地下道の造りかけのような構造物【1】

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記事公開日:2016/3/11
書き始める前から宣言するのだが、この物件の正体は既に判明している。総括記事をご覧になれば分かるにしてもそれではネタバレとなって面白くない。そこで初回公開時は総括にリンクを張らず、未だ正体が分からなかった時期に遡って時系列記事から書き始めることにした。記事タイトルは当初感じたままの印象で付けているため正確な物件名ではない。
【 第一幕 】
現地撮影日:2014/5/6
一昨年のGW中日のこと、この日は西岐波から東岐波にかけての溜め池をざっと視察しようと計画を立てていた。最初の訪問地である真河内池までは寄り道を考えていなかったので、航行速度優先で国道190号を走らせていた。

この日最初に撮ったのはこのショットだった。
国道190号の15kmに設置された距離標と花壇である。


色とりどりの花が花壇に咲き競っているのを見てしばし自転車を停めカメラを向けていた。
いくら物件とは無関係でも花の多い春はやっぱり良いものだ。


道路の外側、歩道にあたる部分にこんな幅広の花壇があるのは国道の成り立ちに起因している。本題からはやや離れるが無関係ではないのでここで書いておくと、昔の国道190号は現在の花壇付近を内回りしていた。昭和40年代半ばに現在の大きな半径をもつカーブに線形改良されている。[1]取り残された内側の部分は花壇や幅広の歩道、商店や営業所の駐車場に転用された。もの凄く微かな記憶だが、内回りしていた時期の車窓からの景色を覚えている。

しかしそれは現時点の記述時における所感であって、現地では花をしばし愛でた後は再び自転車で先を急いだ。
ただし先を急いではいても運転上の前方注視とは別に周囲の観察も怠ってはいない。前回通ったときとは違う風景があったり新たに気づいたものがあれば、その興味と重要度に応じて撮影している。江頭の長く緩い坂を転がり下っている過程で歩道の外側にちょっと変なものを見つけて自転車を停めた。

これが最初に撮った当該物件の一枚だ。
進行方向とは逆の大沢方面を向いて撮影している。


撮影方向から分かるように、最初は頓着せず通り過ぎかけた。その直後に「今横目でチラッと見えたものって何かおかしくないか?」という意識が働き停車したのである。

これである。
コンクリート壁で囲まれた狭い空間があり、上にはフェンスが載っている。しかし中は草ボウボウで見るからに普通ではない雰囲気を放っていた。


最初に感じた印象…
何だか地下道みたいだなぁ…
コの字型に造られたコンクリート壁は確かに地下道の入口そのものである。しかし中は草が生えている…地下道ならあり得ない状況だ。


地下道なら入口があるだろうと思い背面に回ってみた。
確かに壁が切れた入口のようなものがある。しかしそこからは入れないようにネットフェンスで塞がれている。


地下道なら下り階段があるだろう…しかしフェンスの網目越しに中を覗いてもさっぱり分からない。あまりにも雑草が伸びすぎてしまっていた。


雑草が伸びている以上そこには土の地面があるということだ。国道の下へ降りていく階段が今もあるのでは…という推察には無理がある。

次に考えたのが使われなくなったゴミステーションではという推測だ。
しかしゴミステーションを造るのにわざわざコンクリート壁を造るものだろうか。これではゴミを棄てるも回収するも作業がしづらいだろう。


フェンス門扉は施錠されていた。鍵をかけておかないと通行人が勝手にゴミを放り込んで行くからだろうか。

それにしてはなお厳重過ぎるような気がするのが上部に貼られた金網だ。これがあるので仮にフェンスを乗り越えたとして中に入ることは能わない。


それほど厳重に塞いでいるのは恐らく危険だからだろう。そうなればどうしても地下道入口のような深い竪穴がそのまま遺っているのでは…という想像になってしまう。国道筋なら学童が登下校で通るだろう。私のように興味津々で覗き込んでいて転落したら危ないから金網を掛けたのかも知れない。袖壁の上に登って直接観察したかったが、何しろ交通量の多い国道筋だ。おかしなことをしていると大変に目立つので、フェンスの網目にカメラのレンズを押し込み窺うしかなかった。

これが精一杯だ。
草が生えているだけで下地がどのようになっているかは分からなかった。


通路どころか下り階段さえもみられない。それでありながら壁の外観からなおも地下道の入口のように思われてならなかった。しかしもしそうなら国道の反対側に相棒となる出入口がある筈だ。

南側を向いて撮影。
同じようなものは花壇の中にも反対車線の歩道側にもみられない。
実のところ既に関連するものが写り込んでいるのだがこのときは気がつかなかった


袖壁のコンクリートは1m弱の高さがある。反対側の出口は同じ構造をしているだろうからここからでも充分に見える筈だ。それが見当たらないということは…
地下道を造ろうとして何からの理由で計画が頓挫したのでは…
ここに入口部分を造って国道横断を掘ろうとしたところで中止になった…まあさすがにそんな無計画なことをするとも思えないが、現状はそんな印象を持った。

この日のメインディッシュはずっと先にある溜め池群で、たまたま目に留まった意味不明なこの案件に時間を割く気はなかった。時間をかけて調べた結果、実は使われなくなったゴミステーションだった…という結末もあり得るからだ。そのため現地ではここまでを撮影して立ち去っている。

溜め池の撮影については相応な成果があがったので、本件は些かの興味を覚えながらも大したネタではないと考え、運営しているFBページでの掲載はしなかった。自分のタイムラインでメンバーには報告している。[2] しかし誰からもこの物件に関する情報は得られなかった。一連の写真は国道190号のフォルダへ突っ込まれ、そのまま暫く忘れ去られていた。
【 第二幕 】
現地撮影日:2016/2/28
次にここで自転車を停めて撮影したのは、初回撮影から一年以上経過した後だった。
このときも国道190号を床波方面へ向いて走っているときだったが、目的は些か初回とは異なっていた。


私的事項だが2015年の夏頃から業務で月に2度程度萩原方面へ行くようになった。これは市道迫田長谷線の個人的関わりで書いているのと同じ理由である。ただし時間的ゆとりがあるときはネタ探しを兼ねて市道常盤公園江頭線経由で向かうことが多く、国道筋はあまり通らない。この日は本件のことは頭にないながらも当初から国道を経由していた。

業務で萩原へ向かうとは言っても時間的な制約はない。そうでなければ最初から車で向かっているだろう。
ここへ差し掛かったとき、そう言えばこの案件が未解決だったことを思い出した。


本当に廃物件となっているらしく、一昨年撮影したときとまったく変わっていなかった。変化と言えば精々植物園状態に育っていた内部の雑草が冬の寒さで枯れている位のものだった。

自転車に跨がったまま撮影している。
国道から離れる方向は緩い下り坂になっていて現在も通れる細い道があった。その先にはコンクリートの水路が見えていた。


現在地の歩道の方が高いものの水路は細い道に沿って流れているように思われた。そこで別の発想が浮かんだ。
あの水路の点検口だったのでは…
この場所で水路が国道の下を横断していて、水路の清掃や点検用としてこの入口を造ったのではないかと思ったのである。歩道の方が高いのは、国道を通すとき沢地部分に盛土したからだろう…
それほどの距離はないので、先の方に見えている開渠のところまで自転車を一走りさせてみた。

(「地下道の造りかけのような構造物【2】」へ続く)
出典および編集追記:

1. わざわざ外を大回りする線形改良は地図で見ると不思議な気がするが、この改良の理由はカーブが終わる床波入口寄りで軽い折れ点のように曲がっていたこと、そのカーブの内側に高いコンクリート擁壁があって視認性が悪かったことによる。

2.「FB|トマソン的な未知の案件(要ログイン)

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