市道金山線【1】

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なべて市道レポートは、最近の状態を反映させお届けするよう努力している。複数回訪れた場合は、直近の写真を載せている。変化があった場合には派生記事で補足し、場合によっては続編を作成したり全編を書き換えるようなことも行っている。しかし本路線では事情あって、数年前に初めて走破したときの映像を元に初回の記事を起こさなければならない。

起こり得る事象としては市道から外されたとか、開発で道そのものがゴッソリ失われるなんてのが考えられる。ただし今のところそのような事例には出会っていない。実際、市道金山線はこの記事を書く時点ではなお現役市道であり、廃道にされたわけではない。

では、何が起きたかと言うと、
起点から追跡不能なほどに藪化している。
のである。

これは記事を書き始める時点での本路線起点の映像である。
市道藤曲門前線をトレースする過程で現状を確認した。


この場所を中心にポイントした地図である。
上の写真は東に向いて撮影しており、即ち地図ではポイント地点から右へ進む道が本路線になる。


Yahoo!の地図に限らず大元となるゼンリン©をはじめ、殆どの地図でこの場所は十字路のように記載されている。地図ではどの道も等価のように見えるが、実際の状況はまるっきり異なる。

さて、ここから廃道でない現役市道が間違いなく始まっているのだが、この中に分け入ってトレースしようという気になれるだろうか。


殆ど狂気の沙汰である。壮大なサバイバルゲームを愉しむ積もりなら別として、こんな荒れた藪など野ウサギですら通りはしない。春先から夏場にかけて草木の著しく伸びる時期ならまだしも、時は11月下旬だ。朝夕の寒さで雑草も枯れ始める時期でありながら、この状況である。

実のところこの路線は3年前にトレースを完遂している。その時から既に廃道の臭いプンプンだった。最後は腕ずくでトレースを完遂し、状況があまりに面白いので当時の地域SNSで記事を書こうと思いつつ果たせなかった。[1]
もう当時のことはあまり覚えていないので、初回踏査記事は単純な写真の羅列に終わるかも知れない。簡単な解説を添えつつ当時の写真で記事を進めてみようと思う。
現地踏査日:2010/2/21
記事公開日:2013/12/3
初めて市道金山線の起点に訪れたときの映像である。
現在よりは幾分藪は薄い。それにしても既に道があるとすら認識できない状況だった。
これが市道なの?


この場所が市道金山線の起点になることは、例によって市道路河川管理課の地図によって情報を得ていた。即ち市道藤曲門前線がここで奇妙に右へ曲がって桃山配水池のある高台を目指す。これとは別に標高を変えず山の斜面に沿って進む道があり、それが本路線であることは分かっていた。
しかし起点がどうなっているかは本当に現地へ訪れるまでまったく分からなかった。とりわけ初めて本路線の起点がこんな状況であることを知って、道路河川管理課の地図の記述に「騙された」と思った。

それまで自転車を押し歩きしてきた市道藤曲門前線は未舗装の山道なものの、牛車も通れる幅があり古道としては結構ハイクラスな道と言えた。しかし地図で同程度の線で描かれている市道金山線は、のっけから全く道と呼べるような状況ではない。認定市道であるという事実以前に、ホントにここへ道があるの?と目がテンになった。

笹藪の中に少しずつ踏み込んでみた。
僅かながら木の葉に覆われた地面が見えており、細い山道らしきものがあるようにも思われた。


地図によれば、本路線は山の斜面に沿って進んで当時既に攻略を完了していた市道崩金山線の途中に出てくるようになっている。その場所も多分この辺りだろう…程度までは分かっていた。
この日の予定では、本路線を自転車で突っ切って終点到達し、路線の状況が分かっている崩金山線を峠越えして桃山に抜ける予定だった。しかし初っ端からこれほど藪が酷い状況では、自転車を押し歩きで到達できるか不安を感じた。

どれほどの藪状態なのか、ちょっと自転車を先へ進ませて撮影している。
少し離れれば自転車の存在自体が分からなくなってしまいそうだ。


人が歩いても背丈近くまで押し寄せる笹藪。
今からここを進まなければならないってのに、何処か他人事のようであった。


いや…こんなことして遊んでいる場合ではない。少なくとも崩金山線まで抜けられなければ、この後の予定が大幅に狂ってしまう。

自転車を引き連れ、いい加減進んだ後になってやっぱり撤収…なんてことになったら多大な労力の無駄だ。そこでしばし笹藪の中に自転車を留守番させ、歩いて先を窺ってみた。

大丈夫…
これなら行ける…(と思う)
市道と言うにはあまりにも道らしくない様相だが、山の斜面に沿って造られた素堀りの溝に沿って踏み跡が続いていた。


自転車も埋もれるような笹藪が延々続くなら諦めるところだが、酷い状態に見えるのは起点付近ちょっとだけで、先の方は自転車押し歩きなら問題なさそうだ。

振り返って撮影。 笹藪が目立つ部分は日が良く当たる場所なので道が隠されたようだ。奥の方は日照が少ないせいかそれほど酷くはない。


先行して藪の中へ押し込んでいた自転車を引っ張り出し、押し歩きを開始した。

道幅は本路線の起点へ到達するのに経由した市道藤曲門前線の半分程度しかない。
山側にある素堀りの水路は痕跡状態で、至る所木の葉が溜まっている。もう使われていない感じだ。


起点からすぐ倒木が目立ったが、次に現れた倒木はもっと状態が悪かった。
低く垂れ掛かっているのでそのままでは自転車が通らない。


まず自転車を押し出して先にくぐらせ、それから自分が身をかわして幹の下を通り抜けた。
サドルが当たる程度に低く倒れていたのだ。これを引き返すことになったら嫌だなぁ…と思い始める。


地図通り山の中腹をたどっている様子は体感された。
山の低い方、左側の景色はまったく開けず何処の辺りを歩いているのかさっぱり分からなかった。


妙に大きな岩が目立つ場所があった。
岩は素堀り水路の中まで転げ落ちていた。[2]


ここは中くらいの樹木が倒れたまま半ば生き存えている。
それにしても人工物にまったく出会わない。平坦な山道と素堀りの溝ばかりだ。ゴミ一つ落ちていない。


この先で初めて分岐路らしき場所に出会った。
ずっと寄り添っている素堀り水路に石橋と言うか蓋がされて山の方に伸びる道があった。


この枝道はさすがに市道ではない。それどころか地図にも記載されていなかった。何処へ向かう道なのかはさっぱり分からなかった。そもそも周囲の眺めが効かないので現在自分が山の何処を歩いているのかの見当もつかなかった。

やや日当たりの良い場所に出てきたとき、再び笹藪が勢いづき始めた。まずい…sweat


段々と藪が酷くなっていく。どうも日の当たる場所では笹藪が勢いづくらしい。辿っている積もりの路線も藪に飲まれて淡くなっていった。
歩くのはまだどうにかなるが…自転車のスポークに笹が絡みつき始めた。


本路線は既に走破を終えている市道崩金山線の途中へ出てくることは分かっている。そうは言ってもあとどの位この藪と格闘すればたどり着けるものかは分からない。若干我慢すれば済むなら強行しようが、まだ延々数百メートルもの藪を漕いで行くなら、頓挫したときまた等しい距離を戻らなければならない。

ふと上空を見たとき、家庭用の電線が通っているのを見つけた。
これは何処から来たものだろうか…


本路線の起点となる市道藤曲門前線の右折点にもコンクリート柱はあった。しかしそれは電線ではなく中山浄水場の連絡線だし、本路線の道中にコンクリート柱は見当たらなかった。

これが見えるということは、終点はそれほど遠くない筈だ。崩金山線の合流点には一軒の民家がある。そこへ給電する電線と考えられるからだ。

ほどなくして電線の支持体となる電柱を見つけた。


何か手がかりがあるかも知れない…
一旦自転車はそこに置いてその電柱まで笹藪の海を濃いで接近した。それだけでも酷い労力を要した。

「オウバヤマ」とカタカナで表記されている。小羽山なら分かるのだが…知らない地名だった。[3]


そろそろ自転車押し歩きも限界だ。
抜けられなかったらどうしよう…sweat

(「市道金山線【2】」へ続く)

出典および編集追記:

1. 2014年1月末で廃止が確定している「うべっちゃ」である。3年前はまだ参加者が相応にあり、国道190号トレース記事は結構評判だったので県道、市道の記事も書いていた。本路線の終点で合流する市道崩金山線は実際に記事公開した。
まだ記事は残っているがいずれ消滅するのでリンクは案内しない

2. 第二次踏査でこの場所をもう少し詳しく撮影している。もしかすると古くから知られていた場所かも知れない。

3. 字大場山である。小字地図は持っていたが、まだ記憶している小字ではなかった。

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