市道助田鍋倉線

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現地撮影日:2009/9/13
記事公開日:2013/9/29
市道助田鍋倉(すけだなべくら)線は助田町と鍋倉町を結ぶ狭い区間の目立つ路線で、専ら地元住民の生活道路のような形態である。経路の途中で国道を横断し、元が狭い道であるために国道の前後で通行利用者が異なるような状況になっている。
近接して市道東汐土手線があり、相携えて北進し短いが重用区間もあるのでそれぞれの経路を切り分けるのに注意が要る。
初期では経路を間違えていたので写真分類からやり直すことになった

下図はこの市道の起点場所をポイントしている。


ポイントされた場所から撮影するとこのような眺めになる。
上記地図と同じく分岐点が明瞭に見えている。


このうち左側の分岐は市道上町線で、新川界隈から西宮八幡宮に向かう昔からの道である。
これから向かう市道助田鍋倉線と比べてどちらが古いか、成り立ちはいつかなどは分からない。何しろ助田や居能は幼少期から現在においても私にとって知らない地である。初めて訪れたのも4年前という状況だ。

それ故にこの市道に関して個人的関わりを述べることがあるなら、つい最近の内容に限定される。昔のことは何も分からず文献から情報を得たり推測することになる。どちらかと言えばもう一つの市道東汐土手線の持つ面白さに付随して記事化したようなものだが、この路線自体も他にはあまりない「奇観」を2ヶ所に持っている。
それでは行ってみますかな…
右の分岐の方が若干道幅が広い。センターラインも歩道もなく、普通車ならちょっと減速するだけで離合できそうだ。
もっとも撮影前からまだ一台も通行車両に出会っていない。


30km/hの生活道路仕様の道を少し進んだところで、何の予備知識も仕入れていなければ見落としてしまう最初の奇観がある。


産業道路のようなコンクリート舗装を思わせるが、道路の仕様としてそうなっているのではなく、この部分は昔は橋だった。およそ橋とも思えない平板なスタイルだが、ちゃんと四隅に橋としての親柱を備えている。
この奇妙な橋の遺構の詳細は以下の記事に作成し先行公開した通りである。
派生記事: 原田橋
この橋を渡る…というのも変な表現だが、その先ですぐに左からの道にぶつかる。
市道東汐土手線で、別の面白い場所に起点を持ちながらここでほんの一瞬だけ重用区間を持っている。下の写真は東汐土手線側から撮影している。
右側が原田橋の方向になる


20mばかりの重用区間を経て、再び両者は袂を分かつことになる。
目的の市道助田鍋倉線は右、市道東汐土手線が左だ。


ここへ来て大型車両通行不可の規制標識が現れた。
目の前は国道190号である。
万が一この標識を目にした大型車両があってもそのまま国道へ出るだけでは…


この場所は事情あって、道路構造が奇妙なことになっている。
国道はすぐ前に見えているのだが、そこへ接続される直前でホームセンターの裏口へ出入りする道を横切る。


市道東汐土手線の方でも述べるように、かつてここに宇部電車区向けの引き込み線が敷設されていた。中通踏切の50m北側で同様に国道を横切り、現在の藤山交差点のナフコ付近に車庫があった。
なくなった正確な時期は覚えていないが、引き込み線自体は何度も見ている。鉄道関連専門の方が正確な情報をお持ちと思われるので、ここでは割愛する。
上の写真で電柱の傍に見える頭の赤いコンクリート杭はJRの境界杭である

さて道路の方に主題を戻すと…
本路線は国道へ斜めに接続される。国道の反対側に同様の道があり、その先の小高い森に向かっている。


国道接続部には一旦停止の標識が設置されているだけで、進行方向に関する規制は特にない。国道の上下線どちらに曲がるも直進して本路線の通りに走るのも可能である。
しかしここへ出てきて本路線の通りに直進する車は殆どないだろう。この交通量の多い国道区間で上下線の切れ目を期待するのは困難だからだ。運良く誰かが押しボタン式信号を待っているタイミングなら車もそう困難なく直進できるだろうが…本路線が国道を境に利用者が分断されるような状況になっている。

さて、自転車の自分はどうしようか?
順当に行けば押しボタンを押して青を待つところだが、たった自分一人のせいで交通の流れを乱すのは詮無い[1]し、50m程度進んだところに鍋倉交差点がある。ましてちょうど国道が停車するタイミングだったので、自転車を迂回させた。

鍋倉交差点から再び市道へ引き返すとき、確かに右折で本路線へ大型車両が入れない旨の標示が出ていた。
…と言うことは普通車以下なら右折しても良いことになる。


迂回した押しボタン式信号の反対側から撮影している。
国道に車が数台連なればもう今さっき辿った市道が塞がれ見えなくなる。大型でなくてもここで右折するのは大変だろう。
夕刻ラッシュ時なら追い越し車線を走る後続車に思い切り嫌がられる^^;


市道はスーパーの横を通り、程なくして主要な道に出会う。
まだ終点ではない。横断した先には階段が見えているが道は…あるのだろうか…


ここで横切るのは市道小串通り鍋倉線で、神原町からの県道部分も含めて産業道路と呼ばれている。古めかしい呼び名だが今も普通に使われている。その詳細はいずれ県道および市道の該当項目で述べることとして…

本路線は産業道路を横断し真っ直ぐ伸びるのだが…この状況を見るとまるで行き止まりのようだ。


そう…確かに道はある。もっとも直進すれば階段を登ってしまう。今のところコンクリート階段そのものが認定市道になっているような事例は一つしか知られていないのだが…
一つでも存在することの方が驚きかも知れない

コンクリート階段の先には藪に包まれ掛けた鳥居が見えており、純粋に参道である。市道の行き先ではない。本路線は山裾をなぞるように左へカーブしている。上の写真では本路線の真上に鎮座する形で停車しているので恰も店舗前の駐車場に車が置かれているように見える。

産業道路を横断して再びカメラを構える前に、お店の横へ停まっていた営業車が退出した。
そうして本路線の先行きが見えてきたのだが…


これ…車は通れないんじゃない?


外側のカーブには殆どが埋まった石積みが僅かに現れている。コンクリート階段の始まる付近から先は石積みも高く、タイヤで踏み付けて通ることはできない。
カーブの内側はもっと厳しい。先に営業車が停まっていたお店の玄関付近の壁が迫っているのである。しかし車両侵入禁止などの標識類は出ておらず、路面にはタイヤの跡が見えるようでもある。

この区間の狭さは特筆すべきものがある。終点側から辿った写真も撮ってあるので逆から通ってみたい方は参照されたい。
派生記事: 軽四でも通行困難な区間
コンクリート階段の方は宮地嶽神社の石碑があり、先の鳥居に続いている。


寺院仏閣関連は原則物件として取り扱わないので詳細は述べないが、栄川埋め立てに関する記念碑については言及しておかなければならない。過去の写真をまとめておいた。
派生記事: 宮地嶽神社にある栄川埋め立て記念碑
目下の興味の対象は、この異常な狭さの市道区間にある。間違いなく本路線の一部なのだが、通行不能とは書かれていないし車種による規制標識などもいっさい出ていない。


派生記事でも書いた通り、この区間は実際に四輪の車が通行している。外部からの来訪者は恐れを成してまず車で乗り入れようとは思わないが、地元住民や事情を知る一部のドライバーは相応な注意を払って通行している。実際、私も終点側からなら何度も通っている。

一番狭いのは、あの石積みと民家の玄関壁に挟まれた部分だ。そこを過ぎると両側にブロック塀があって圧迫感はあるにしても幾分広くはなる。


広くなるとは言っても軽四同士でも離合はできない。
転回可能な場所もなく、万が一でも車同士が鉢合わせ状態になったら泣きが入るだろう。
出合った位置にかかわらず終点側の車がバックすべきである


この超狭い区間をやり過ごすと正面に集合住宅が見え、左からの道に合流する。先ほども出会ってからすぐ袂を分かった市道東汐土手線である。
本路線はここで終点となる一方、東汐土手線はこの先にある鍋倉市営住宅を左側に見て別の主要市道へ接続される。
終点付近の詳細な路線地図はこちら


終点より振り返って撮影。
細長い道しか見えない。認定市道どころか、予備知識がなければ個人の庭先へ迷い込んで行き止まりとなる典型タイプのような道だ。


この市道の経路図をルートラボで示す。 終点付近の細い道はあまりに狭いせいか自動描画モードでは道路として認識されなかった。


路線名の助田と鍋倉という地名2つを並べた命名から、この経路自体に特別な意味があるとは思えない。恐らくもう一つの東汐土手線の方には何かの由来があるのだろう。
しかし宮地嶽神社に向かっていることから本路線も相応に古くから通行されていた道に違いなく、これから先も当分の間は姿を変えることなく遺り続けるだろう。
【路線データ】

名称市道助田鍋倉線
路線番号655
起点市道上町線・分岐点
終点市道東汐土手線・合流点
延長約400m
通行制限大型車両通行不可。
備考車両通行困難区間あり

延長など各データの正確性は保証できません。参考資料とお考えください
出典および編集追記:

1. 押しボタン式信号を押して自転車で渡るのは法規的にも問題はない。 特に降りて押して渡るなら歩行者の扱いである。
しかし個人的には押しボタン式信号を押して自転車に乗ったまま横断歩道を渡るのは法規的に見て誤りではないかと考えている。歩行者に最寄りの信号まで歩くのを求めるのは酷だが、自転車の場合50m程度の場所に正規の信号があるならそれを利用するのが望ましいと思う。特に歩行者が押すと前後の信号との整合を考えず即座に応答するタイプの押しボタン式信号があり、このような信号機のある場所が交通渋滞の一因となっている。
特に市道琴芝沼線が浜バイパスを横切る場所の押しボタン式信号など

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