市道山門参宮通り線

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現地踏査日:2009/9/4
記事公開日:2012/2/22
渦橋関連の写真と記述を別件記事として独立させ、2部構成だった本記事を一つにまとめている。このため写真が通常より多く読み込みに時間がかかるかも知れない。ご了承頂きたい。

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ちょっと面白い路線を見つけてきた。
市道山門参宮通り線と呼ばれるこの道は、全線キチンとアスファルト舗装されていながら途中に「何じゃこりゃ?」状態になっている区間と、情緒ある古めかしい道の区間が混在する路線である。

起点が山門(やまかど)にあり、路線名に「参宮通り」を含んでいることから、山門から琴崎八幡宮へ向かっているだろうことは想像がつく。

Yahoo!地図で起点をポイントするとこの場所になる。


この場所は以前レポートした何とも不思議な小字名を含む路線、市道まかよ山門線の終点になる。
ここを左へ曲がると長大な別の経路である市道丸山黒岩小串線に入り、国道490号の大小路交差点に出てくる。


交通量の多い市道丸山黒岩小串線を横切り、起点に立つ。
線形としては市道まかよ山門線から続いているものの、道路としての規格は全く異なっている。軽四でも大丈夫だろうか…と思えるほどの道幅が見えているからだ。


スタートしてすぐ高度を下げずに進む道と、沢を大きく下っていく道に分岐する。市道としての経路は左側になる。

ここも迷いどころだが、路線名を知りながらも私はこの分岐どころか起点が正確に何処なのかも自信がなかった。市の道路河川管理課で閲覧した地図から起こしたメモ書きを粗雑にやっていたので、後に述べる別の場所が起点だと勘違いしていたのである。

なるほど、入口近くは問題なく車が入れるもののその先はかなり怪しい…

分岐点にこの先を暗示する案内板が出ていた。それはまかよ山門線の終点からも見えていた。
狭くなるらしい…
草が伸びて看板の文字が読みづらかったので以前撮影したものを掲載している


今は何の車だろうが通れないらしい。
   車両   
通り抜けできません
「車両」の文字の前後には   色のシールで隠されていて、何とあったのか読み取れなかった。
もしかすると、元は地元車両以外などとなっていたのかも知れない。要はこの先四輪の車は通れないってことか…

それにも増して香ばしく感じられたのは、
自転車 スピード落(お)せ
送りがな付けるなら「落とせ」が正則と思うんだけどなぁ…

この看板には「宇部市」の文字ではなく大小路自治会の文字があった。[1]
初めて通ったとき地区道ではないか…と感じた要因の一つ

確かにアスファルト舗装はされているものの、この幅なら軽四でもかなりきつい。路線沿いに民家はあるが、この道を通って車が出入りすることがあるかは大いに疑問だ。


細い経路の中ほどあたりで、先の分岐から沢へ降りていく道とは著しく高低差がついていた。
下へ降りる道から更に低い位置に家が建っており、この場所からの高低差は10mを超える。路肩注意の誘導標が立っているが、先の方は更に狭くなっているのは明らかで、間違って車で入り込んだならバックでしか脱出できない…ここから車で転落したらただ事では済まないだろう。
車に乗っている人員もだが…直下にある家の方がもっと心配…


左側は民家のブロック塀、右側は切り立った自然の崖。
軽四なら物理的には突っ込める幅かも知れないが、地元の人でも殆ど出入りしないのでは…第一、路面にタイヤ痕が見あたらない。


そもそも入口付近に「四輪通行不可!」と叫ぶ看板があるのだから、そこを何とか…と頼み込むように入り込む車も居ないだろう。ただ、原付や自転車での通行需要はある筈で、現に自転車に対しては一応速度を落とすよう促す警告が出ていた。頻繁に自転車などが通る道なら、認定市道である以上ガードレールでもなければクレームが出てきそうだ。

しかし別に嫌味ではなく、こういう些か投げやりな市道が好きである。道路標識をゴテゴテと飾り付け、通る人が何かクレームを言い立てる前に予防線張っておこうって道よりはずっと素直な感じがする。昔の道ってのは並べて危険な場所があっても通行禁止にしない代わりに自己責任で通るべきものだったのだ。舗装されていて安泰に通れるだけ有り難く思え…ってな感じで開き直っているところがまたいい。

我が市道はどんどん痩せ細り、遂にこの空き地を過ぎたところで完全に四輪は通れなくなる。この幅なら路肩を使ってもどんな四輪だろうと通行不可能。
誰だよ?「おばあちゃんの手押し車だって四輪だ!」なんて言っているのは?


市道の非常識なほどの幅狭さもだが、率直に、
何デスカ?この道は!?
…と思われる点がいくつかあった。

これほど狭ければ農道みたいな砂利道になっても良さそうなのに、律儀にアスファルト舗装されている点普通車の半分以下の幅しかないのに、右端に路側帯がペイントされている点である。
路側帯の外側には歩道への車乗り入れ阻止によく設置されるポストコーンが等間隔に植えられていた。しかも所々が歯抜けになっていたり完全に飛ばされていたり…
いやぁ、実に投げやり…^^;
元々は車が通れるような道があったのを、敷地が道路敷を半分食っちまったような感じに見える。

すぐ右下は民家で、市道からの高低差は2m以上。まさかこんな道を夜間ガンガン飛ばす自転車族も居ないだろうが、カーブを知らずに突っ込んだら大変なことに…

狭い道に出会ったら必ず撮影するお約束のショット。
自転車一台を横にも置けない幅であった。


入口近くで「自転車スピード落(と)せ!」と呼びかけられる理由が分かってくる。自転車に限定して減速を呼びかける看板はあまり見かけないが、ここでは確かに必要だ。

ついでながら路側帯も飾りではなく、路肩の位置の目安としてペイントされているのである。何も無しだと夜間など道路がどの方向へ進んでいるか分かりづらい。白い路側帯があればその先を眺めることで道路の線形を予測できる。これがあるとないとでは走りやすさが断然違うのは、車で路側帯アリの道の方が走りやすいのと同様だ。

ブロック塀のある最狭区間を過ぎると、市道は民家の取り付け道と合流する形で幅員を回復する。どうやら反対側から車でここまで入って来れるらしい。


幅員が戻った先でまたしても現れた「自転車スピード落とせ」の表示板。
今度はキチンと「落とせ」になっている…そうそう…それでよいのだよw
また狭くなるんだろうか…


狭くなるどころか、その先で別の地区道を巻き込んでやや道幅が広がった。自転車が減速を求められる理由は別のところにあった。
それはこのカーブやや手前から既に始まってた。


もの凄い下り坂…
周囲に民家が多くそれほど体感されなかっただけで、市道は意外に高い場所を通っていた。
どうやらここで一気に高度を吐き出すようだ。

今まで見てきた市道の狭さは想定外だったが、この先にあった景観もまた別の意味で全く想定していなかった。
急な下り坂が自転車への減速注意喚起の理由だったが、求められなくても速度を落としてじっくり賞味したくなる風景に出会った。
両脇に聳えるもの凄く深い石積み!!


思わず「おぉっ…」と小声が口を突いて出た。

別の日に撮影した一枚。
お気に入りの一枚である。路面がアスファルトでありながら、とても絵になる。拡大対象画像です。
画像にマウスをかざすと拡大、ダブルクリックで最大化します。
クリックすれば元のサイズに戻ります。


両脇に石積みがあり、その天端に家屋を従えつつ水平を保ったまま道だけが沈んでいく感じ。地山が何処にあるのか分からない…この道自体が地山で両脇は石積みなのか、それとも両脇が地山で、道は深く掘り割って通されたのだろうか…


石積みと言うか切り通しと言うか、その高さは最も深いところで5m以上。
特に左側の石積み。整った間知石ではなく、大きめの栗石を乱積みして間詰モルタルで一枚モノの擁壁に仕立てたような感じだ。

反対側の石積み。
典型的な谷積みで目地が入っていた。


その石積みは先へ進むと若干低くなり積み方が布積みに変わっていた。


情緒ある石積みの前では、近代化の産物である道路設置物ですら遠慮しているようだ。


石積みの中にカーブミラーがメリ込んでいる!!
まるでゼリーに爪楊枝を刺すが如く、カーブミラーの支柱が石積みの中に建っていた。


乱積みの石垣が続く中、ミラーの支柱がある場所だけは目地にモルタルが入っていた。後から支柱の前に石を積んで隠したようだ。
もし支柱が朽ちて交換が必要になったら…どうするんだろう…

この壁面の石積みがまた興味深い。今まで現れたのとはまた違うタイプの空積みである。
規格モノの間知石が殆どなく、自然石を打ち欠いて平らな面を作り、その部分が道路側へ向くように配置している。どれもが規格外の石でありながら、隙間部分が小さくなるよう「適材適所的に」配置しているのである。


ここまで来るともう感服してしまう作品。

自然石だけではなく護岸に使う間知ブロックの役物や壊れた部材まで含めて適当に混ぜ込み、それでいながら空隙部分が極小になるよう巧みに接ぎ合わされている。これぞ究極のリサイクルである。


間知石の谷積み、布積み、自然石の乱積みモルタル有り・なし…さながらここは昭和中期まではごく一般的だった石積み構造物の実地観察学習になる場所とも言えそうだ。
自然石の乱積みなど、まるで子供がブロックを用いてパズル遊びしているようだが、実際自然石の持つ特性や経験を元にパズルの如く組み上げられている。このようにして造られた石積みは見かけ以上に堅牢だ。建築ブロック積みのような筋の部分がないので、不定方向からかかる力が石同士で効率的に分散される。現に石積みは接着剤のような繋ぎ材料に頼ることなく半世紀あるいはそれ以上原形を保っている。部材同士が適度に空隙(遊び)を持つので、変形を吸収しやすいのだろう。

まだまだ日本には石積み構造物は沢山見られるものの、残念ながら今後このような石積みが減ることはあっても増えることはないだろう。自然石は重いし施工に手間がかかるし、何よりも不規則な形の石を接ぎ合わせ積むことが出来る技術を持つ石工が極端に少なくなってしまったからだ。

石積み坂の終わりで右から別の道が合流する。
起点付近で一足先に沢を下っていった道に続いていると思われる


名残惜しげに振り返って撮影。
以前、この先にある橋を訪れたときこの坂は見た覚えがあった。しかし帰りの登り坂を嫌って一度も走ったことがなく、今日まで見逃していた。


更に市道の幅は広がり、ゆったりしたカーブを伴って更に下っていく。
ここにも背の高い石積みがあった。


石積みのある家を左に見て坂を下りきると、右から別の道が合流する。
先方には既に琴崎八幡宮の鳥居が見えている。


別の道との合流地点にあるものについては、後ほど知ることになるだろう。

そのすぐ先で時雨川という小さな川を渡る。
橋の欄干が緋色で意匠も凝っており、何か由来のありそうなことを匂わせる。


この橋は渦橋と呼ばれており、なかなか謎と由来を秘めた存在である。
派生記事: 渦橋
琴崎八幡宮の鳥居が近く見え始めた頃、今しがた渡った時雨川に沿って沢に向かう分岐点に出会う。
市道大小路南側線である。


これは特筆すべきこともない市道だが、ある物件の踏査に伴い数回訪れ、その折りに写真撮影しておいたので派生記事を案内しておこう。
派生記事: 市道大小路南側線
市道は琴崎八幡宮の車で進行可能な参道にぶつかり、そこで終点となる。
初めてこの市道を走破した2年前の正月に撮影している


終点より振り返って撮影。
渦橋から終点側は両側に雨水排水側溝が備わり、アスファルトも真新しい。割と最近整備されたようだ。
国道との間に挟まれた空き地と市道に段差があって叩きコンクリートで処理されているのが何処か不自然


終点付近、特に正面参道の石段前は市街地から琴崎八幡宮行き市営バスの転回スペースがあり、一般車両がとても寄りつきづらい場所だった。
転回スペースに沿ってガードレールが設置されているので車を停車させて助手席から人が乗り降りするのも困難だった記憶がある

最後に、この市道の経路を示しておこう。


起点のある市道丸山黒岩小串線上で、A地点と示している場所からも進入路があり、その道は四輪もどうにか通れる幅がある。この道は参宮通りに準ずる古道のようなのだが、認定市道にはなっていない。
担当部署でも間違ったらしく地図にはピンク色で経路を書き込んだ後に修正液で抹消した痕があった

A地点からの地区道は入り口こそ分かりづらいものの車が進行可能な分だけ利用価値は高い。それにもかかわらずどうして幅の狭い経路の方が認定市道になっているのかは謎である。
【路線データ】

名称市道山門参宮通り線
路線番号506
起点市道丸山黒岩小串線 交点,市道まかよ山門線・終点
終点琴崎八幡宮・参道
延長約700m
通行制限車両通行不能区間あり。
備考

延長など各データの正確性は保証できません。参考資料とお考えください
出典および編集追記:

1. その後この標識は撤去され代わりに道路管理者による正規の幅員制限の標識が設置された。写真が多くなり過ぎるので本編には含めず以下の派生記事に掲載している。
2.

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