市道金山線【2】

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(「市道金山線【1】」の続き)

これほど荒れた道ながら電信柱が路線に沿って設置されているのを見つけた。先に以前見つけた家屋がある筈だが、あとどの程度辛抱すればいいものやら分からない。

押し歩きでも自転車を連れて来れる限界地点だ。
この先は一面笹藪の海。まったく道の形が遺っていない。


この笹藪は明らかに起点から突入したときよりも酷かった。目を凝らしても先が全く見通せずどれほどの距離続いているやら見当もつかない。
ダメだ…自転車を諦めよう。
自転車を藪の中へ起立させたまま留守番させ、起点でしたように単身先を窺う戦法をとった。

足元を見れば微かに道の形が遺っているようにも思える。しかしマトモに立って歩ける状況ではないほど生い茂っている。


笹藪はイバラのような攻撃的な武器を持たない。しかし高く密集して育った笹は堅牢で、強引に突っ切るには本気で身体を押し込まなければならなかった。先の方に僅かながら道の痕跡が見えたので、親の敵とばかりに身を屈めてグイグイ全身を押し込む。道がなければ身体を張って強引に道を造るまでだ。

やっと酷い笹藪を突破し、再び踏み跡が現れた。
その先で道に沿って続いていた素堀りの水路の位置関係が入れ替わった。


この酷い笹藪地帯は10mばかりだった。そこを過ぎると植生が変わり、笹自体が疎らになった。
先方に引き留めの電柱が見える。家が近い証拠だ。逆光なのでまだ映像には現れていないが、既にあの一軒家も見えていた。


予想通りだ。やはりここへ出てきたか…という感じだった。


一個人の民家だがランドマークになるので敢えて撮影している。
市道崩金山線を辿ったときも大変な峠を越えて坂を下った後ここへ出てきたのだった。うらぶれたアスファルト路は紛れもなく以前トレースしたその市道だ。


取りあえず徒歩にて終点到達だ。
やや振り返り気味に撮影している。左側の小屋の横にぽっかり空いた穴のように見えるのが崩金山線の起点側、本路線はコンクリート電柱の右側だ。いずれもいいとこ勝負な酷い山道である。


終点より振り返って撮影。
これが市道金山線の姿だ…と言われても説得力がない。近場の適当な山道を撮影しても違いは認められないだろう。


さて、自身は何とか終点に到達することができた。全線通して通行したなら徒歩でもトレース完了にはなる。しかし後の予定のことを考えればどうしても自転車を連れて来なければならない。


またこの笹藪へ突入しなければならないのか…という感じではあった。
何処をどう通せば少しでも楽にできるものだろうか…


もっとも自分が分け入ったことによって笹がなぎ倒され、最初よりは幾分通りやすくなっていた。

笹藪の中へ適当に待機させていた自転車。
固定用のスタンドを立てておく必要はなかった。周囲の笹藪がクッション代わりに保持してくれていた。


自転車を連れて2往復目に向かう。これが本当に大変だった。無造作に押し歩きすればチェーンやタイヤなどが回って笹の葉を巻き込んだり硬い茎がスポークの間に挟まったりで、その都度外してやらなければ前に進めなかった。なまじタイヤが地面を転がるから面倒になってしまうわけで…最後には押し歩きも断念して「抱え運び」した。
自転車は野山時代に買ったもので、元々山道を走ることが多いだろうからと思い、クロスバイクながらマウンテンバイク並みにタイヤの太い仕様である。そのため抱えると何とも重い。更に笹藪が進攻を妨害する。あと少しだから…と腕ずくで強引に押し切った。

やっと運び出した。もう汗びっしょりsweat
今度こそ形だけでも「走破完了」だ。いや…走破なんて言っても本路線で自転車に乗って走れる場面は全くなかったのだが…


それにしても…この程度の山道ならうちの野山の裏にだっていくつも存在する。認定市道であるということは、昔はそれなりの重要度を持った道だったのだろうか。まあ、市道崩金山線が市道なら、東西を連絡する道としては重要になるのだろうが…普請する人が誰も居なくなって荒れているのは確かなようだ。

肉弾戦の結果負ったダメージ。
フリースがほいとだらけ…


同じくズボンも…sweat


怪我はもちろんなかったが、こんな格好で人目に触れるわけにもいかず振るい落とすのが大変だった。

ともあれ、本路線を突破したことでこの後は予定通り崩金山線を通ることができたのであった。
このときの峠越えもかなりのものだったのだが…


本路線の市道整理番号は564である。市道インデックスでは「コロシの金山線?」と寸評を書いている。もちろんこれは走破完了後の後付けなのだが、その意味を少しでもお伝えできたのではないだろうか。
【路線データ】

名称市道金山線
路線番号564
起点市道藤曲門前線・右折点
終点市道崩金山線・交点
延長約350m
通行制限車両通行不能。
備考実質的な廃道状態。

延長など各データの正確性は保証できません。参考資料とお考えください
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別の日、同じく再トレース不能状態となっていた市道崩金山線を終点側から辿るのに合わせて本路線も終点から辿ることで再トレースを達成した。
現況は殆ど初回公開記事と変わりはないが、詳細に写真および動画撮影してきたので後続記事として案内する。
(「市道崩金山線【3】」へ続く)

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