吐は気付かなかった。


石積みはいつの時代のものだろうかと思われる程に古めかしい。


もう片側の石積みは著しく草木に覆われていてよほど近づかなければ石積みの存在からして分からない。


走水路には著しく落ち葉が堆積し、低木まで生えていて先がどうなっているかさすがに追跡する気が起きなかった。

右岸側から堰堤を撮影している。
ちょっと離れただけで樋管すら見えなくなる程に草が生えていた。


樋管の元まで戻った。
等間隔に空けられた穴は、木栓で塞がれているようにも落ち葉で自然に詰まってしまったようにも見えた。この状況からして、最近は殆ど栓の抜き差しは行われていないようだ。


十数年前に来たときのアングルを思い浮かべつつ撮影している。
2つ重なったあの大岩が印象的で、そこを捉えつつ撮影したはずだ。


ここからは直接見えないが、あの大岩の上方に生えている木々の背後に前回見下ろした岩の高台がある。
池の水面からの高低差は10m以上あると思う。


十数年前に来たときもこの重なった大岩にカメラを向けたものだった。


取るに足りない名前すら分からない小さな溜め池だが、こうして十数年振りに訪れ撮影できたのは僥倖だった。


堰堤へ到達するのに道はなかった。しかしそれは腑に落ちない。では十数年前は何処をどう通って来たのか?
自分のことながら不思議だ。

再び来た藪の中へ戻り、失われる前の道がないか少し調べてみた。

(「馬の背池・新堤【3】」へ続く)

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