市道西巳の内線

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現地踏査日:2009/9/13
記事編集日:2015/1/25
市道や県道の路線命名規則の一つに、起点と終点の地名を2つ並べる方法があります。県道琴芝際波線や、市道樋ノ口琴芝線がそうです。長い路線では起点・中間地点・終点の3つを並べる場合もあります。
しかし市道では単一地名のみを表記する路線が割と沢山あります。起点も終点も同一地域に収まってしまう短い路線に多いのですが、今回はその中から一つを紹介します。

起点は琴芝通りを沼の方へ進んだ途中にあります。

市道琴芝通り南京納川津線のある場所に立ち、入口部分を写しています。黒い車が出てきた右側の入口がこの市道の起点で、その手前にある間口の広い門扉は給食センターの入口です。[1]
これ…どのあたりか分かりますか?


正面から起点を撮影。
この風景を見て「あの道だ!」って気付いた方がいらっしゃるかも知れません。


舗装はされていますが、両側にネットフェンスとブロック塀が立ちはだかっており、見た目以上に狭く感じられます。それでいて結構、交通量はあります。
写真で観ると普通車同士の離合は厳しいように思えますが、徐行すればそんなにギリギリでもありません。
何度も経験済み

琴芝通りはご存じでも、この道を知らない方も結構あるでしょう。住宅地に向かう道のようで、行き止まりと思っていた方もいらっしゃるかも知れません。フェンスやブロックのせいで、慣れないうちは琴芝通りから入口を見つけるのが困難です。
間違って給食センターの前でハンドルを切ったって方がいらっしゃるかも…

恐怖の両側フェンス区間をやり過ごすと、この市道は軽く下りつつややカーブしています。


下ったところの左端が広くなっていますが、ここは知る人ぞ知るディスカウント店トライアル宇部店の駐車場の裏口になっています。ここから一般客の出入りも可能なことがこの市道の通行量が多い要因になっています。
交通量の極めて多い工学部通りへ出ずに済む

そこを通過すると両側の圧迫から開放され、やや広く感じられる区間に出ます。
しかしL型側溝は起点と同じ位置にあり、実質的に道路幅は同じです。


狭い舗装路内でのすれ違いが面倒なせいか、エイヤッ!とL型側溝に乗り上げて離合するドライバーもあるようで、側溝の縁をタイヤで擦った黒い跡が見えています。

振り返って撮影。
ここをカーブした右側がディスカウント店の裏口になります。
搬入庫が店の裏側にあるため商品積み卸しの大型車が停車している…店から出てくる一般客の車も結構多く見通しが悪いのでこの区間の通行は充分に注意が必要


既に終点が見えています。
ここもL型側溝の位置が固定されており、道幅が狭くなっています。離合するのに不便なせいか、至る所に乗り上げた跡が見られます。
左側も同様の構造になっているけどこれは歩道ではなく団地の駐車場


T字路から振り返って撮影。
ここで別の市道(琴芝沼線)に突き当たって終点到着となります。


たったこれだけのどうと言うこともない市道ですが、先に述べたようにトライアルへ車で買い物に来たドライバーが交通量の極めて多い工学部通りを経ずに出入りできるので、その方面での利用価値があります。市道そのものは全体的に狭く、終点側の琴芝沼線自体も悪線形で狭い区間が多いので、車での単純な通り抜けには適しません。
個人的にはトライアルで買い物するときは殆どこの道を通って出入りしている

私にとって最大の関心事は、市道の名前に冠せられた「西巳の内」という地名です。
それは現在ネットなどで閲覧できるどんな地図にも載っておらず、聞いたことのない字名でした。

前回紹介した市道樋ノ口琴芝線もそうですが、今は橋など一部に名前を遺すだけの古い字(あざ)が市内の至る所に存在しています。何十年と市内に暮らしていながら、由来が不明な字名を沢山知っています。いずれもかなり古き昔にまで地名の由来を遡るのでしょう。知らず知らずのうちに失われていく小さな字名を記録に遺す必要性を感じます。

【路線データ】

名称市道西巳ノ内線
路線番号877
起点市道琴芝通り南京納川津線・宇部市学校給食センター横
終点市道琴芝沼線・住宅生協沼第1コーポ横
延長約120m
通行制限特になし。
備考普通車の離合は困難。

延長など各データの正確性は保証できません。参考資料とお考えください
出典および編集追記:

1. この場所にあった給食センターは西岐波校区に移転された2014年以降閉鎖されている。
収録項目や写真が少ないので、以下に派生的記事をそのまま収録している。
《 巳の内について 》
記事公開日:2014/3/2
巳の内(みのうち)は本路線近辺にかつて存在していた小字である。本路線名としては西巳の内という小字で、同様の派生小字に東巳の内がある。小字絵図によっては己ノ内と表記されている場合もある。
西巳の内は現在のハローワーク(職業安定所)付近であり、東巳の内は参宮通り沼交差点の南側で、現在の国道の東西に跨っている。いずれも大字区分では上宇部の南の端にあたる。

巳の内の由来は不明であるが、野中に見内(みうち)という小字が存在することから何かの共通性が見いだせそうにも思える。現在では本路線以外に巳の内という小字を今に伝えるものは知られていない。そして本路線の認定市道名も登記簿の台帳と同様、個別に調べることにより入手できる情報で一般の目に触れるものではないので、事実上絶滅種の地名と言えるかも知れない。

トライアル宇部店
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