馬の背池【1】

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現地踏査日:2013/2/15
記事編集日:2013/3/19
以下は、初めて馬の背上池を訪れたときの踏査レポートである。当初、馬の背上池の概要記事として作成していたのだが、この最近は主要スポットの写真を並べての解説ばかりで臨場感に欠けることと、上池では探検的内容に値する写真が結構撮影できたので、久し振りに踏査の時系列に沿った探検的記事として作成しようと思った。
あまりにも辞書的な記事が目立ち退屈かも知れないという自戒と読者の気持ちも先読みしていたりする^^;

なお、本編は踏査記録なのでプロセス重視であちこち歩き回り、溜め池とは無関係で雑多な写真も掲載している。また、馬の背上池と下池は堰堤部分で接していて後半部分には下池の内容を含んでいる。それ故に記事タイトルも馬の背池として連載記事に仕立てている。上池の概略のみ知りたい読者は、今後作成される予定の総括記事を参照されたい。

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馬の背下池の踏査は、2月の連休を利用した11日に行っていた。溜め池自体は秀麗だったが堰堤からしか眺めることができず、また天候も今ひとつだったために撮影枚数が少なく、総論的な記事にならざるを得なかった。
その翌週の中日、平日の昼間からこの方面に出向く用事があり、一仕事終えた後に場所が分かっているがまだ訪れていない上池へ行ってみることにした。

中山観音から市道高嶺中山線の一本の坂を登り切ったところに十字路がある。この写真では右側へ入る道だ。
5年前に市道レポート向けに自転車で走ったときの撮影…少しばかり映っている送電鉄塔は今はもうない


この十字路近辺の拡大地図である。


ここから北に伸びる道は地区道で、車では元の市道へ戻る以外抜け道がないので今まで一度も通ったことがなかった。通る用事がなかったと言ってもいいだろう。上池の堰堤にはこの道から行ける筈だ。

道は途中から未舗装路となり、土砂の採掘場のような場所の横を通った。
初めて訪れる場所で何処から上池に降りられるか分からなかったので、ちょっと路肩に車を停めて周囲を偵察することに。


車を停めた場所は中国電力の工事現場入口で、外部車両が誤って進入しないようトラロープが張られていた。


別の箇所でも書いたが、この近辺には山口宇部線と呼ばれる高圧送電路が通っており、鉄塔の老朽化に伴い建て替えと古い鉄塔の除去作業が行われている。新しい鉄塔は今年の1月に建てられ既に切り替えが終わっており、現在は現地復旧と旧鉄塔の除去作業が進んでいるようだ。この場所も工事看板は出ていたが、現場は一段落しているらしくひっそりとしていた。

トラロープの向こう側は砂利敷の仮設道になっている。確かこの辺りから池の方へ降りる道があるということは、国土地理院の地図で情報を得ていた。
地区道から分岐する山道を中心に設定している


地図ではこの地区道から馬の背池へ降りていく唯一の山道のように描かれている。しかしここから沢を降りて北上し上池に向かう道もあるのでは…と思った。元は山道があったところを送電線工事のため大型車両が通れるように仮設道を拡げたのかも知れない。
トラロープには特に立入禁止の札は掲げられていなかったし現場も動いていないので、安全とみてロープを跨いで先を偵察することにした。

砂利敷きの歩きづらい仮設道を辿ると、伐採が終わった丘の上にでてきた。
移設された送電鉄塔が見えている。


この丘の端から溜め池が俯瞰できた。
これが上池だろうか…


堰堤を挟んで2つの溜め池が見えている。
…ということは、俯瞰しているのは数日前に訪れた下池だ。樹木に隠れて見えないが真下が堰堤あたりになる。


下池の堰堤に到達してもそこから上池に行く道がないことは数日前の踏査で判明していた。それならばここから無理に降りる意味がない。
…ということで、実際ここから下池の堰堤まで降りる道があるかどうかを調べずに引き返した。
事故の後遺症で右膝を痛めている…急な斜面の昇降はとても膝に堪えるので出来ればやりたくい

工事現場まで入り込んだ挙げ句無駄足にはなったが、天気が良いのでそう気にはならない。
遠くに見える大がかりなネットは会員制運動クラブの構造物だ。


地区道のもう少し先に上池の堰堤へ到達できる道があるらしい。しかし車を停め置ける場所があるかどうか分からないので、再び車を置いたまま地区道の先を偵察した。
溜め池ネタからは離れるが、期間限定のちょっと面白いものが写り込んでいる。


山口宇部線の旧32番鉄塔だ。ワイヤも碍子も外され、何とも言えない表情でつっ立っている。これもいずれ解体撤去される運命だ。


さて、民間の処理場を過ぎて鉄塔が見えなくなったあたりの左側に上池への入口らしき場所を見つけた。
遊歩道を案内する標識も出ているので間違いない。


この標識の反対側は地区道がコブ状に広くなっていて、車を留め置けるスペースがあった。それで一旦車を取りに戻った。

「ドウダンツツジを観に行く方はここに駐車してください」の案内板が出ていた。
これなら安心して駐車できそうだ。
殊更に駐車場所を気にするのは地元住民とのトラブルを避けるため…地区道では特に注意が必要だ


デジカメを握りしめ替えのバッテリーをポケットに入れて歩き始める。今回は車なので歩きが多くちょっと辛いが、今度は足元がちゃんとした遊歩道だ。

馬の背遊歩道入口の標示板も出ている。方向からして上池に向かっているのは間違いない。


遊歩道と名前が明示されているだけあって、山道とは言っても幅は広くて歩きやすい。
少し進んだだけで馬の背池特有の紺碧色をした水面が木々の間から見え始めた。


遊泳禁止の立て札が設置されていた。地区道から上池までは意外に近い感じがする。


出会ったのはどうやら地区道の方に伸びる上池の入り江の一つらしかった。
しかし自然の入り江にしてはどうも感じが変だ。前方は奇妙な遠浅だし、右側は深い溝状になっている。


普通の溜め池なら、岸辺は一様に草木に覆われているものだ。遠浅の入り江なら、普通は水が集まって沢を形成しているだろう。ところがこの場所は真砂土が剥き出しの砂地状態で遠浅状態になっていた。
たまたま水位が上昇したため、本来は砂地だった場所まで水が押し寄せたようにも思われた。しかし初めて訪れる溜め池で普段はどの程度水位があるか分からなかった。

足を濡らさない程度に岸辺へ進んだ。そこで振り返って撮影している。
コンクリート擁壁のようなものが入り江の先端を塞いでいた。


周囲の状況やこの擁壁を見て遠浅になっている部分の状況が理解できた。

かつての工事用道路の痕跡では…
水で浸っている付近を眺めると、緩い勾配で堰堤の方まで伸びている。その外側は急に深くなっているらしく水の色が濃い。


工事用道路という発想が頭に浮かんだのも、事前にこの場所を航空映像で眺めて情報を得ていたからだ。

現在地は恐らくこの辺りだろう。
航空映像モードで表示させている。


Yahoo!地図の航空映像は今から十数年前の状態を表示している。上空からの映像を眺めると、まだ堰堤の工事が進んでいる様子が窺える。このことから馬の背上池は平成期に入って溜め池整備工事が行われた筈だという情報を得ていた。
実は工事関係者を知っていたりする…^^;

このあたりは堰堤下部に向かう工事用道路だったと考えられる。
元から沢だった場所に真砂土を盛って進入用のスロープを造り、そのまま湛水させたというわけだ。


仮設道の法面部分がそのまま水没したような感じである。
その外側は45度勾配で急に深くなっているのだろう…紺碧色の水が教えてくれる。


なお、反映の遅いYahoo!航空映像で湛水前の状態を観察できるのは市内ではここだけである。航空映像の撮影時期にたまたま施工中だったためだ。
池の底へ向かう仮設道は現在の地区道に並走していたことが分かる。少雨期に水位が下がれば、あるいはもう少し先の方まで姿を現すかも知れない。

遊歩道は上池の左岸に沿って伸びていた。
このあたりは工事の影響を受けなかったようだ。


この先に堰堤があるのだろう。
最近改築された上池の堰堤はどんな表情を見せてくれるのだろう…

(「馬の背池【2】」へ続く)

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