桜ヶ谷地区道【1】

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現地撮影日:2015/10/14
記事作成日:2015/10/22
情報この記事に登場する物件(桜ヶ谷地区道)は現在確認中であり、名称が変わるかも知れません。正式名称が判明次第、修正し本タグを除去します。

桜ヶ谷地区道などと言うと如何にも何かのネタや由来を隠し持つ物件に至る道と思われるかも知れない。実のところ、桜ヶ谷がこの道沿い近いことは大まかに知っていたものの、当初はそのことがこの道の進攻や記事化に至る動機ではなかった。

市道西山線からの分岐点である。
入り口近くには後でも述べることになるお店の看板が出ている。


この場所をポイントした地図を示す。
上の写真はポイントした地点から東を向いて撮影している。


ここは市道西山線の初期の姿を保っている区間の途中である。市道を通る車は結構多いが、その殆どが小羽山ニュータウン方面との往来なので南側100mのところにある場所で左折し東小羽山町の住宅内に向かう。市道のこの区間を通るのは沿線住民くらいで交通量は極めて少ない。そんなに交通量のないこの市道から、更に沢の先端を迂回して東に向かう道が見えている。

この種の枝道は大抵はそれほど離れていない場所にある民家で行き止まりになっているものだが、この道はかなり先の方まで進み、地図上では道路の表示がなくなる末端部分までは1km近くある。「この道の先は何処へ続いているのだろう」という好奇心が以前からあった。
しかし自転車でここまで訪れたことは今まで数回あれど、実行したことはなかった。まったく知らない道が延々続いていて迷子になりそうな気がしたし、沿線住民の方には失礼な話かも知れないが、人里離れた道を独り自転車で通ることの恐怖心もあった。何となく不気味だという漠然としたものではなく、道中でイノシシなどの野生動物に出くわすリスクがあるし、そもそも先にある民家のみが利用する私道だとしたら、大した用事もないのに自転車でウロウロしているとトラブルになる可能性がある。

数年前、市道の南側へ100mのところとこの場所に熱帯魚屋さんの案内看板が設置された。この看板が出されたことで少なくとも市道分岐からお店のある場所までは誰でも通って良い地区道と判断できたので、自転車での進攻を考える一つの良いきっかけとなった。
10月中旬の日曜日、東小羽山方面へ業務で訪れる用事ができた。訪問先は一軒のみだったし天気も良いので、以前から気になっていたあの道を調査しようと思った。以下はそのときの時系列レポートである。

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どんな場所であれ「初めて訪れた」体験は一生に一度しかない。目にしたものすべてを記録できるようカメラはすぐ取り出せる状態で自転車を進めた。

道幅は先ほどまで走っていた市道西山線の未改良区間とそれほど変わらない。舗装はされているが軽四同士でも離合は無理な幅である。
左側が棚田状態、右側は深い沢だ。


市道ではないのでガードレールはもちろん路肩標もない。
日照の少ない窪地側では竹の侵入が著しい。


この沢地は以前何だったのだろうと思いつつちょっと視線を遣った。
竹藪の中に何か人工物が見える。もっともこの写真からだと探すこと自体が一つのパズルだろう。


わざわざ降りることはない。道路から楽々ズームで偵察可能だ。
これは水を確保するための昔の溜桝だろう。口一杯まで水が溜まっている。


道路から見つけたとき、最初は井戸かと思った。このサイズのコンクリート円筒は向山を始めとしてあちこちに見られる。畑の作物に水を遣るために雨水を溜める桝だ。
大体サイズが似通っているということは既製品があったのだろうか…

路面の状態。
相応な通行があるので泥などは溜まっていないがアスファルト舗装の至るところに継ぎ接ぎや割れが目立つ。舗装したのも相当昔のことらしい。


民家の前で藪が開け道は左へ曲がっていた。
後から思えば道中の道沿いにある最後の民家だった。


その先でちょっと迷いかけた最初の分岐があった。
右は日当たりの良い場所へ向かっているが未舗装路、左はアスファルト舗装だが暗い藪の中へ向かっていた。ここは左側の分岐だろう。


まるで藪のトンネルのような暗い道になった。
その脇の空き地に成形された石材が大量に転がっているのが気になった。何か古い祠を解体した跡のようにも思えたのだ。


道幅はそんなに変わらないが両側から木々が枝垂れかかっている分だけ狭く感じる。
来訪者を安心させるためかここにも熱帯魚屋の看板があった。


藪のトンネル状態の道はやや下っていた。
その下り道の途中から敷地へ入る形で熱帯魚屋の分岐があった。


熱帯魚屋さんの入口は閉まっていた。ここまでの看板にはよく見えていなかったが、土日祝日のみ店を開けていることは初期に看板が出ていた時点で知っていた。
申し訳ないが今回進攻したのもお店を訪ねるのが目的ではなかった [1] のでそのまま先へ進攻することに。

店のところまでは間違いなく地区道だろうがここから先は分からない。しかし相応な幅のアスファルト舗装路なので恐らく私道ではないだろう。地図ではこの先にある地番のついた民家は2軒しか記載されていないが、かつてはもっと民家があって地元管理の道になっていたと思われた。まして今回は自転車でありこの先私道につき関係者以外進攻禁止などの表示もないなら通行しても問題はなかろう…[2]誰かに遭遇したなら川上へ抜けられないかと思って先へ進んだ…と言い訳も可能な状況なので。

熱帯魚屋さんを過ぎて藪のトンネルへ入ってからは周囲の眺めが効かなくなった。
暫く景色が変わりそうにもないのでこの辺りは自転車を漕ぎつつシャッターを切っている。
ややピントが甘めになっているのはそのためだ


眺めが効かないとは言っても進行方向左側には砕石所がそれほど遠くないらしくガラガラと石の破砕音が聞こえていた。

何もなさそうな景観が延々と続く中、路傍に見つかったもので初めて自転車を漕ぐ脚が停まった。
左端に何か石碑のようなものが見える。


荒削りの花崗岩柱だ。
全体を調べてみたが文字は何も書かれていなかった。


これは恐らく昔の境界石だろう。地区道とその外側にある民地を仕切るためか、民地同士の境界を定めるために置かれたものだ。もっとも単純に道路の外側を示す目的だけかも知れないが、意味あってわざわざ石材を設置したことに変わりはない。
それほど珍しいものではない代わりに、アスファルト舗装された道ばたではあまり見かけなくなった。より精密で境界を示すものであることが分かりやすいコンクリート杭に置き換わったからだ。

進行方向がやや南に振れてきた。木々の影を落とす方向が微妙に変わってきている。
道路自体の起伏は殆どなくフラットで進んでいる。


永らく藪に包まれていたが漸く視界が開ける場所に来た。
道路の端を補修した跡を見つけた。


進行方向右側は小さな沢地で、路肩が崩れていた。車が脱輪しないように鉄板で補修している。
脱輪を避けるためか、思い切り山側へ寄ってタイヤが山肌を削っている。


補修部分はまだ新しい。四輪での通行需要があるから補修したことが窺える。しかしこれだけでは今走っている区間が地区道なのか私道なのかは分からなかった。

右側の藪がとれて視界が効き始めた。
ここにも路傍に境界石らしき花崗岩柱がみられた。


この先に民家らしきものを見つけた。
すぐ近くまで家庭用の配電線が来ていたので民家と思ったのだが、倉庫のようだった。


この場所へ来て初めて今まで辿ってきた経路が分かった。
浅い沢地の遙か向こうに熱帯魚屋の前へ到達する直前に見送った民家が見えていた。


地図の通り、大きな沢地の先端をなぞるように迂回して到達していることが分かる。先に見える民家は視座よりも高いので、外とは繋がらない地区道を奥へ進攻していながら標高は若干下がっていることになる。
このまま下り続けるなら何処かで真締川の上流部へ出て来る筈だ。もしかすると一度は訪れたことのある川上地区のあの道へ出て来るのではないだろうか…という想像をしてしまうのであった。

(「桜ヶ谷地区道【2】」へ続く)
出典および編集追記:

1. 4日後の18日に東小羽山を訪れる便があったので再度自転車を走らせこのお店を尋ねている。この時の様子は以下のタイムラインに限定公開している。「『森の中の熱帯魚屋』に行って来ました

2. ただし四輪の場合は話が別である。この場所に限らず行き止まりが明白な道へ乗り入れた場合、個別宅を訪問することもなく沿線に車を停めてゴソゴソしていれば高い確率で不法投棄を疑われる。これは地区道に限らず認定市道でも同様であり、誰何されたとき初期対応がこじれたなら警察へ通報されるリスクを負うことになる。
換言すればそれほど行き止まり山道の沿線は不法投棄が酷い状況に置かれている

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