参宮通り

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記事作成日:2019/1/15
最終編集日:2019/11/19
情報この記事は現在の国道490号線に含まれる参宮通りについて記述しています。
前身となる道の成り立ちにおける参宮道路については こちら を参照してください。

現在における参宮(さんぐう)通りとは、松山町一丁目交差点から琴崎八幡宮の前までの区間に与えられた名称である。 写真は琴芝歩道橋から北側を撮影した参宮通り。


松山町一丁目交差点は国道490号の起点であり、これより琴崎八幡宮の下までほぼ南北を貫く直線的な道路となっている。現在の常盤通りと同様、往来を目的として人為的に造られた道路である。前身となる道から整備された道路、そして幾度もの拡幅を経て現在に至るまで改良を重ねられてきた。殊に初めて本格的な道路建設が行われたときから恐らく国道490号に昇格する頃までは参宮道路と呼ばれてきたが、現在では歴史的呼称とみなされており専ら参宮通りと呼ばれる。

参宮通りが正則の呼称となった時期は未だ充分に調べられていないが、最初期の道路建設が行われたときは現在の松山町一丁目交差点相当の場所ではなく緑橋通りとの交点であったと推察されること、松山町一丁目交差点を起点として国道490号に昇格したのは平成4年であったことより、以下では暫定的にこの道の誕生から概ね県道(主要地方道宇部秋芳三隅線)時代においての該当区間を参宮道路、松山町一丁目交差点を起点とする現在の該当区間を参宮通りとして記述している。両者の区分は厳密なものではなく、今後修正されるかも知れない。
《 現在の参宮通り 》
2017年3月までに神原町付近の6車線化工事が完了し、参宮通り区間における当面の道路改良が終了した。この拡幅工事においての詳細は別途述べる。常盤通りや松山通りと異なり、区間によって幅員などの構成が変化するので、以下は参宮通りで全区間に共通する部分を記述し、更に全体を主要な交差点でいくつかの区間に区切っている。
【 共通部 】
車道の基本部分は上下線4車線で、すべて排水性アスファルト舗装である。改良後の整備で路側部分も充分な幅が確保されている。主要な交差点すべてに右折専用レーンが付属し、時差式ないしは右折専用矢印で交通整理されている。全区間に中央分離帯が備わり、交差点や横断歩道、市道の交点では分離帯が切られている。ただし中央分離帯は外灯および間詰めコンクリート施工であり植樹はなされていない。歩行者向けの押しボタン式信号機は、上宇部小中学校の登下校路や地域住民の往来需要が多い区間に集中している。そのすべてが横断リクエストをリアルタイムで処理するのではなく、前後の主要な交差点に半連動するタイプである。

平面交差以外の道路横断手段として歩道橋が3箇所存在する。地下道は当初から存在していない。
【 松山町一丁目交差点〜神原交差点 】
松山町一丁目交差点は参宮通りの起点であり、常盤通りと松山通りの接点ともなる広大な交差点である。常盤通りは歴史的にも50メーター道路として整備された背景もあり、交差点が占める面積としては恐らく市内最大である。[1]

起点より参宮通りを進むと、内陸部へ向かいながらかなりの下り勾配となる。自転車では跨がるだけで転がるし車でも明らかな下り勾配と視認できる程度である。これは起点が沖ノ山の砂州上にあり、東西に伸びる砂州を直角方向へ下っていくためである。近代的な自動車であればまったく問題はないが、人力車では負担が重いと考えられたからか昔の道は同一経路をたどらず砂州を斜めに下っていた。したがって起点から後述する緑橋通りとの交点まではオリジナルの参宮通りではなく、戦後新規に造られたものである。

100m程度進むと、最初期の東西に伸びる道であった緑橋通り(市道緑橋芝中線)と交差する。それから100m以内に後年造られた警察署を右手に見る通り(市道宇部新川恩田線)と交差する。交差点が近接しているため、この2つの信号は僅かなタイムラグをもって連動している。警察署方向への右折車両が多いため、後者の信号機は右折矢印が備わっている。

JR宇部線の神原踏切のすぐ手前で左側から市道塩田川線が接続する。この道は一方通行であり参宮通りから入ることはできない。また、塩田川線からの退出は左折のみ可能である。その後踏切を横断する。起点からここまでは比較的早い時期に対面3車線の6車線が実現していたが、2018年までは踏切直後で一番左側のレーンがなくなり4車線となっていた。

踏切横断後は塩田川が暗渠で横切っている。また、かつて参宮通りに沿って渡内川が流れていたが、2018年に完了した6車線化工事でボックスカルバートとなりその上を車線と幅広の自歩道が利用している。
【 神原交差点〜西梶返三差路 】
渡内三差路(仮称)の反対側の歩道近くに、1と書かれた黄色い三角柱が据えられている。これは主要地方道宇部秋芳三隅線時代の距離標である。同種の距離標は、国土交通省管理の国道2号、190号には完備されており、県管理では主要地方道には過去に据えられたものが若干遺っている。これは参宮道路時代の緑橋通りからではなく現在ある松山町一丁目交差点からの積算と思われる。次の2キロを示す距離標はまだ確認されていない。恐らく道路拡幅にかかり除却されていると思われる。

冒頭の写真に見えるように、参宮通りは西梶返三差路の少し手前から僅かに西へ曲がっている。前身となる参宮道路は元々琴崎八幡宮までの直線路を意図して造られただけにこの曲がりは不可解だった。近年のこと初期の参宮道路がいくつかの工区に分割施工されたことが分かり、梶返付近に工区の境があったために生じたものと考えられている。
【 西梶返三差路〜沼交差点 】
【 沼交差点〜大小路交差点 】
沼交差点を過ぎると大小路交差点に向かって少しずつ縦断勾配がついてくる。東側は張り出した尾根を切り取った場所が多く、一部に石積みや高台に取り残された地山がみられる。上宇部中学校に向かう京納山門線手前の参宮通りからも見える厳島神社は特に顕著である。

上宇部市民センター前は東側にかなりの台地部分が続き、民家は道路から数メートル高い位置にある。中村寺の前線の東側は路線としては参宮通りを横切っているものの、実際の往来路は取り付け道が捻れたスロープ状となっている。元々は台地部分との高低差を急な坂で結んでいたのだが、四輪が往来できるように平成後期に入って現在の形に改造している。西側はかなり低くなっており、参宮通りがなだらかな台地の中腹を通っていることが窺える。

この辺りは四輪による参宮通りの往来需要は殆どないのに対し、歩道橋や定期サイクルで動作する信号機がないため歩行者の往来需要はかなり多い。これに呼応して上宇部市民センター前から3箇所連続して押しボタン式信号機が設置されている。これらの信号機は横断リクエストに即応するものではなく、前後の主要な交差点(特に沼交差点)の動作に連動しているため、押してもすぐには渡れない場合がある。待ち時間の長さのせいか、信号を待たずに渡ったり元から信号機のない場所で横断を行う歩行者が多い。しかしこの近辺の本線は4車線で横断に時間がかかる上に往来の車は直線路でスピードを出していて危険なため、歩行者の横断禁止を明示する標識が数ヶ所に設置されている。


【 大小路交差点〜琴崎八幡宮交差点 】
参宮通りの末端部となる琴崎八幡宮前は、平成初期の道路拡幅においてかなり手が加えられている。かつては八幡宮前にロータリーに近い半円状の待機所があり、バスが転回していた。この場所でタクシーも待機していた。待機所と歩道の間は殆どガードレールで仕切られていたため、八幡宮前を待ち合わせ場所に指定して車で送迎するとき、ガードレールのせいで乗り降りが困難だった。

また、かつては琴崎八幡宮交差点の手前に陸橋が設置されていたが、恐らく拡幅に伴い除却された。代わりに市道西山線へ向かう取り付け道を延伸し、琴崎八幡宮の駐車場へ向かう管理道と併せて変形十字路にし新規に信号機を設置している。
出典および編集追記:

1. ただし交通量では藤山交差点が上回るものと思われる。
藤山交差点の一日当たり交通量は県下最大と言われる
《 他の道路との関係 》
参宮通りは南北に貫く道のため、横切る道は概ね東西方向となる。ただし、内陸部へ向かうにつれて斜めに横切ったり片側のみに接続する道が多くなる。
【 横断・接続する道路 】
この項目では参宮通りに関与する認定市道および四輪の通行可能な地区道を挙げる。交差点名でカッコ書きのものは当サイトにおける暫定的な呼称、接続状況は当該市道が横切る場合は横断、起点および終点が接続する場合はその位置と起点終点の別を書いた。

路線番号路線名交差点・三差路名接続状況
R190国道190号松山町一丁目
467市道常藤線---東側に接続(起点)
40市道緑橋芝中線参宮道路交差点(仮称)横断
42市道宇部新川恩田線宇部警察署前交差点横断
---(地区道)---東側に接続
480市道塩田川線---西側で接続(終点)
---(塩田川河川管理道)---東側に接続
484市道琴芝町3号線---西側で接続(終点)
H342県道琴芝際波線神原交差点西側に接続(起点)
25市道神原町草江線神原交差点東側に接続(起点)
443市道梶返野中線---東側に接続(起点)
487市道琴芝梶返線---西側に接続(終点)
444市道渡内野中線渡内三差路(仮称)東側に接続(起点)
52市道北琴芝鍋倉町線西梶返三差路(仮称)東側に接続(起点)
---(海南市営住宅地区道)海南三差路(仮称)西側に接続
22市道西の宮野中線沼交差点横断
---(地区道)---東側に接続
496市道沼線---東側に接続(起点)
211市道京納山門線---横断
493市道沼2号線---西側に接続(終点)
834市道まかよ山門線---東側に接続(起点)
494市道中村寺の前線---横断(屈曲)
828市道南琴崎線---西側に接続(起点)
---(地区道)---東側に接続
495市道まかよ小串線---横断
---(地区道)---東側に接続
---(住宅内道路)---双方に接続
14市道丸山黒岩小串線大小路交差点横断
918市道福原公園線---西側に接続(起点)
505市道寺の前大小路線---東側に接続(終点)
---(住宅内道路)---西側に接続
---(県道取り付け道)琴崎八幡宮前交差点(仮称)西側に接続
---(琴崎八幡宮管理道)琴崎八幡宮前交差点(仮称)東側に接続

仮称を含めて三差路・交差点の名称を与えているものは車道の交通整理を行う信号機が付属している。物理的に右左折可能であっても朝の登校時間帯には進入不可の制限がかけられている場所(市道渡内野中線、市道まかよ山門線)がある。四輪の往来可能な幅がありながら東西片方のみに接続している道路は、反対車線から右折しようとする場合に中央分離帯に阻まれていたり位置がずれたりしていて右折困難な場所がある。

見かけ上は交差点でありながら車が横切る往来需要が少ない場所では、歩行者向けの押しボタン式信号機のみの場所が多い。これらの場所を車で横切る場合信号機に依らず自己判断となるが、朝夕のラッシュ時間帯では非常に困難である。
【 接続する里道 】
参宮通り自体が人工的に造られた道であるため、それ以前から存在していた踏みつけ道由来の里道が無数にある。参宮通りに接続される場所は店舗の駐車場と共に整備されているため、里道の存在が見えなくなっている場所がある。元々は畦畔が存在していたと思われるものを溝渠のみ残して敷地へ組み込まれている場所も多い。それらの往来実態は場所によりまちまちであるが、ある程度は地元在住者により歩行されているようで、道そのものは在りながら草地で荒れるなどして喪われている里道はない。
出典および編集追記:

b1.「宇部ふるさと歴史散歩」p.43, 102

《 Googleストリートビュー 》

《 近年の変化 》
神原踏切〜西梶返三差路の6車線化が完了したのはごく最近(2017年)のことで本編に記述しているため、ここではそれ以降の本路線および沿線の変化について記述する。
《 個人的関わり 》

2019年より参宮通りを軸とした神原・琴芝・上宇部校区を対象に道路安全マップの作成計画がある。これに先立ち、同年1月配信分となるVol.32では「参宮道路」のタイトルでコラム執筆した。しかし後に市民活動課がこの企画に賛同を示さず予算配分を却下したことで頓挫している。

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