柳井田暗渠(仮称)

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記事作成日:2023/6/25
最終編集日:2023/6/25
柳井田暗渠(仮称)は、山口市小郡新町5丁目にある灌漑用水を鉄道下に通すための暗渠構造物である。
写真は列車通過時の様子。


位置図を示す。


清水橋梁と同様、この構造物にも名称を記載した表示板はない。構造物の真上の線路脇にも(仁保の小河内Baなどでみられたような)黄色い名称プレートは存在しない。したがって暫定的に所在地の柳井田を用いて柳井田暗渠と仮称する。
《 概要 》
直方体の石材を3段少しずつせり出しながら積み、上部を長物の石材で蓋をするような構造をしている。


せり出し構造部分の接写。
角に地籍調査時に取り付けられたと思われる境界鋲があった。


内部のフラッシュ撮影。


内部から外を撮影。


暗渠をくぐって出た先から上郷駅方面を向いて撮影。
すぐ上を県道353号新山口停車場上郷線が柳井田堤踏切で横切っている。


訪れたのが灌漑用水の非需要期の2月だったため水は流れておらず、水路は干上がっていた。

内部に遺されていた鍋か炊飯器の残骸。
これはロケで潜入したときの撮影である。


このような暗渠の内部へ潜入する機会があるとすれば、子どもたちが好奇心で潜り込むか灌漑用水需要期前に水が滞留しないよう内部の泥などを排除したり点検したりするとき程度のものである。実際は詰まるなど問題が起きない限りそのまま供用されるので、時代考証可能な古いものが残されている場合がある。
【 特異な構造についての考察 】
鉄道の下を灌漑用水路や河川、悪水溝などが通っている場所は無数に存在する。その中で柳井田暗渠は構造が特殊である。

現在はJR山口線の西側は土手下までアパートや民家が建ち並び、東側に田が残っているだけである。しかし昭和後期頃までは主要な道筋沿いに民家が並ぶだけで、周辺は一面に田だった。
昭和49年度の地理院地図による航空映像。


JR山口線は、この区間で四十八瀬川を横切るために川の前後で盛土している。大正初期に線路を敷設することで田が分断され灌漑用水を回せなくなるため、盛土する前に暗渠化したと考えられる。

清水橋梁とは異なり明らかに用水専用の暗渠である。暗渠の幅は1m程度しかなく、周辺一帯の田に水を供給するには小規模である。もう少し規模が大きければ小河内BaやJR小野田線の下木屋暗渠のように拱橋構造を造っていただろうが、灌漑用水が供給できれば足りるため土地所有者と協議し簡素化されたこの構造が採用されたのかも知れない。今まで調べられた限り、鉄道の下を通す暗渠構造として同種のものを他に見つけられていない。

後述する第二次合同調査でガーダーの柳井田橋りょうから周防下郷駅側に向かって線路沿いを歩いたが、盛土高が低くなるまでの間に線路を横切る構造物は一つもなかった。四十八瀬川から北側の立体交差部分はまだ調べられていないが、県道北側の土手下には同種のものがあるかも知れない。
《 アクセス 》
周囲を家で囲まれていて細い里道のみで接続されている。小郡プール下の道に寄せて車を停めて清水橋梁の前を通るか、柳井田交差点から下っている昔の通りから伸びる細い路地を歩く。この場合は車を停められる場所はない。

清水橋梁から線路下を辿って上郷駅方面へ向かう里道を撮影。
ここを数十メートル歩いた先にある。


昔の道筋から細い路地を入ったところ。
柳井田暗渠はこの真後ろにある。


清水橋梁から西側の土手下には歩ける道がない。
《 個人的関わり 》
西側にある清水橋梁と共に、一視聴者のS氏によって情報が寄せられていた。どちらも今まで見たことがない構造であり、2022年12月末の第二次合同調査でS氏に案内されて初めて現地を訪れている。小郡プール下の里道に寄せて車を停めてそこから歩いて行った。

初めて訪れたときも水は流れておらず干上がっていたので、暗渠内部まで潜り込みフラッシュ撮影している。反対側まで通り抜けたのは後述するロケのときであった。
【 番組での紹介 】
清水橋梁と共に「にんげんのGO!」の隧道どうでしょう・シーズンV企画として放映された。実際のロケは2023年2月22日で、松田ディレクターがその後単独でロケハンを行っている。そのときまでに小郡プール横の空き地の工事が進み、里道が通行止めになっていたので、ロケ時には昔の道筋に面したある食料品店に承諾を頂いて車を停めてそこから歩いた。

どの出演者も入口部分のみを眺めていた中、隧道解説員として GoPro を持って内部へ潜入している。
出演メンバーが内部を潜入することが想定されていなかったのでヘルメットは被っていない


内部を撮影しつつ反対側まで通り抜け、周辺の様子を解説して戻ってきた。


このときの宇部マニアックスによる解説と GoPro 映像は、そのまま番組で放映された。

映像を採取後、この暗渠の成り立ちなどについて解説しているときの映像。


ロケではこの後にサイコロを振って湯本温泉の近くにある湯本トンネルを訪れている。
柳井田暗渠が紹介された隧道どうでしょうシーズンVの告知記事。
外部ブログ: 久し振りの隧道企画|にんげんのGO!(2023/6/5)
出典および編集追記:

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