島1丁目の生活道【5】

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(「島1丁目の生活道【4】」の続き)
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さて、この近辺で残るのはP地点へ向かう下りだ。
《 M→P区間 》
右側は先の畑の続きである。土がある地面のせいか時期柄彼岸花が咲いていた。


それほどきつくない勾配の坂を下る。路面はアスファルト舗装。側溝はない。

左側、図書館の敷地になる石積みがかなり高くなった。
この先で少し左へカーブする。[1]


この石積みは古そうだ。しかも高い。路地から石積みの天端まで5mくらいある。
かつての図書館が設立される以前から築かれていたのだろうか…


この部分は最初に島地区の生活道としてレポートした2丁目の風景に似ている。
その道よりは幅が広く石積みも高い。


今となっては不思議が気がするのは、このすぐ真上が旧図書館で何度も訪れた場所であったという事実である。
郷土資料館にも何度か行ったものの、まさかこの下に生活道があるとは思いも寄らなかったのだった。


生活道は石垣を離れて市道の方へ向かう。


表面はアスファルト舗装だが、側溝のある縁部分は一段の石積みがそのまま遺っていた。


市道島2号線のP地点へ到達。
市道に面する部分は民家の進入路のようで気付きづらい。


市道島2号線は高校時代の通学路であった。しかしこの近辺からの寄り道は旧図書館といずれ述べる島地区の「失われた生活道」1本以外にない。かの有名な石畳道の見える市道島線ですら乗り入れたことはなかったのだから、何処へ行くとも分からないこのような生活道へ入ってみようという興味を私に起こさせるまで更に数十年待たなければならなかった。

市道島2号線からも市道島線にある石畳道の入口部分が見えていた。
奥の方のミラーが見えている場所だ。


自転車を置き去りにしているので当然このまま戻ることとなる。


市道側から進攻すると、より図書館の石積みの高さが際だって見える。


石積みが方向を変える部分だ。民家の敷地に接していて、ここからは建築ブロック積みになっている。


旧図書館の玄関部分が直接見えないかちょっと背伸びしてみた。
敷地に生える樹木に隠され見えない。代わりに民家の敷地内の石積みに面白いものを発見した。


陶管である。図書館敷地内の雨水排水向けだろう。
ラッパ状に拡がった部分を上向きにして差し込み、継ぎ目部分をモルタルで充填している。
民家の敷地の内側であり当然接近はできない


陶管はかつて至る所に使われたし今でも古い家の周囲には残っている。しかし重くて衝撃には弱く、現在では耐久性のある塩ビ管にほぼ置き換わっている。新規に使われる素材ではないし、現在では手に入らないのでは…

ここは郷土資料館のほぼ下になる。高低差のため生活道からは郷土資料館の建物は見えない。


石積みの次のコーナー付近から登り坂が始まる。
この曲がりの外に気になるものを見つけた。


建築ブロックに寄せて置かれているこの木の板は何を意味するのだろう。
流れる土砂を留めるには不十分だし、立て札の意図はないらしく何も描かれていなかった。もしかすると「この先は道ではありません」を暗に訴えるものではないかと思った。


「道ではない」と暗示されると、逆に本当はこの先に生活道があるけど危ない状態になっているので塞いでいるのでは…と邪推された。通る人が殆どおらず道普請が大変なので、通行禁止ではないが簡素な柵を置いてやんわりと通行を遠ざけているような生活道は他の地区にもみられる。[2]

塀に沿って草は刈られているので進攻はできそうだが、民家とは塀一枚隔てた近さでどう見ても常識人が通るような道には思えないので自重した。

石積みの有り様によってその敷地の重要性が見えてくるようだ。
畑地と建物のある敷地とで積み方が異なっている。


即ち畑地では建物など重い物が載らないからか、あり合わせの石材を適宜積んで目地を詰めている。他方、敷地側は間知石を積み上げて堅牢な造りとしている。
経済力の問題もあるかも知れない…地域有力者の敷地は大抵相応な石積みを備えている


M地点へ戻ってきた。
これで1丁目の市道に近い部分は一通り歩き通したことになる。


しかしまだ若干残っている。1丁目の北側、B地点からの分岐だ。

ここを後回しにしたのはいろいろ理由があった。残念ながら既に現地が改変されていることと、路地と言えるかどうか分からないカオス的要素を含む道があることに気付いていたからだ。

(「島1丁目の生活道【6】」へ続く)
出典および編集追記:

1. この曲がりの部分にある石積みは上半分を築き直したもののようだ。間知石の外観や目地部分の処理が明らかに異なっている。

2. たとえば恩田町のある場所にも現在殆ど塞がれて内側が草ぼうぼうになっている廃生活道ともいえる路地がある。

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