市道丸山黒岩小串線・横話【4】

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(「市道丸山黒岩小串線・横話【3】」の続き)
《 常盤用水路・No.7隧道接近路 》
常盤用水路は末信ポンプ所より揚水され、自然流下で常盤池のながしゃくりまで厚東川の水を送っている。途中で数多くの道路と交差し、その殆どがコンクリート床版やサイフォンである。
山門付近では例外的に土被りの薄い隧道で市道丸山黒岩小串線の下を通っている。

概ねこの辺りなのだが…
普通に市道を行き交う人々にはまず分からない場所だ。


市道を振り返って撮影。
風呂ヶ迫交差点から60m程度下ったところである。


再び風呂ヶ迫交差点を背にして撮影。
常盤用水路は概ねこの写真で黄色に書き込んだ辺りの真下を隧道で通過している。用水は写真の奥から手前側に向かって流れている。
精密性は保障できない…例えば左に見えている民家と隧道との位置関係は不明


自転車を停めた辺りから小路ヶ池の方に降りていく細いあぜ道がある。
そのあぜ道から市道を振り返って撮影している。


このあぜ道を下っていくと常盤用水路の開渠部分に出会う。No.7隧道の下流側坑口に接近するには、開渠に沿って進めば見えてくる。

隧道の上流側坑口は給油所跡の近くにある細い路地から容易に接近できる。


この細い道は風呂ヶ迫池に向かって下っており、その途中で隧道のすぐ真上を横切っている。
《 誤解を生みそうな規制標識 》
市道丸山黒岩小串線の上宇部小学校手前に市道まかよ山門線の終点が接続する十字路があるのだが、ここに設置されている規制標識の内容が以前から気になっている。


異なる但し書き条件が2つあるせいか、まったく同じ「直進と右折のみ」の標示板が2枚併設されている。
そもそも但し書き部分が長過ぎ…道行くドライバーがじっくり読む暇はない


そしてこの場所には確かに右折する道がある。
それも市道山門参宮通り線という認定市道だ。


さて、標識のどこが問題かと言うと…
上の写真からも想像される通り、市道山門参宮通り線は狭隘区間があって四輪は通り抜けできない。自転車でも速度を落とすよう促す標識が出ている位に狭い。
上の写真で遠くに白く見えているのが自動車通行不能を知らせる看板

先の標識は直進と右折のみを許可する指示になっている。これは市道まかよ山門線が上宇部小学校の登下校路になっている実態があり、朝の時間帯には車両侵入禁止であることを明確に伝えたいためと思われる。ところが市道丸山黒岩小串線に対して「左折禁止」ではなく「直進と右折のみ可」の指示標識を掲示している。これでは「右折してもOK→右折する道がある」と誤解するドライバーが現れないだろうか。

どうしてこんな誤解を生みそうな標識設置状態になっているかだが、四輪では通り抜けできない山門参宮通り線が認定市道だからではないかと推測される。今まで観察してきた限り、進入路部分からあぜ道など明らかに一般車両が通れないことが明白な場合を除き、他の道との接続部で規制事項がある場合は必ず標識で明示されているからだ。実際、市道山門参宮通り線は軽車両限定にはなっておらず、原付やオートバイは物理的にも通り抜け可能である。そういった車両に対して「右折できる」を指示していると解釈するなら、標識の内容自体誤りとは言えない。

市道丸山黒岩小串線を日常的に走るドライバーならまず大丈夫だが、初めて運転する人なら琴崎八幡宮への近道では…と誤解するかも知れない。この先の地理を知って特別の用事がある場合を除いて一般車両はここでは絶対に右折進入してはならない。
市道山門参宮通り線の記事をお読み頂ければ理解できると思うが、すぐ先に「車は通り抜けできない」の私設標識が見えてくる。その先は次第に先細りになっていて軽四ですら通り抜けできない。車の転回できる場所も極めて限定され、最悪延々バックで退出する以外ない。ところが進行方向の右側は崖になっていてガードレールは設置されていない。崖の下には民家があり、運転を誤って転落すれば大事故になる。

過去にそういう事故が起きていないのは、実際に右折してみるまでもなく普通のドライバーなら間口の狭さから通り抜けできないと判断するからだろう。どうしてもじっくりと先を究めたい方は自転車や原付などの二輪か徒歩で通ってみることをお勧めする。[1]
《 大小路の道路標 》
現地調査日:2013/1/1
記事公開日:2013/2/10
上宇部小学校から大小路交差点寄りで琴崎八幡宮に向かう路地の入口に古い道路標が存在する。


この場所をポイントした地図を示す。


ミラーのすぐ横に立っていて周囲をアスファルトやコンクリートに変えられた中ポツンと遺っている。


幅15cm程度、高さ80cm程度の花崗岩製の角柱だ。
何度も車にぶつけられたのか至るところ細かく欠けている。


東: 床浪・小郡道。
床波の「波」の字が現在の表記とは異なっているのが興味深い。


西: 新川・小の田。みち(?)
行き先の下に書かれているのは平かなで「みち」だろうか…


北: 川上・木田・舟木。
舟木の下にやや小さめの表記がみられるが読み取れない。舟木の表記部分も一部が欠けていた。


南方の行き先表記はされていなかった代わりに設置時期と設置者名が陰刻されていた。
明治28年8月というから相当に古い部類だ。


設置者名が陰刻されているということは、当時この地域での有力者だったのだろうか…
道路標そのものの絶対数が減っている上に、現存するものも移設されたり掠れた表記を彫り直すなど手が入ったものが目立つ。これより古い道路標を知ってはいるが、四角柱すべての面に行き先が彫られたものはあまりお目にかかれていない。何よりも小の田や木田などここからかなり離れた場所の地名が記されていることから、この場所がかつて相当に重要視されていた交通拠点だったことが想像される。

この道は先の方で坂を下り、琴崎八幡宮の御旅所を過ぎた先で市道山門参宮通り線に合流する。その市道よりも広く物理的には四輪も通過可能でありながら、地元管理の道となっている。
《 大小路交差点 》
現地調査日:2013/1/29
記事公開日:2013/2/10
交通量の多い交差点は視認性確保のために直角に交わるよう改良されることが多い。特に県道・国道レベルでは交差点改良がかなり進んでいる。そんな中、国道490号で極めて薄い角度でスライスするように横断する場所が大小路(おおしょうじ)交差点である。[2009/10/25]


市内在住の方なら上の写真一枚眺めるだけで場所をすぐ理解して頂けることだろう。
位置を地図で示す。


大小路とは一風変わった地名だが、現在では住居表示レベルで定着しており、市道丸山黒岩小串線の北側、風呂ヶ迫池の東から国道490号までは大小路一丁目・二丁目となっている。その読み方も市民一般に概ね正しく知られている。
もっとも幼少期の私は読み方を「おおしょうろ」と誤って覚えていた


地名表記からも「大小2つの路(みち)が交わる場所」と想起される。大路が国道そのものの参宮通りであることは明らかで、スライスして横切る現在の市道丸山黒岩小串線も小路として古くから認識されていたことが窺える。実際、この市道の岡ノ辻付近から大小路交差点を過ぎた先までは水揚げされた海産物を運ぶ行商人の路であった。

大小路交差点は参宮通りでもっとも北側にある主要な交差点である。国道のこの区間が4車線化されたのは未だほんの数年前のことである。詳細は国道190号側の記事に譲るが、かつては対面通行で、国道の上に大きな鳥居が鎮座していた。
道路拡幅にあたって琴崎八幡宮に移設されたようである

薄くスライスする交差状況なので、交差点は国道に対してかなり間延びしている。特に歩行者は道路を短時間で横切ることを求められるので、斜め横断とならないよう横断歩道はスライス部分を避けて離れた場所に設置されている。


また、交差点の北側には横断歩道がなく、代わりに長大な陸橋が設置されている。
上宇部小学校に通う子どもたちの一部は登下校にこの陸橋を渡っている筈だ。


国道と市道の間での通行状況としては、市街部からやってきた車がここで右折し風呂ヶ迫方面に向かう流れがかなり多い。特に夕刻時は顕著で、右折レーンに数台が並ぶ。こうした車をさばくために国道の信号は時差式になっている。
時差式であることは日常的に通行する車は確実に頭に入っているので、対向車線が減速した時点で気配を察知し右折を開始する。しかし初めて通る人は上り車線側が完全に停車するまで気付かないドライバーもあるようだ。

市街部へ向かう側からの市道への接続状況は一風変わっている。交差点の手前で内回りするカーブが設置されており、信号とは無関係にいつでも左折できる。[2009/10/7]


これは大変に便利な構造であり、ここで左折する車もかなり多い。但し国道を直進する車が2台以上信号待ちしていればショートカット路が塞がれてしまうので結局信号が青になるまで利用できない。
その不完全性からか常時左折可の標識は設置されていない

なお、実質的に常時左折可とは言っても歩道を通行する自転車や反対側から左折して入ってくる車に注意する必要がある。曲がった先の市道も幅が狭く、図体の大きな普通車は相当に神経を遣うかも知れない。

大小路交差点より終点側の市道は交通量が激減する。細く狭い道が延々続いていて、地元在住者か道路状況を心得た一部のドライバーくらいしか通らない。時間帯による大型車両および一般車の通行制限がある。[2009/10/25]


国道を横断した市道側から振り返って撮影。
上方に感応式のバーがあり、車が入ってくれば次のサイクルで青信号になる。したがって待機車両があるか国道を渡る人が押しボタンを押さない限り、前方の信号は常に赤である。[2009/10/25]


国道の青信号は充分に長いのだが、前後の信号との連携は特に考慮されていない。この状況は真夜中でも同様で、市道終点側から出て来る待機車両が一台でもあれば、国道双方向の信号待ち時間はかなり長くなる。
しかし4車線化で国道はこれ以上手を入れる部分がなく市道は拡幅そのものが絶望的なことから、この先当分は大小路交差点の形状が変わることはないだろう。

(「市道丸山黒岩小串線・横話【5】」へ続く)
出典および編集追記:

1. その後市道山門参宮通り線を入ってすぐの狭隘区間にも道路管理者による標識が追加設置されている。

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