市道薬師堂立熊線・横話

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《 木田の灌漑用設備(1)》
木田には古い灌漑用構造物が多い。いや、多いというよりは比較的最近まで使われ必要とされてきたために破壊されることなく生き存えてきたからだろう。見るからに古めかしいことと、現代のような統一規格によって造られた構造物ではないので場所によって様々な形状や工夫がみられる点が興味深い。

市道薬師堂立熊線の起点部分に小さな溜め池があり、現在も使われているか否かは不明にしてもかなり古そうな外観を呈している。


かなり小さな溜め池で、水位は低く水面を覆うように植物が繁茂しており、お世辞にもキレイな溜め池とは言い難い。
そして市道に接する形で、余水吐らしき桝が顔をのぞけていた。ガードレールを跨いで接近してみた。


こんな格好で転落などしたら、かなり悲惨な状況だ。
用心しつつ身を乗り出し、中を撮影する。
構えてすぐシャッターを切っているので若干ピントが甘めになってしまった


機能的には、何処にでもある小さな溜め池の普通な余水吐の役割を果たす桝でしかない。
しかし溜め池自体もかなり古くからあったもののように見える。泥を被っている護岸部分は、張りブロックではなく、現場打ちの均しコンクリートに栗石を埋め込んだような構造になっていた。


余水吐の桝に堰板があることから、かつては周辺の灌漑用水を貯留するために使われていたのだろう。しかし現在は用水の需要期にありながら、堰板の下までも水位が到達していない。更にこの淀んだ水質から推測されるように、今は使われていないようだった。

《 薬師川の上流管理限界 》


設置されてかなり長いこと放置されているせいか、最初何の標識柱なのか分からなかった。


標識は三角柱で、一番幅広の面に文字が描かれていた。
微かに二級河川薬師川と読み取れた。


二級河川は県管理となっているので、恐らくこの標識柱は県管理の限界地点を示すのではないかと思う。
同様の柱は中山川と梅田川に関しても設置場所を確認している。

《 宇部興産・特別高圧線 》
市内の山間部を車で走っていると、たまに見慣れない小さな送電鉄塔を見かけることがある。

このような形状だ。
鉄塔ではあるがまるで一般家庭向けの電柱のように小規模で高さもそれほどない。


これは宇部興産の特別高圧線(特高線)と呼ばれているもので、厚東川ダム下にある厚東川発電所で得られた電力を自社工場に送るための専用線である。
設置時期は極めて古く、厚東川ダムの完成と同時期となる昭和24年代とされている。

厚東川発電所は宇部興産(株)が独自に設置した発電所で、得られた電力は構内の変圧器で22Kvに昇圧され、途中まったく分岐・合流することなく他の変電所も経由せず(宇部変電所の桃山開閉所も経由しない)独自のルートで工場群に向かっている。
独特の形をした送電鉄塔は、その外観から「スズラン型」に分類される。同種のものは県内ではかつて秋芳方面で観察された。
平成期に入って通常のコンクリート送電柱に置き換えられた模様

特別高圧線の辿るルートは極めて特異で、丸山ダム湖上を跨ぎ、厚東川水路橋のある急峻な崖を1スパンで一跨ぎし、殆ど霜降山の頂上近くまでの高みを通っている。鉄塔には通し番号が表示されているが、すべての鉄塔を完全に追跡するのは極めて困難である。

現在では国土地理院の地図から送電鉄塔ルート表示が失われてしまったが、Yahoo!地図の拡大表示では鉄塔の位置を確認できるので、大方の経路を覚えていればルートを特定できる。
この写真の場所は下の地図の中心点としてポイントされた場所になる。


特別高圧線を起点から浜にある地中化地点まで追跡することはかなり以前から思いついている一つのミッションである。
もっとも非常に労力の要る割に達成感の薄いミッションで、危険も伴う。点検整備する必要性から索道らしき踏み跡はあるものの丸山ダム湖付近は至る所ダム湖で分断されており、今のところ実行する予定はない。
《 沼田ヶ原に抜ける山道 》
正確に何処からがそうなのかは、市道薬師堂立熊線を一度正しい終点まで到達しないことには分からない。自分としては市道を外れることなく辿っている積もりでいた。





沢に沿って進んでいた記憶があるので、恐らく途中から市道を外れてピンク色の経路を辿ってしまったものと思われる。
最後に道を失ったのは小川を渡った先だったから、山道が小川の反対側へ移る×印あたりの何処かだったのだろう。

点線表記されていることからかつては沼田ヶ原と行き来する山道があった筈だ。しかし現在はまったく通る人が居ないらしく道の線形からして不明瞭になっていた。

「国土画像情報閲覧システム - 丸山ダム湖北西部(昭和49年度)の航空映像」
http://w3land.mlit.go.jp/cgi-bin/WebGIS2/WC_AirPhoto.cgi?IT=p&DT=n&PFN=CCG-74-12&PCN=C11B&IDX=8
別ウィンドウで開いたページ右上にある400dpiのリンクをクリックすると高解像度の画像が表示される
この航空映像を観ると、耕作が停まり荒れている田畑が手に取るように分かる。そして沢の上部は既に工事で発生した残土捨て場になっているのか、広範囲に灰色の土が広がっている場所もある。
残土捨て場と思しき場所の北西側に沢の分岐点があり、そこで沼田ヶ原に向かう山道と立熊に出る市道の線形がハッキリ見てとれる。山道と田畑、そして山野部が明瞭であり荒れ果てた藪は見られない。

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