位置を地図で示しておこう。
歩道より北を向いて撮影している。
琴崎八幡宮の案内看板と鳥居、参道が見えている。宇部の代表的な景色の一つと言っていいだろう。
見るからに寺院関係を想像させるような緋色の欄干に親柱の装飾である。
しかし派手なのは親柱の装飾だけで、橋の欄干の実体は国道の短い立体交差部分でよく見られる鋼製の棒を並べた素っ気ないタイプである。
シンプルに時雨川と陽刻されている。
下流側を眺めている。
時雨川自体は市の管理する準用河川で、今では両岸をコンクリートで固められた水路となっている。
反対側から撮影。
平かなで橋の名前が記されていた。
時雨川に沿って下る細い道を少し進み、橋の下部を撮影してみた。
もはや橋ではなく道路と一体化したボックスカルバートである。
上り車線に移動した。
八幡宮バス停がここから近い。
琴崎八幡宮は宇部を代表する参拝スポットであり、正月や七五三など多くの参拝者や観光客が訪れる。そのためか周辺の道路や歩道など多くの構造物が改修されている。
時雨川に架かる琴崎橋も例外ではなく、かつては重厚な御影石の欄干だった。
親柱には漢字で琴崎橋と陽刻されていた。
(崎の字が ア のようにも見える)
琴崎橋の袂から時雨川の上流を眺めると、似たタイプで同様に緋色に塗られている橋が見えている。
市道山門参宮通り線に架かる渦橋である。
振り返って撮影。
竣工年月が記されていた。
平成15年2月のことだから、つい最近のことである。
恐らくこの時期に琴崎八幡宮前の二度目の道路改良が行われた。
当時までに国道490号は参宮通りの殆どが拡幅され、両側に自歩道を備えた4車線化が終わっていた。
この時期より参宮通りから北側の線形改良が進められ、曲がりくねった旧道区間が市道へ払い下げられたり廃道化処理されている。
(現在でも当時の道路敷はかなりの区間で遺っている)
残念ながらこの時期は未だ変わりゆく景色を記録に残す価値を見いだせておらず、元の琴崎橋がいつ頃まで架かっていたのかは調べてみないと分からない。
振り返って撮影。前方が市街部になる。
国道は登り坂になっており、大小路交差点付近にピークがある。
かつての道路線形や外観の詳細はいずれ国道490号の記事を書いたとき述べるが、かつて国道が2車線対面通行だったとき、琴崎八幡宮の大鳥居は琴崎橋より100m程度南の国道上を跨いで据えられていた。
道路が拡がっているので上の写真からはイメージしづらいが、この登り坂区間は意外に狭隘でかつては結構深い堀割になっていた。特に御旅所がある東側では歩道は車道よりも3m位高い場所を通っていた。
国道を跨ぐ大鳥居は、4車線拡幅工事のときに琴崎八幡宮の参道へ移設されたと思う。同じ時期に琴崎橋も欄干や親柱などもすべて一旦撤去され、ボックスカルバートに置き換えられた。
現在では欄干と親柱ばかりが目立って橋としての実態がない琴崎橋だが、すべてが失われてしまった訳ではない。初代の親柱などが琴崎八幡宮の御旅所がある石段の前に移設されている。
後続記事として案内しておこう。
(「琴崎橋・渦橋(旧橋)」へ続く)