市道小串小羽山線【1】

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現地踏査日:2012/5/10
記事公開日:2012/6/14
市道小串小羽山線と言うよりも「県道の小串を北に進んだ先にあった車で走りにくかったあの古い道」と表現するなら、その方がドライバーには分かってもらいやすいかも知れない。

確かにこれから向かう市道は小串より中山に向かう県道の旧道で、数年前にその”走りにくかった”区間をショートカットするバイパス路が完成して路線変更し、旧道区間が市道に格下げされることで生まれた。市道の整理番号が1050で殆ど最後の方となっていることからも分かる。
現時点で最も大きい番号は流川原線に対応する1052番

この記事は本来県道琴芝際波線の作成に並行して行うべきものだった。実際、初めてローカルSNSに県道琴芝際波の走破レポートを公開したときには付随してこの旧道区間を紹介していた。しかしこの記事を作成する現時点ではホームページ側に市内の県道レポートが一件も作成されておらず、それを待っていては他の小羽山関連の市道公開が遅れるので先行着手することにした。

この市道の起点部分を示す。地図を見るだけでもどの部分が旧道区間なのか想像できるだろう。


県道の分岐点から撮影している。トの字型の分岐案内があり、右へスライスしていく道が見えている。


県道はこの付近で小さなピークを形成していて、押しボタン式信号を過ぎて若干下り坂になる。他方、旧道区間はもう少し上りがある。


かつては現在の直進する県道は存在せず、ここで山肌に沿って右へ向かっていた。
詳細は県道レポートを作成したときに述べよう


県道との取り付け部分を振り返って撮影。
左側に見えている民家のブロック塀が旧道の線形である。交差点改良の指針に従い、見通し確保のために県道へ直角に擦り付けている。


県道取り付け部分のロードペイントは左右矢印になっているが、ここから県道に出ていく車はほぼ例外なく左へ曲がる。右折する車があるとしたら、曲がってすぐの場所にあるコンビニなどに向かうか、忘れ物を取りに戻る位しかないだろう。これから辿る市道の経路を見れば全く明らかだ。

この場所は概ね標高30m程度である。丘のようなものだが、県道が登り始める初っ端地点は殆ど海水面で500m程度の距離で一気に登り詰めるので坂はかなりきつい。自転車を降りて押し歩きする学生の姿が目立つ。
それでも市街部から小羽山に向かう道としてはもっとも縦断勾配が緩く楽だ

それではスタートしよう。
もちろん自転車で来ているので、道路の左側へ移動した。


市道は起点をスタートして更に数メートル登り詰める。そこからは高度を変えずほぼ平坦に進んでいく。
払い下げられた市道はセンターラインを伴った対面交通の道で、歩道は下り線側にのみ存在しており旧県道の規格としてはそこそこである。
もっとも医大裏から坂を登る付近の区間はかつてセンターラインがなかった

右側に大きな送電鉄塔の脚が見えてきたところで最初のバス停に出会う。


宗隣寺上バス停である。ご丁寧にもローマ字の振り仮名が添えられていた。


「宗隣寺」というのも妙な表現だが、宗隣寺そのものはこの丘陵部の西側斜面に存在する。車なら真締川沿いを通って行けるのだが、現時点ではバス路線になっていない。そこで県道よりお寺の上から降りていく位置にバス停が設置されている。
宗隣寺までの近道を案内する立て札がある

3年前に撮影した写真である。
この時は振り仮名がついていなかった。バス停の読み方が分からないという声があったのだろうか…


この先で左側の歩道は若干幅が狭くなる。両側が詰まっているのでそれだけでも窮屈な感じだ。


今でこそ交通量が激減したが、かつては市街地と小羽山を往来する車の殆どがここを通っていた。道路に面した家は車の出し入れが大変だったことだろう。
この近くのある家を車で訪問したことがある…帰るとき車を出すのが大変だった

旧道とは言え打ち換えられたせいか路面は新しく、ロードペイントも明確だ。現在の県道に比べて貧相な規格なのは否めないが、ここまでを見る限りでは道路改良してこの区間を切り離すほどではなかったのでは…と感じるかも知れない。

しかし…
この先に問題箇所が今も健在なのだ。既に前方に見えている。


《 旧県道時代の悪線形部 》
直角カーブ!!


これはカーブではない…折れ点だ。左端に布設された側溝や路側帯を見ても分かる。道路に沿って遠くから曲げるという工夫がまったくなく、いきなりカーブでねじ曲げている。側溝に至っては完全に折れている。

停まっている自転車から撮影してこの様相である。自転車の倍程度の速度で走っている車が初めてここに差し掛かれば…かなり慌てて減速することになるかも知れない。
せめてもう少し遠くからジワーッと曲げれば良かったものを…ちょうど市道真締川南小羽山線の逆曲がりパターンなのだ。
しかも問題の市道真締川南小羽山線の急カーブはここからそう離れてはいない

極度に半径が小さいので、かなり本気で減速しなければカーブの外側へ引っ張られる。それを避けようと多くの車は路側帯を無視してカーブを内回りしようとするだろう。

ところが路側帯は車道側へ膨らんでおり、その内側にポストコーンを植え付けて内回りを阻止する仕組みになっている。


野山に暮らしていたときは小羽山自体ときどき通過する地域に過ぎなかった。それでもここ以外通れるメインの道がないのだから、走るたびに嫌なカーブだという印象があった。それほど目立つ場所なので、以前の状態を覚えている。

かつてこの折れ点にはポストコーンがなかった。そのため多くの車が路側帯を踏んで内回りしていた。
カーブを内回りすれば内輪差で車の後輪が側溝蓋を踏みつける。コンクリート蓋は恐らく車が経常的に踏んでいくことを想定していない縦断タイプだった。何度もタイヤに踏みつけられ蓋の端が欠けたり表面が削れたりしていた。
欠ける程度なら取り替えれば済むが、割れて内部へ落ちでもしたら安泰では居られない。次に内回りした車の後輪が落ち込めば大事故に繋がってしまう。
そこまでいかなくとも法規上道路の左側を走る自転車が内回りの自動車に巻き込まれる事態は十分あり得る話で、曲がりづらくなるのを承知でポストコーンを植え付けたのだ。
もっともポストコーンが設置されたのは改良された区間が供用開始になった後かも知れない

市内でも一大居住地域を形成する小羽山地区に出入りするメインの道がこうだから、この場所はドライバーにとって悪名高いボトルネックとなっていた。それも走りにくいというだけではなく、通行する車自身に関しても危険な場所でもあった。

それと言うのもここは一本の道のカーブではなく、実は「十字路」になっているのである。2枚上の写真ではカーブを外れて直進する道が見えるだろう。
幸いこの直進路は地元管理の道で、滅多に車は通らない。むしろ真締川から真っ直ぐ急坂を登ってこのカーブの中心部分に接続される道(実は極めて重要な市道)が曲者なのだ。


県道のどちらから来ても急カーブなので、双方から見えるように急カーブありの標識が出ている。
撮影している間にもまさに直進して狭い市道に降りていく車があった。


その道は真締川へ降りるまで一本調子の急な下り坂で、特に県道接続部付近は普通車一台がやっと通れる狭さだ。離合は不可能なので下から登ってくる車があれば県道に出て来るまで待たなければ進攻できない。常時の完全交互通行区間になっている。
ここから県道に出て来る車は例外なく小羽山方面に向かうので、たった一台ここから出てくる車のために上下線すべての車が停まらなければならず、夕方など交通量の多い時にしばしばドン詰まりを引き起こした。
しかも接続場所がカーブの中ほどという救い難さで、見通しは極めて悪い。かつては数え切れないほどの衝突事故があったのではないかと想像される。

ここから真締川に降りる道こそ、市内でも恐らく最長と思われる路線の終点なのだった。
詳細はこちらの派生記事に書いた。
派生記事: 市道丸山黒岩小串線|終点
近くからこの標識2枚が入るアングルで撮影。
まともな運転をしている限り、ドライバーがこの位置から標識を眺める可能性はない。
これと次の2枚は3年前の撮影


双方の標識は高さが異なり、終点側から見る標識の方が高い。ここから先が下り坂になっていて、遠くからカーブありの標識を視認しやすくするためだろう。

カーブを振り返って撮影。
終点側から走ればカーブの半径は幾分緩和されるが、それでも十分に速度を落とさなければ後部座席の不安定な荷物は片側へ移動するだろう。


今や真っ直ぐな県道があるので、この区間の交通需要はかなり減った。市営路線バス、真締川に向かって降りる例の狭い道を通りたいドライバー、一部の思惑ある(?)ドライバー、沿線の店舗や個人に用事がある人々だ。
特に沿線住民にとっては庭や車庫への出入りがしやすくなったし、県道が最大で100m以上沢地側へ移動したことで車の騒音も軽減されただろう。

(「市道小串小羽山線【2】」へ続く)

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