セッテン!!

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記事作成日:2022/10/5
最終編集日:2022/10/7
注意この総括記事はまだ関係者によって充分査読されておらず、今後の編集追記で一部の内容が修正されることがあり得ます。査読終了後に本タグを除去します。

ここでは、2022年9月29日と30日に宇部フロンティア大学付属香川高校(以下「香川高校」と略記)の総合学習の一環として実施されたセッテン!!について記述する。
写真は体育館での実施状況。
撮影者は専属カメラマンであり掲載されているこのサイズの画像の著作権は撮影者に帰属します[1]


セッテン!!は、おそらく一般社団法人豊かな暮らしラボラトリーの提唱する活動の一形態で、総合学習の一環として中高生たちと地域在住の社会人が後述する人生グラフを通して歩みを振り返り合い、時間と価値観の重なる接点を見出すことで学生・社会人相互のより良い生き方に繋げる取り組みである。

全体の流れは、山口大学教育学部の学生によって主導された。場所は宇部フロンティア大学の体育館で、事前に参加申し込みした社会人と高校1〜2年生の生徒たちが参加者である。この取り組みは課外学習ではなく正規のカリキュラムの一環として行われたため、対象学年の高校生すべてが参加している。

交流的対話からなる取り組みなので、正規のカリキュラムにある活動とは言っても教員主導型の授業ではない。知識や経験を持つ社会人が生徒たちへ一方的に伝授するのではなく、人生グラフを通じて過去のできごとを自己評価し伝える事例紹介である。社会人からすればイベントであるが、生徒にとっては総合学習的な授業である。生徒も社会人も人生グラフの作成という共通課題に取り組み、現在に至るまでの歩みを自分で客観評価し、相互に提示し合う点で一般の授業とは異なる。

普段は接点があまりない社会人と高校生が一対一で向き合う機会を大切にしながら、生徒たちが共通して社会人の話を聞ける学習授業的な要素もあり、一定の時間の中で効率よく進める工夫がされている。
《 下準備 》
人生グラフを作成する用紙が配布される。内容は生徒と社会人で同一であり、社会人には事前に開催された説明会で配布されている。個人的には説明会に参加したメンバーから入手している。これがセッテン!!で中核的役割を担う資料であり、授業までに各自が作成して持参する。
【 人生グラフ 】
人生グラフとは横軸に時間の流れを、縦軸に自分の気持ちの浮き沈みを±100レベルにとったB4用紙である。グラフ作成者は今までの自分の人生を振り返り、記憶に強く残る主要な出来事とその時の感情値を時系列に沿って大まかにプロットする。


感情値から愉しい出来事は上側に、辛く哀しい出来事は下側へプロットされる。辛い時期が長く続けばグラフは横方向の軸よりも下側へ滞在するようになる。生徒は16〜17歳なので横軸は広くとれるが、私のように50歳代ともなれば生誕時から現在までのすべてをプロットすると横がかなり窮屈になる。

記憶が殆どない幼少期はしばしば省略され、思い出したくないほど負の要素が強いイベントは省略しても良い。
最後にすべてのプロットを曲線で結ぶとグラフが完成する。


実際にはそれぞれの出来事が曲線的に連続するわけではない[2]が、過去を振り返って時系列に沿った分析を行うのが主眼なので厳密性は問われない。ここまでが「人生グラフで”カコ”を振り返る」ステップ1である。

ステップ2で「”イマ”を考える」と称して、人生グラフを元に現在の自分の満足度を10段階で自己評価する。項目は仕事・プライベート・趣味・総合となっている。この数値に厳密性は必要とされず、専ら実際にこの人生グラフを提示して説明するときの目安となる。


用紙にはステップ3として「生徒と一緒に”ミライ”を考える」記入枠が用意されているが、この部分は実際にセッテン!!の授業を行うときに記入するので、人生グラフの作成時点では空欄のままにしておく。
【 人生紙芝居 】
参加する社会人のうち、事前開催の説明会で決定された3名は人生グラフの代わりにその流れを画用紙へ視覚化した人生紙芝居を作成し持参する。
【 主催者側の準備 】
会場となる体育館の床に各グループの識別文字と数字が書かれたテープを貼り、その周囲に6枚が端で繋がれたA4用紙を裏返して置く。
29日の開催時に撮影


これは授業開始時に表向きにして自己紹介ゲームを行うとき使うと共に、参加者のソーシャルディスタンスを維持するための着座位置の目安にもなっている。参加者には直接関係がないが、この他に進行を図式化するための投影機やスクリーン、マイクなどがセッティングされる。
《 実際の流れ 》
以下は、2022年9月29日と30日に行われた流れを元に記述している。既に記憶が曖昧であり順序が異なっている部分があるかも知れない。
【 社会人グループ分け 】
社会人は開催時に受付で名簿チェックした後、必要な資料やアイテムが入った封筒を渡される。これとは別に紐付きのネームカードが手渡され、入館してカードに書かれた識別文字と同じ初期グループの位置へ移動する。この場所は後に生徒たちと人生グラフを提示し合うグループ位置とは異なる。この時点でまだ生徒は入館していない。

グループは4〜5人で構成され、グループの数は当日の参加生徒数に応じて増減される。床に着座後、各人が自分を呼んで欲しい名称(ペンネーム等でも構わない)をネームカードに書いて首からぶら下げる。


開始時刻に主催者からの挨拶と当日スケジュールの説明がなされる。
【 人生紙芝居の披露 】
参加する社会人のうち事前に決められた3名が前に出て人生紙芝居を披露する。
写真は新川歴史研究会メンバーの仲さんの人生紙芝居の実施状況。


これは参加した社会人向けであり、後に生徒たちに行う人生紙芝居の予行演習にもなっている。
【 自己紹介ゲーム 】
各グループは円陣の中央にある端で繋がれたA4の紙を裏返す。そこには好きな映画は?など6つの質問が書かれている。


参加者は(感想やメッセージを書くために)筆記用具を持参しているため、各自が持っている筆記用具を自分のコマに見立てて円陣の中央に置く。それから最初の自己紹介者を決めるために各自の今日の起床時間を申告する。一番早起きだった人が最初の発言者になる。発言者は右隣りの人とジャンケンして勝ったらコマを2つ進め、負けたら1つ進ませる。そして自分の名前や活動などを自己紹介し、コマの置かれた位置にある質問事項を追加して答える。この流れを順次繰り返す。

各人の発言は数分でテンポよく進めば2周目に入ることもある。これは社会人グループ内での自己紹介ゲームであり、後で行う生徒を交えた自己紹介ゲームの予行演習にもなっている。なお、社会人グループでは各自の人生グラフの提示や説明は行わない。
【 生徒の入館とグループ分け 】
社会人グループの自己紹介後、全員で大きな円陣を作って開始の宣言を行う。
写真はキックオフ宣言のシーン。


この時点で生徒は体育館の入口外で待機している。社会人は入口より2列に並んで入場する生徒たちを拍手で出迎える。

説明の後、生徒と社会人は渡されていたネームカードやメッセージカードに書かれている数字のグループへ移動する。写真はグループ番号と人生紙芝居を上演する位置が示されたスクリーンの画像。


したがってどの生徒が何処の社会人のグループへ行くことになるかは完全にランダムである。人生紙芝居を担当する社会人3名は特定のグループには属さず、それぞれが体育館コーナーの3ヶ所へ移動する。
【 自己紹介ゲーム2 】
社会人1人と生徒3〜4人のグループで自己紹介ゲームを行う。内容は社会人グループで行ったものと同じである。
【 社会人の人生グラフ提示 】
各グループの社会人は、人生グラフを円陣の前に置いて時系列に沿ってグループの生徒たちに説明する。
【 対談と人生紙芝居 】
各グループには生徒が最大で4人居る。このうち3人が人生紙芝居を観に行き、1人が社会人との対談者としてグループに残る。その順番は朝早く起きた順などで適宜決める。グループに残った生徒は、自分の作成した人生グラフを円陣の中央に置いて解説する。セッテン!!の中核的な部分である。


社会人は生徒の一通りの説明が終わるまで傾聴する。それから浮き沈みのあったここまでの人生でのイベントを受け止めて生徒の新たな刺激になるかも知れない知識や経験を話す。辛い時期は多くの生徒が持つものであり、その痛みを共有する。この辺りの振る舞いについて特に守るべき事項は最初に主催者側より提示されるが、それ以外についてはグループをまとめる社会人の意向が尊重されている。

一人当たりの時間は概ね10分程度に設定されている。人生紙芝居を観に行っている生徒は、最初に決めた順番にしたがってグループへ戻るか別の人生紙芝居を観に行く。こうしてグループすべての生徒が社会人との一対一の対談と人生紙芝居を3人分観に行くことで終了する。
【 未来を考える 】
社会人と生徒は、各自の人生グラフで空欄になっていたステップ3「生徒と一緒に”ミライ”を考える」を埋める。
これはステップ3欄を書き込んだ後の私の人生グラフ。


書き込んだ後で全員が自分の人生グラフを提示しながら感想を語り合う。
【 生徒からのメッセージ 】
グループの社会人は、入場時に渡されていた生徒向けのメッセージ用紙を渡してこの取り組みで感じたことを書く。社会人も生徒向けのメッセージ用紙に書く。

各生徒は自分の書いたメッセージをグループの社会人に渡す。
写真は29日実施分で受け取ったメッセージ。
内容を判読できない程度に不明瞭化させている


社会人は生徒の人数分のメッセージを受け取り、このメッセージは想い出として持ち帰ることができる。

社会人が各生徒にあてたメッセージは一枚の紙に人数分の枠が印刷されており、それぞれ名前を書いて簡単に贈る言葉を書く。
写真は提出前に撮ったメッセージ用紙。
生徒の名前を抹消している


このメッセージ用紙は生徒に直接手渡すのではなく最後に主催者側へ提出する。
生徒が直接読むには不適切な文言が含まれていないかチェックするためと思われる

メッセージの授受を経て、生徒を交えた対談は終了する。生徒がいなくなったことでグループ数が減るので、不要になったグループ番号が書かれた6枚の紙は回収される。
【 セッテン!!への感想提出 】
生徒を見送った後、社会人は最初に居たグループに戻って用意された紙に感想や要望事項を書く。各生徒にあてたメッセージ用紙と一緒に運営側へ提出し、最後に記念の集合写真を撮影した。

写真は30日に参加した社会人の集合写真。変顔を作っているのではなく顔の前でを作っている。
私は片手に眼鏡を持っていたので同じ動作をとらないまま写っている


開始から終了までの流れを記録するカメラマンが全体と各グループの社会人の写真を撮影している。参加した日の写真をダウンロードできるように Google フォトにアップロードされリンクが共有される。スマホを持っていれば提示されたQRコードを読み取ることですぐにアクセスできる。

最後に首から掛けた名札カードを返却して解散となった。
《 情報共有 》
一両日の間、進行状況を記録する専属のカメラマンが全体像や個別のグループ活動状況を撮影している。参加する社会人自身のカメラ撮影は禁止されていないが、生徒や不特定の参加社会人にカメラを向けるのはトラブルの元であり常識的な判断に任されている。[3]特に生徒の個別情報をSNSなどで共有しないように開始前にアナウンスされた。

このため殆どの社会人参加者は活動中の写真を持っていない。専属カメラマンによって撮影された画像は、終了後 Google フォトにアップロードされて参加メンバー限定ですべての画像を閲覧&ダウンロードできる環境が整えられた。

これとは別に、参加者へセッテン!!に対する評価や感想、意見などを提出するフォームのリンクが送られた。集められたデータは誰がどのデータを提出したか分からないように匿名で収集されている。
《 評価と検討を要する点 》
以下は一両日に参加した上での個人的評価である。

セッテン!!の取り組みは、疑いの余地なく今後の教育が進むべき方向を示している。従来の教育は、ややもすれば知識と経験を持ち合わせる年配者や先生からの上から目線的なものだった。その種の教育も教科学習としては必要だが、先に生きて多くを経験している一般社会人的「先生」が、大人も子どもも同じ一個の人間として良き生き方を共に考える上で総合学習の中でも大事な部分である。

今やネットの上には信頼できる情報がかなり整備されており、知識と経験を伝授するのはリモートでかなりの部分を代替可能である。そうは言っても書かれたドキュメントを読むのは時間がかかる。口でしゃべる方が早いし、そのとき語られた口調や表情で何処がどれほど重要なのかを伝えることができる。更に受ける生徒の側からもレスポンスを提示できる。こういった相互交流こそが教育なのだが、従来のような複数の生徒を一堂に会させて行う手法では、細かなところまで行き届かなかった。

同種の取り組みが他の小中高の学校のみならず、一般向けにも拡げられる余地を残している。行き方に迷ったり自分の在り方に苦しむ人は一般の社会人にも多い。それを在り来たりの自己啓発セミナーの如きビジネス目線で進めるのではなく、まずはヒトとヒトが向き合う場を設けようというスタンスを表に出せば、かなり興味を持たれるのではないだろうか。
【 開催場所と環境について 】
以下は、参加者視点として改善の余地がある点と、それに対応する提案である。概略は運営者側にメールで送付済みであるが、長くなり過ぎるので詳細をここに記述している。

・全体の流れについて。最初の社会人グループ分けと自己紹介はなくても良いのでは。セッテン!!の趣旨は社会人と生徒たちが接点を持つことに主眼のある総合学習であり、社会人同士が自己紹介する意義に薄い。社会人グループは最初と最後に集まるだけなので交流を持つ時間も短い。この部分を省略して開催時間を短縮した方が良い。生徒はともかく、長い時間体育館に座って疲れたという社会人の声が多かった。
… 社会人のグループ分けをせずに集合してもらって流れを説明し、すぐに生徒に入場してもらえば開催時間を短縮できる。午後1〜4時の3時間体育館の床へ座りっぱなしはきつい。

・体育館での着座方法について。生徒と社会人の大人数が移動するのが容易なメリットがあるが、合板貼りの床へ長時間直座りすると足が痛くなる。参加者の中でも椅子が欲しいという意見が散見された。将来的に高齢者や足の不自由な参加者があった場合の対処が困難である。
… 必要に応じて座布団を持参してもらう。
… 生徒と参加者に一脚の事務椅子を預けて移動時に携行する。
… 参加者を分割して椅子に座って開催できる各教室を使って複数回開催する。

・体育館での室温について。開催時期にも依るが9月末でも暑い日がある。特に30日は気温が高かった上に前日より生徒人数が倍近く増えたこともあり、館内がかなり暑かった。社会人は(生徒よりも多くしゃべるため)あらかじめペットボトルのお茶などを持参していたが、生徒は手ぶらで来ており熱中症対策が要る。特に一対一で対談する間、生徒は社会人に遠慮してトイレや水分補給に中座しづらい状況が考えられる。
… 開催日を気温が温暖な時期に選定する。
… 寒暖がある時期の開催では複数の教室を使って実施する。
【 メッセージカードなどのアイテムについて 】
・社会人から生徒へ伝えるメッセージカードの仕様について。書き込む欄が狭い。B6サイズの紙一枚の半分のスペースに3〜4人へのメッセージを書くので、どうしても文字が小さくなる。この内容がどのような形で生徒に渡るのか分からないが、査読後に別途メッセージを印刷したものを渡すなら社会人の自筆が伝わらない。査読後メッセージカードを生徒別にハサミで切って渡すとすれば大変な手間が要る。
… メッセージカードを大きくするか、最初から生徒の人数分のカードにする。その方が査読後に社会人自筆のメッセージが生徒に伝わる。

・社会人が各生徒あてのメッセージを書くタイミングについて。生徒の人生グラフの説明からメッセージカードを書くまでの時間が離れているため、内容を思い出せない。生徒は名札を提げていないので社会人はグループに居る生徒全員の名前を覚えきれない。まして各生徒が人生グラフを拡げて語った内容を覚えていない。生徒に再度人生グラフを見せてもらい、名前と話した内容を思い出しながらメッセージを書いた。その方が生徒もメッセージを受け取ったとき「キチンと自分の話したことを聞いてもらえていた」という気持ちが強まるだろう。
… 生徒へのメッセージを書くタイミングを、一対一の対談が終わった直後から生徒たちが移動している間にする。
… 生徒が社会人へのメッセージを書いている間、社会人は各生徒に再度人生グラフを見せてもらってから書く。
【 進行と演出について 】
・当日の司会進行について。メインの司会者をはじめとして数人の協力者が居る中で、役割分担や連携に改善の余地がある。生徒たちが体育館の外で待機している間、入場の準備が整ったか否かを連絡する人が居らず、司会者自身が体育館入り口まで走って行ってまた戻る場面があった。恐らく責任感が人一倍強いが故のことだろうが、生徒を迎える拍手前に待機している身として司会者さんが走り回っているのを見て可哀想な気になった。
… 生徒の入場と退出の前に協力者を出入口に待機させておいて司会者と連携する。

語り部が前に出て人生紙芝居するとき、画用紙をめくるサポート役が必要である。語り部はマイクを持って話しているので、片手で画用紙を保持するのが精一杯である。次のページへめくるには両手が必要なので、その都度話すのを中断してマイクを持った手でめくっていた。前に出て手伝おうかとも思ったが出しゃばりと思われるのも嫌で静観していた。
… 画用紙をめくるサポート役を一人つける。スタッフでなくても参加者にお願いしても良いと思う。
【 情報共有について 】
・Google フォトにアップロードされた写真の取り扱いについて。共有された写真を何処まで使用して良いのかアナウンスが欲しい。個別の写真をダウンロードした後、SNSやホームページなど閲覧制限のない場所へ提示することはおそらく問題ないだろう。しかし Google フォト全体のアクセスリンクをSNSでシェアすると一両日の参加者以外の閲覧者に写真が渡ることになる。
現状は”リンクを知っている人のみアクセス可能”の設定になっている
… 限定公開された写真のリンクを不用意にシェアしないようお願いした方が良い。例えばFBなどの全体公開記事にリンクを載せてしまうと無制限に閲覧できてしまう。このホームページの画像は、自他撮影の別を問わず掲載に問題が無いと自己判断したもののみを載せている。

・学校側の承諾が前提となるが、新聞などメディアを通じて活動を多くの人に知って頂いた方が良い。このような一般社会人を交えた総合学習の事例があるのだろうか。恐らく一般には殆ど知られていないと思われる。周知されないうちは高校を卒業して相当な年月が経つ社会人の頭には、昔のままの学校像が残っているかも知れない。少なくとも私にとっては全く初めての取り組みであり、事前に情報を伝えておけば宇部日報社さんなど取材に来られるのではないだろうか。
《 個人的内容 》
以下では私個人とこの取り組みを紹介したり参加したりしたメンバーに関することをまとめている。

最初にセッテン!!の話を紹介したのは、新川歴史研究会メンバーの仲さんであった。この情報が9月の定例会で共有され、後にメンバーへメール配信された。私は教育に関して昔から高い関心を示し事ある毎に関わってきたし、現在も小羽山小学校の課外活動として行われているすくすく教室への参加、中学3年生の家庭教師による先取り授業として小中学校の状況は僅かであるが把握していた。この中で高校生との接点がまったくなく、学内の取り組みや現在の高校生の一般的な考え方を把握しておきたい気持ちがあった。また、私も仲さんも当該高校出身であり、学校がどのように変わったかを知りたいのも理由にあった。

参加に至った経緯は、新川歴史研究会のメンバーによる9月定例会(この回は滝フェスで定例会は欠席していた)での情報である。29日は局長を含む3人で参加したが、翌30日は自主的に参加した。
参加可能日を伝えるフォームで深く考えることなく全日程にチェックを入れたことに依る
【 個人的所感 】
セッテン!!に参加するだけでなくこの総括記事を作成する気になったのは、これからの教育の指針に大きな期待を感じるところであることと、宇部マニアックスとしての活動方針に一致していたからである。

人生グラフのステップ1で「人生グラフを作成して”カコ”を振り返る」と、ステップ2で「”イマ”を考える」と、ステップ3で「生徒と一緒に”ミライ”を考える」という一連の流れが、宇部マニアックスも表明している「過去と今を記録し未来に伝える…」というコンセプトに寸分違わず一致する。[4]自分の人生のプラスもマイナスもありのまま受け入れ、肯定していくのは「にんげんのGO!」のコンセプトに通じるものがある。

従来は教育の場に限らず、過去を振り返ること自体が”後ろ向きな態度”と見做されがちだった。人生グラフを作成してみることで、誰しもその時々で感じていた大事なものや自己ポリシーが不変なものではなく、時系列の進行と環境にしたがって変化していることに気付く。この変化のすべてがポリシーの揺らぎであるとは言えない。時間の流れは均質でも、各人の生活環境は時の流れに呼応してかならず変わる。

当時は最適だったと考えていた判断が、後になって考えが揺らぐどころか真反対の意見を持つようになることもある。covid19 によるパラダイムシフトによりそれを強く感じた人は少なくない。一番大事なものは詰まるところ何なのか、自分は真に自分のやりたいような暮らしが出来ているかを再度問い直した人は多い。このことは恐らく生まれて十数年が経過した高校生よりも、半世紀近く過ごして多くを経験してきた身には特に顕著である。

このような有用な活動が一度きりで終わるとも思えず、おそらく来年あたりには再度開催されるだろう。私の如くあまりにも生徒と年齢が離れている社会人では学生時代に過ごした経験が生徒にとってほとんど参考にならないので、案内があったときどうするかは分からない。恐らく新川歴史研究会メンバーの仲さんから情報がもたらされると思うので、そのときに判断することになるだろう。
出典および編集追記:

1. 授業風景の写真は、参加した社会人が閲覧できるように Google フォトにアップロードされリンクが限定公開されている。

2. 大事な人を喪ったり突如訪れる天変地異は、それまでの平穏な暮らしから突き落とされるためグラフが連続せず千切れた形で下から始まる(ギャップダウン)のが普通である。このため人生グラフをより厳密に表現したい場合は株価の推移を視覚的に表すローソク足が適している。「FBタイムライン|人生ローソク足」も参照。

3. 個人的には映像記録なしのどんな活動もあり得ないので、後でこのような総括記事を作成するときのことを考えて問題にならない範囲で自前のカメラで撮影している。

4. ホームページトップには書いていないが、このフレーズは現在使っている名刺の上部に入れられている。

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