市道一ノ坂黒瀬線・横話

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ここでは、市道一の坂黒瀬線の派生的話題をまとめて収録している。
《 三界萬霊 》
本路線が集落に向かって下る途中、見慣れない石仏が小野湖側の余剰地に観られる。
蓮の花の台座にお釈迦様らしき像が立っており、台座の下には「三界萬霊」と彫られている。


これは無縁仏となった墓を合祀する塔とされている。
「Wikipedia - 無縁仏|概要」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E7%B8%81%E4%BB%8F#.E6.A6.82.E8.A6.81
顧みる者が誰も居なくなった死者を 憐れみ弔う古来の風習としての歴史的価値がある。しかし伝えたい物事を能動的に遺さなかった人間はいつかは必ず歴史の彼方へ葬り去られる定めである。灰を遺し墓石を建てたとて同様だ。気づき始めた人々が多数派になった頃には個別の墓を建てて代々祀られる方が稀になり、殆どが合祀の形を取ることになるだろう。
もっともそれは人の死後の在り方として不幸なことではない
【 本項目記述後の変化 】
2016年までにこの石像より小野湖寄りに別の祠が設置されている。内容はまだ詳しく調べていない。
《 南北道路・一の坂付近 》
厚東区に住んでいた父が幼少期、まだ厚東川ダムが竣工する前の時期に一ノ坂を通って臼木まで歩いていたという情報を聞くことができた。昭和18年頃の話なので部分的にしか記憶が残っていないと言っていたが、概ね次の通りだという:
臼木に行く道は昔から一の坂を通っていた。今ある国道490号は深く掘り割られ石積みがあるが、昔はもう少し高いところを通っていた。現在の一ノ坂バス停を過ぎると、道は現在ある小野湖に向かって下っていた。その道は今は小野湖に沈んでいるが、一の坂から先は厚東川に沿って真っ直ぐ臼木まで続いていた。非常に単調で長い道のりだった…
一の坂から小野湖に向かって下っていく道はこの市道しかない。そして昔はそれがメインの道だったらしい。このことから、市道一ノ坂黒瀬線の汀に没する部分までは、かつて渡辺祐策の構想にあった「南北道路」の一部ではないかと思われる。

既に厚東川ダムの工事は始まっていたが、周知の通り厚東川ダムは戦時期の物資不足で工事が中断しており、まだ小野湖は湛水されていなかった。臼木に至るこの道はダム湖に沈む高さだったので、道路の付け替え工事は始まっていたかも知れない。
しかし小野隧道の開通は昭和19年8月なのでまだ通行はできなかったはず

最近、小野湖の水位が低くなった時期を見計らって市道一ノ坂黒瀬線を辿ってみたが、普段は水没している場所に道路らしき痕跡は殆ど確認できなかった。
水位の低い小野湖・一の坂
情報この項目は別カテゴリの派生記事として移動されました。記事の移転先は項目タイトルに設定されたリンクを参照してください。
《 行き止まり地点での釣り客による駐車問題について 》
項目記述日:2017/6/12
以下は、この総括記事を作成した2017年6月の上旬に現地を訪れ、地元在住者による聞き取りと現地を把握した上での問題点をまとめている。本文中でも述べているようにこの問題についてどれほど在住民が迷惑しているか知って欲しいとの要請を受けたが故に派生記事を作成した。

本路線は行き止まりの認定市道でありながら外部からの車乗り入れが大変に多い。その理由は、小野湖の岸部近くまで容易に車を乗り付けられる好適な釣りスポットであることに起因する。特に本路線で四輪の通行可能な最終地点は小野湖へ向かって沈みゆくスロープ状になっているため、ボートを降ろすのに最適な環境となっている。このため、行き止まり地点まで車を乗り付けて駐車し陸釣りやボートを降ろしての船釣りを楽しむ釣り客が非常に多く、いつ訪れても殆ど車が停まっている。

まず法的な問題から言って、行き止まり地点に車を停めることも小野湖へボートを降ろし船釣りする行為自体も問題はない。駐車地点は公地(認定市道の路線上)であり、その先は湖で車は通れないから当然公安による駐車禁止標識は出ていない。場所を限らず半日以上の長期間にわたって車を留め置くならば保管場所違反として罰金および行政処分の対象となる[1]が、常識的な釣り客ならそんなに長時間滞在しないだろう。

また、小野湖へボートを持ち込み釣りなどを営む行為も場所や気象などに一部の制限をつけてはいるが認められている。とりわけ現地の行き止まり地点には県による小野湖の利用法についての案内が設置されており、釣り客の立場を補強することになってしまっている。
看板の写真はこちら


釣りをすること自体に地元在住者へ迷惑が及ぶことはまったくなく批判的意見はない。問題は、専ら地区道同然のこの狭い市道へ車を乗り入れ駐車する行為にある。特に行き止まり地点は湖面へもっとも近く、ボートを卸すのに好適なため船釣り客からは一等地のように扱われている。しかしそこへ釣り客が車を留め置く行為に付随して沿線の地元在住民から以下のような苦情が寄せられている。
(1) 市道とは言え小野湖の管理者(県の厚東川ダム管理事務所)はここへ駐車することを認めていない。
(2) 行き止まり地点にはちょうど一台がおさまる余剰地が出来てしまっている。2台目以降の車が入ってきたときには停める場所がないため退出するのだが、一番奥の民家の私道や庭先まで入ってきて車を転回する釣り客がある。
本路線の途中にある民家でも庭先の勝手乗り入れによる車転回を経験している模様
(3) 行き止まり地点に軽トラを乗り付け早朝からガラガラと大きな音をたててボートを卸す常連釣り客がある。やかましくて寝ていられない。安眠妨害。
(4) ゴミを棄てて帰ったり工事関係者とトラブルになるなどマナーの悪い釣り客が目立つ。大半が男性なので逆恨みが怖く直接注意できず我慢を強いられている。
そもそも、行き止まり地点の柵の手前は空けておくべき場所というのが小野湖を管理する県のスタンスらしい。当該地区で火事が起きたとき消防車をここまで下げて小野湖の水を吸い上げ消火に用いるためという取り決めがあったからという。行き止まり地点には柵があり立入禁止の立て札も出ているが、草刈りが行われて居らず藪に隠れてまったく見えない状態になっていた。
立て札の写真はこちら


この柵は当初もっと起点寄りにあったらしい。木製だったため朽ちて壊れたので更新したのだが、そのときステンレスチェーンに替えたものの位置を若干小野湖寄りへ下げて設置したため、車一台分ちょうど停められる余剰地ができてしまった。その場所には山口県の銘が入ったセフティコーンが1個だけ置かれている。駐車をやめさせようとコーンを柵の手前に移動しても、車で乗り入れた釣り客が勝手にコーンを退けてそこへ駐車してしまうという。

近年、市道の水没地点の崩落が著しいので県が崩落防止の大型土のうを積む工事を行った。このとき工事現場という扱いで地元在住民以外の車は通行禁止になったのだが、その期間ですら釣り客が車を乗り入れようとして工事関係者と押し問答になっている。工事関係者は工事現場であることを理由に頑として侵入を禁止したのだが、釣り客は尚も「ちょっとくらい良いじゃないか」と引き下がらず口論になったという。

何故にここがそれほど魅力的な釣りスポットなのか地元在住者には理解し難いところがあるが、どうもSNSを含めたネット上での情報拡散によるものらしい。どうやってこの場所を知ったのかと尋ねたところ「ネットの口コミを見て来た」という返答もあったという。早朝からのボート取り卸しもだが、雨降りの日にわざわざ合羽を着てずぶ濡れになりながら船釣りする客もあったらしい。どのような釣りを展開するも人それぞれではあるが、地元在住者は一様に呆れている。「馬鹿じゃないの?」「ここはブラバスしか掛からないのに何が面白いんだろう」と。

市道は駐車禁止ではなく、県管理の小野湖も開放されているが故に、誰も釣り客に「来るな!」とは言えない。しかし話を伺った限りでも外部から次々押し寄せる釣り客の好き放題にされているも同然で、地元在住民の安寧な暮らしが保たれない状況となっている。行き止まり地点に車が停まっていれば殆どの車は三界萬霊の祠の空き地へ車を停めて歩くようだが、その場所とて本来自治会の土地であり、釣り客が車を停めるために整備したのではないという。しかしマイカー偏重社会である今どきにこの場所へバスやタクシーで釣りに来る人など皆無である。遙か離れた市や県の余剰地へ停めたり近隣で顔の利く人に断りを言って車を置かせてもらう人など居ない筈で、行き止まり地点に先客の車があれば祠のところに停めるか諦めて別のスポットを探している。そうなれば端的に言ってここを訪れているどの釣り客も地元在住者とはまるで無縁であり、歓迎されない存在となっている。

もちろんマナーをきっちり守った釣り客もある筈だが、一部の輩が勝手なことをしていれば釣り客全体への心証が悪くなるのは当然である。永年好き放題されて地元在住民がどれほど怒り心頭に発す状態であるかは、このたび一連の情報を聞き取った方からの次の言葉に代弁される。
私はいつかここでボート転覆などの大事件が起きて釣り客のどなたかお亡くなりになれば良いと思っています。結局、何か事故が起きなければ行政って絶対に動きませんから。
実際、この古道が私道として払い下げられていれば今ほど問題は起きなかった。この道を要する在住者とその人たちに直接の用事がある車が入るだけで、そうでない部外者は通報可能だった。それが現状は道路は認定市道、小野湖は県の管理という捻れ管理状態にあるがために対処を困難にしている。私道でないために外部車両の不法侵入を問うこともできない。地区道へ降格させたとしても精々、自治会の総意によって「関係者以外車の侵入を禁止する」の立て札を設定できる程度であろう。

私とて外部からの来訪者であったが故に、最初現地の在住者と会話を始めたときは大変に身構えられた状況だった。しかし私は釣り客ではなく単に写真を撮っているだけということ、車は別の場所(市の管理する土地)に置いてここまで歩いてきたこと、情報発信手段を持っていて必要があれば市道路河川管理課や県にも情報を流す余地があることを伝えると、現在地元在住者が置かれている状況を語られた上でむしろ懇願された。そして相当に永い期間にわたって我慢を強いられているも情報が充分に届いていないが故に放置されている現状を発信して欲しいと。私たちはここへ固定して住んでいる手前、強硬的な手段は執れない。来訪者は何人もあって入れ替わり立ち替わりだが、私たちはおいそれと他所へ移るわけにはいかず、下手に逆恨みされたら継続して嫌がらせをされかねないと。

在住者は更に語る。この地には昭和期から釣り人が訪れていた。しかし当時はまだ長閑なもので、来る人はそれほど多くはなかった。たまに電話を貸して下さいと頭を下げられたり、釣った魚を私と一緒に写して下さいというお願いがあったりもした。頻繁ではなかったから当時は快く対処した。現在は入れ替わり立ち替わりで平日も休日もなく釣り客が訪れている。しかも地元在住者への挨拶はいっさいなく黙って来ては車を停めて黙って帰る。顔が見えずどんな人か分からないから怖い。だから身構えざるを得ない。これには平成期に入ってからの常軌を逸した種の訪問販売(早い話が押し売り)や詐欺といった悪しき現象が増加し、更に身構えてしまう背景があると。

市としては小野湖にボートを浮かべての釣りはアクトビレッジ小野の施設を利用するよう指導していると言うが、県はこの場所を含めて随所に小野湖を開放する旨の標識を立てている。面倒な手続きも費用もかからず自己責任ですべてをこなせるこういった入江は釣り人にとって利便性が良い魅力的な場所であることは疑いない。いくら市が「アクトビレッジ小野を使え」と言っても県が小野湖の利用についてお墨付きを与えている以上、釣り客にとって小野湖は「何処でも好きなように使っていい場所」と認識されている傾向がある。
【 解決の糸口について 】
もし重大事故が起きれば、在住民が予言していたように恐らく釣りに関しての小野湖利用は制限か最悪禁止される可能性がある。外部からの釣り客来訪が地元に何のメリットももたらさない現状があるなら、釣り全面禁止は地元在住民にとって朗報にすらなり得る。しかしそれでは慣行的に認められてきた小野湖の水面という資源を潰すことになり大変に勿体ない話である。

真締川ダム未来湖も県管理であり同様に湖面が開放されている。ダムの近くにはボートを卸すための斜路が造られている。ただし釣りに適した魚が棲まないせいか利用者は殆どない。
小野湖は釣り資源を持つ人造湖なので、ある程度費用を投じてボートを卸せる場所をいくつか造る代わりにそれ以外の場所でのボート搬入撤収を禁止するというのはどうだろうか。ボートによる釣りでは湖面に近いところまで車で到達できる必要があるので、本路線のような場所はどうしても対象にされてしまう。現地でのボート揚げ卸しを禁止するだけでも船釣り客は来なくなる。

陸釣り客が車を停める問題については、私有地であるならば警察通報をたてに看板を設置する以外ない。しかし三界萬霊の祠の空き地のように自治会管理の土地の場合は微妙である。御堂へ参拝するなど本来の用途外に駐車はできないと主張するのは道理だが、釣り目的は用途外だから警察へ通報し対処してもらうというのは些かやり過ぎの感があるし、現状それだと警察は毎日のように対処をお願いしたいとの地元からの通報を受けることになるだろう。私有地の場合は私有地への不法侵入の廉で厳然と対処可能だが、自治会管理のような共用の土地の場合が問題となる。おそらくは強く主張はできないために、無断駐車は罰金X万円という実態はこけ脅しのような立て札を乱立させることになっている。明示しなければ「何も出ていなかったから停めた」という逃げ口上を許すため、この種の立て札は必要悪である。

よくありがちで最悪な手法は「釣り客のモラルに頼る」と訴えるだけで終わらせてしまう展開である。これでは何の解決にもならない。具体的に何がいけないのか、代わりに何が出来るのかの提示が必要である。不法駐車が迷惑で地元トラブルも絶えないからという報告ばかり続けば、最後には管理主体の県が全面禁止に至ってしまうだろう。例えばここに車を停めてはいけないと規定するなら、代替手法を提示しなければ釣りをする側も「禁止ばかりで釣り客に冷たい小野湖」のイメージが定着し離れてしまう。モラルに頼るも何も、釣り客と現地在住民の相互が何を考えどんなことで迷惑しているかが判っていない。これでは釣り客側も順守すべき規範となる考えを持ちようがないのである。

更に派生的ではあるが、本件は従来の井戸端会議的口コミからネットのSNSという新しい手段で情報キャッチした上で特定の場所へ押し寄せる行動について些か小さくはない問題提起となっている。
【 特定の場所を宣伝して人の流れを作ることについて 】
情報以下の項目は、本編の追記内容が増えた場合には派生記事として分離されます。

TwitterやFacebookといったいわゆるSNSを介しての情報伝播速度は、もはやそれを利用している私たちですら想像を超えるものがある。平凡な庶民がたった一枚の宝くじを買って当選し一夜にして大富豪になるように、それまで殆ど着目されることもなかった場所が特定の題材や特性について持て囃され、次々に外部から人が押し寄せるミニ観光スポットのようになった事例がいくつも知られる。それほど劇的な変化ではないが、例えば市内では宇部井筒屋横の市道沿いにある宝くじ売り場がそうである。今や都心部からわざわざ飛行機で山口宇部空港に降りて買いに来る熱心な宝くじファンの存在がある。

このような現象は商売に関しては手放しで歓迎されるべきことである。どんな物品やサービスを元に商売を始めるにしても、まずは人と情報の流れがないことには何も始まらない。注目され続ければ、話のタネを求めて追随する人も現れる。人もお金も始めから何もないところには行かず賑わっている場所へ群れたがる。だから人々は様々な工夫を凝らして注目を集めようと腐心している。

この釣りスポットの場合は爆発的人気とはとても言えないが、ネット上での釣りスポット情報を元に集まったのは疑いない。しかし釣り客は買い物などしない。現地で竿を振りボートを浮かべて魚を狙うのみである。周辺に店や食事処もないから、訪れて用事を済ませて帰るだけである。地元にお金は落ちずまったく潤わないどころか、精々ゴミという負の価値を落として立ち去るのみである。元々静かだった集落に外部から次々と人が押し寄せれば平安はとても保たれない。そして先述の駐車場、ゴミ、騒音といった問題が降りかかる。釣りでなくてもある特定の場所の集客を狙って宣伝する場合は、それに付随する負の効果を念頭に置いておく必要がある。

特定のスポットの魅力を伝えることに問題があるとは思われない。何処まで人気化するかは伝える側にも未知数だからだ。このことは当サイトでも同様で、こうした些末な問題を懸念して伝えようとする意欲が削がれることの方が大きなマイナスと考えている。むしろ留意しておきたいのは、始めからなにがしかのスポットを商機に使うべく宣伝しようとするなら、たまさかその魅力が多くの人に評価され継続的に人々が押し寄せることとなったときに相応な対処が必要になるかも知れない点である。

前述の宝くじ売り場は連続して一等が出たために「当たる売り場」の地位を不動のものとし、それ以降は継続的に宝くじを買い求める人々が押し寄せるようになった。その副作用として、市道琴芝通り南京納川津線の狭い一方通行の道で歩道へ片車輪を乗せた一時駐車が増えて歩行者の安全が確保されなくなったり、宝くじを買おうとする長蛇の列が往来の通行を阻害する現象が起きた。現在は周辺の歩道に駐車を制止するためのコーンバーが設置されたり、売り場付近には交通整理人が立って交通誘導を行っている。もし特定のスポットを宣伝するなら、たまさか人気化した場合に何が起きるかを可能な限り考え対処する用意が必要ということである。
出典および編集追記:

1.「Wikipedia - 駐車|車庫法による取り締まり

2.「FB|釣り客へ告ぐ”ここへ勝手に車を停めないで!”(2017/6/10)(要ログイン)

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