門前池【序】

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現地踏査日:2013/3/28
記事公開日:2013/5/10
門前(もんぜん)池は、2級河川中山川にある溜め池で、面河内池の上流部に位置している。
下の地図は、門前池の堰堤を中心にポイントしている。


面河内池の北側の沢はほぼまっすぐ北に伸びる沢で、門前池も南北に細長い形状をしている。
以下は3月下旬に実施した初回踏査の記録である。

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この日は白岩公園の写真撮影は付け足しでメインはむしろ今から向かう門前池の方であった。
門前池は先日踏査完了した面河内池より更に北にあり、当然車では行けない。地図では微かに表示されている山道を延々歩かなければならないようだった。徒歩では明らかに遠い門前池に興味を持ったのは、面河内池踏査を終えた帰りに偶然迷い込んでしまった民家にお住まいの方から伺った話が耳に残っていたからだった。
「…降りる方の道をずっと行きよったら門前池がある。
行ってみちゃったらええ。」
私から尋ねるまでもなく言及なさっていた。この他にも大鳥羽神社付近で地元の方と話す機会があったときも門前池を観に行ったという話を伺っており、相応に著名な溜め池らしい。一体どんな眺めがあるのだろうと気になっていた。

この日は中山観音の駐車場に車を停め、八十八箇所を経て白岩公園を再度歩いてきた。最後に「鼻の穴」の内部を偵察し、白岩公園コースを通って再び面河内西分岐に戻ってきた。都合白岩公園の中を通って一周してきたことになる。
この序章では初めて訪れる門前池までの道中を収録する。途中を飛ばして現地の堰堤へいち早く向かいたい読者は「門前池【1】」から読み始めることができる。

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時系列としては「白岩公園・第四次踏査【1】」の続きとなる。
面河内池踏査で偶然訪れた民家の方が話していた「降りる方の道」の入口に今来ている。白岩公園内を散歩するほんの1時間前に来た場所だ。
撮影場所はほぼ同じだが日の当たる位置が変わっている


撮影は北向きだが、白岩公園の「鼻の穴」を調査した後、上の写真では北からここまで歩いて戻っていた。
そして大方この辺りまで戻った頃から以前にも経験した「不快な現象」を感じ始めていた。何のことかは以前からの読者なら容易に想像つくとは思うのだが…

若干「身軽になって」再び出発点に戻ってきた。


この場所には常に細身の倒木を使ったバリケードが設置されている。もっとも侵入禁止という意味ではなく、外部からの車を遮断する目的だけのようだ。車が走り回れば道は荒れる。実際そのため傷んだ道の補修に困っているらしい立て札が見受けられる。
こういう背景があるので門前池および白岩公園に行く場合でもここまで車を乗り入れないことを勧める。溜め池管理や登山道の整備目的の軽トラが停まっていることがあるので、外部からの車が駐車すると軽トラに乗って作業に来た地元の方が困るだろう。
バリケードの先を下ると、面河内池を訪れたとき辿ったあの水路が現れる。面河内池に向かったときはここで折り返すように細い道を進んだ。
物理的に車が入って来れる幅の道もここまでだった。


古い水路沿いに道はあるがあぜ道程度の幅である。これは以前、面河内池を辿ったのと同様の道だ。


細い水路は面河内池の西側にある沢の縁を通っている。
この先に沢を渡る部分があった。


沢を塞ぐ形で堰堤を築き、その上に水路を通している。
水路の下は石積みになっていた。


面河内池の堰堤近くにある入り江周辺は雛壇のような棚田の痕跡がみられた。恐らくこの水路は棚田方面に水を回すために造られたのだろう。

沢と水路との位置関係が変わったその先で初めて若干迷う分岐に出会った。
水路の分岐点でもあった。


左側の分岐は平坦な道で水路に沿っている。
この先にある小さな溜め池(確か戸井ヶ浴池とかいう名前だった)から水を引いているようだ。


ここで直角に出会う別の水路。
同様に平坦な道が続いていた。


そして直進する道は水路の橋を渡ってかなり急な坂になっていた。


どの分岐を進めばいいものやら自信がない。第一、アジトを出る前に眺めて頭に入れておいた地図とは道の状況が異なる気がする。門前池までは一本道で迷うこともなかろうと思い、地図やメモ書きなどは持っていなかった。
ただ、沢を渡って尾根を一つ越えることは分かっていたので、正面の坂道を選んだ。

歩きやすいよう木の枝を埋め込んだ階段が拵えてあった。
それにしてもかなり坂がきつい。 溜め池に向かうってのにまるで山登りのような違和感がある。


この坂を登り切ると一つの尾根に到達した。
そこはT字路になっていた。


方向からして右に曲がることは分かった。左からの登山道は何処へ通じているかは分からなかった。
恐らく戸井ヶ浴池の堰堤を渡ってくる道の続きだろう

尾根伝いの道は日当たりが良く坂もゆるやかである。
その先で立て札の裏側が見えた。


鳥獣保護区の案内だった。
この辺りは植林したらしく登山道に沿って整然と若い木々が並んでいた。


ピークを過ぎると一転して下り坂になった。
太陽を背負う方向になるのでこの辺りは日陰気味だ。


坂を下って一つの沢へ到達したとき、また水路に出会った。


あぜ道は再び細い水路に沿って進むようになる。
実はあの分岐点で確認した水路と同じ


この辺りは今や使われているかも怪しい水路で、至る所が崩れていた。
あぜ道も藪化はしていないが一人が歩くのがやっとの幅である。それでも沢に沿って遡行しているのが明らかなので方向は誤っていないと確信できた。


山裾をなぞるうねうねとした道を進んで堰堤らしきものが見えてきた。


高い堰堤が見えてきた。間違いないだろう。
出水口を渡るコンクリート床版が見えている。


漸く到達…結構長かった。
撮影写真のタイムスタンプから割り出して、木の柵がしてあった白岩公園コースの入口からここまで15分かかっている。
このレポートを参考に門前池へ行ってみようという読者も殆ど居ないだろうが、道中のどの分岐にも門前池を案内する立て札はみられなかった。元から農業用の溜め池でピクニック気分でわざわざ訪れる池でもないのだろう。

正面の堰堤はかなり高く幅があった。この規模に見合うだけの水を湛えている溜め池なのだが…それ以前にちょっと不安なことがあった。
本当に間違いなくこれが門前池なの?
溜め池があるのは間違いない。しかしあまりにも周囲には何もなさすぎて本当に目的地の門前池へ到達できたのか自信がなかった。

(「門前池【1】」へ続く)

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