南小羽山沈澱池

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現地撮影日:2009/12/20
記事作成日:2014/7/1
情報この記事に登場する物件の呼称(南小羽山沈澱池)は記事制作上の暫定的な命名です。正式名称が判明次第、修正します。

南小羽山沈澱池[1]は、南小羽山町の東側斜面下にある調整池である。
写真は市道小羽山中央線市道真締川南小羽山線の交差点付近から俯瞰した沈澱池。


沈澱池の堰堤部分をポイントした位置図を示す。


この堰堤は正方形をした調整池の下流側に設置されている。その様子は地図で眺めてもまるで「博士帽を被ったイカ」のようである。堰堤より下流側は排水路を介して蛇瀬川に注いでいる。

山間部を開拓して広範囲な造成が行われたとき、その地域に降る雨水は通常の山野より保水能力が低いため一気に流れる。このため造成地の低い場所の一角に流量や流下速度を緩和させる調整池を設けるのが通例である。[3]小羽山地区にはここと小羽山小学校校門近くの2箇所に存在する。

この調整池には南小羽山町と北小羽山町の雨水が集められる。正式名称は明らかではないが、東小羽山町にあるものは沈澱池とされているので本件もこれに倣って南小羽山沈澱池と仮称しておく。
東小羽山地区にある沈澱池については以下の派生記事を参照。
派生記事: 東小羽山沈澱池
東小羽山沈澱池はこれよりも小規模で、排出側に堰堤はない。そして地図での表記以上に奇妙なのは、この沈澱池に備わったコンクリート堰堤の形状である。
ほぼ同じ場所からのズーム写真。


ロボットの顔のような形をしている?


このコンクリート堰堤は上部の余水吐越流部分が逆等脚台形状にカットされ躯体部分に長方形の穴が三角形状に設置されている。無機質な顔みたいな外観はロボットの顔のようであり、この奇妙な眺めから「ロボット堰堤」と勝手呼称している。[2]堰堤と言っても小羽山地区から流下する雨水を一旦集めて流量を調整するためのもので、灌漑用溜め池としての機能はない。

一連の写真を撮ったときのことはよく覚えていないが、自転車で訪れていたことは確かだ。
この後、市道真締川南小羽山線の坂を下って堰堤への接近を試みている。


堰堤から排出される雨水は、数十メートル程度の排水路を経て蛇瀬川に流れ込んでいる。
堰堤付近は酷い荒れ地で周囲はネットフェンスで囲まれているため河川敷に降りることはままならなかった。


管理用の通路が調整池の周囲に伸びているらしく、この場所までは接近することはできた。
切頂四角錐を上下逆さにしたような形状の調整池で、一面に練積ブロックが施されていた。


内部へ入ることはもちろんできず、それどころか管理通路を歩ける状況でもなかったのでここまでを撮影した後そのまま撤収している。

現地撮影日:2010/4/3
ロボット堰堤を出た雨水は排水路を経て蛇瀬川に合流している。その合流点付近を通る市道維新山西山線の橋からもっとも近くに観察することができる。
写真は蛇瀬川を渡る橋部分である。


橋を渡った袂にある小屋の横からロボット堰堤が見える。


小羽山地区の広範囲に降り注ぐ雨水は側溝を経て殆どすべてがこの沈澱池へ送られるので、常に排水路は水が流れている。
排水路が干上がったのを見たことがない


排水路はコンクリート張りのようだが常時水が流れているので接近する術がない。
ズーム撮影している。


排水路の手前には、それよりも幅が細い蛇瀬川が流れている。
幅はそれほどないとは言ってもジャンプで飛び越すにはリスクが伴う。同じ動作で戻って来れるかどうか分からないし、何よりも対岸は水気を含んだ地面で滑りそうなのだ。


仮に対岸へ移ったとしてもその先はもの凄いツタ系の大藪である。まず堰堤まで近づけない…と言うかその気力も湧かない。
試行する前からこの状況だったのでここから眺めるだけにした。


一連の写真は4月の撮影で、草木が生え始める直前のもっとも藪漕ぎが容易な時期だ。
その好条件をもってしても酷く接近困難とならば、春先や夏場がどうなるかはかなり明らかだろう。
現地撮影日:2012/5/10
5月上旬の映像である。
既に草木が生え始めていて藪漕ぎには不適な時期だ。冒頭の写真と同じ市道真締川南小羽山線の終点付近から撮影している。ロボット堰堤自体が伸び過ぎた草木に隠れかけている。


接近不可能なのを承知した上で蛇瀬川合流地点へ行ってみた。
なるほど…さすがに期待を裏切らなかった。


蛇瀬川の反対側へ移動したいなら、上流へ移動すればコンクリート床版がある。


しかし上流から渡ってきたとしてもこの深い草むらの中を延々と歩いて戻って来なければならない。


排水路の反対側を遡行してロボット堰堤に近づけないだろうか。
むしろこっちの方が難易度は低い。それでも夏場なら時期なら膝上まで隠れるほどの深い草むらの中を延々歩くタスクが要求される。さすがにヘビが怖くそこまでの本気度がなかった。


冒頭の写真を含めてロボット堰堤への接近はこのときまで3度試みられていた。経路も蛇瀬川からではなく調整池側からも検討していた。しかしいずれもツタ系植物による侵食が酷く手の施しようがない状況だった。
《 個人的関わり 》
この奇妙な堰堤に気付いたのは、仕事で小羽山地区に関わりをもち始めた頃である。
最初に気付いたのは恐らく仕事で北小羽山地区を訪れた後、市道真締川南小羽山線を通って帰るときだろう。条件によっては、車窓から冒頭一枚目のように堰堤部分が見える。
歩道とガードレールが高いためかなり路肩側へ寄らなければ見えない

その後複数回にわたって撮影や現地踏査を行い、得られた写真は新天町アーケード街で開催された子ども祭りや市内のおもしろ景観紹介イベントにおいて掲示された。[4]
出典および編集追記:

1. 厳密にはこの沈澱池は南小羽山町ではなく大字中宇部字鳴水に存在する。しかし小字名では場所を説明しづらいので、便宜上南小羽山を冠して仮称している。

2. 特に余水吐部分の形状は昭和期に絶大な人気を誇ったある人型巨大ロボットの顔を思わせる。排出口の位置関係からそのように見えるのだが、同様の形状をした砂防堰堤類が市内にあるかは分からない。また、この堰堤が地元在住者(特に子どもたち)にどう認識されているかも不明だ。
かつて宇部興産(株)窒素工場敷地内に同様な配置の窓を持つ直方体の建物があり、しばしば子どもたちから「ロボット工場」ないしは「ロボットビル」などと呼ばれていた。
当時の写真は手元にない

3. 造成地の近くに受水可能な溜め池などがある場合は造られない場合もある。
風呂ヶ迫市営住宅など

4. その後FBページでも紹介を行っている。

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