市道栄町線【1】

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現地撮影日:2012/8/15
記事公開日:2012/8/22
市道の路線名は一般には表に出て来づらい情報なので宇部市民とて知名度は低い。市道栄町線も名前だけだと何処の道を指すのか知る人は極めて少ない。しかしその存在場所を言葉で説明するならおよそ次のような程度の会話で足りるだろう。
「何処にある道なん?」
「市役所ん横からずーっと降りてく広い道があらーねー」
「あー分かった。踏切渡って高校に突き当たるあの道やろう?」
「そうそう♪」
実際後で出てくる総合庁舎の場所を市役所から案内するとき何度もこの台詞を唱えている

これだけで想像つくと思うが、市道栄町線の起点を地図でポイントしている。


国道190号の市役所前交差点で、ここは国道490号の起点となっている西の松山一丁目交差点、宇部新川駅に分岐する東の中央町交差点の間にある主要地点である。
Yahoo!地図が改訂されていないことを前提に国道は橙色で、県道は黄色で、その他の道路は白色で路線表記されることになっている。ポイントされた交差点から南側は主要地方道である県道宇部港線が終点として接続しており、市役所前交差点は国道・県道・市道の3者が相まみえる主要地点となっている。

交差点の県道終点側から市道栄町線を撮影している。国道のこの近辺は常盤通りと呼ばれており、市内で最も知名度の高い通りである。


市の中心部にある重要度の高い路線であるだけに、かなり早い時期から現在の4車線構造だった。昔は広すぎると感じられたかも知れないが、かつては「道路を造ると見せかけて飛行機の滑走路を造っている」と訝られたほど当時としては広い常盤通りと同様な規格の道を造っておいたお陰で、交通量の増えた現在でも渋滞とはほぼ無縁だ。
市役所前交差点から国道に出る信号がときどき混雑する程度

国道を横断し市道の起点にやってきた。
4車線を渡る横断歩道は中央部分がやや高いカマボコ型構造になっている。雨水を排除するための仕様だ。


この横断歩道を渡った区画に市役所があるので歩行者や自転車での横断が多い。もっとも宇部は相応にローカルな一都市だし、まして撮影時期はお盆の中日だったせいか往来を避けて写真を撮るのにそう困難はなかった。

少し市道を進み、振り返って市役所前交差点を撮影。


ここは市役所前駐車場の出口となっており、市役所の用事を済ませた車が頻繁に歩道で頭をのぞけてくるので注意が必要だ。
また、出口専用なのでここから入ることはできない。
写真を撮っていたら唐突に入ってくる車にクラクションを鳴らされた…しかしその車は進入禁止の立て札に気付いたのか停車したのでジェスチャーでここからは入れませんよと教えてあげた…かなりバツが悪そうに退出していった

自転車の通行も兼ねる自歩道も充分な広さがあり、車道を区切る花壇も整備されている。


さて、こんな誰も気にも留めず歩き去ってしまうような歩道にネタが存在していた。
気付いてはいたが改めて写真を撮ったのは今回が初めてだ
派生記事: 古そうなマンホール
このすぐ先でやや細い道が横切る。
市道常盤通り小路3号線という名前で、税務署の横から琴芝通りまでを結ぶ短い路線である。横切るのがそれほど広くもない道のせいか、この交差点には信号機がない。


この交差点には信号機がない現状が正解で、設置すると逆に渋滞を招く。
信号機がない分だけ車も歩行者もなべて周囲を注意して通行している。この交差点から市役所前交差点までの距離が短く、一車線が右折連用レーンに割り当てられているため歩道側の左折・直進併用レーンは信号待ちの車が詰まっていることが多い。市道常盤通り小路3号線から出てくる車も頻繁にあるが、市道栄町線を走る車はこの区間を開けて待機しているし、横から入る車と相応に譲り合って国道に向かっている。何でも一律に公安による信号規制で交通整理するよりも通行者の責任に委ねた方が良い場合もある事例だ。
常盤通りの自歩道を自転車で通っているとき市役所前交差点の信号が赤だと夏の暑い最中は待つのが嫌なので一区画下がった信号のないこの場所で横断している…何ら交通ルール的に問題はない

この路地を横切った先、前の写真で自動販売機が置かれているスペース付近だが…
かつてその場所付近に元の宇部警察署の入口があった。
派生記事: 旧宇部警察署
市道は4車線を保ったまま真っ直ぐ下っていく。
そう…
内陸部へ向かう筈なのに何故か下り坂なのである。冒頭の会話で市役所の横から「降りていく」という言葉を連想させる原因となっている。
その下り坂の途中に市役所東口バス停が設置されていた。


何故下り坂であるかの理由を派生記事で書いておいた。
派生記事: 内陸部に向かう道が下り勾配になっている理由
一勾配の下り坂で家一軒分程度の高低差を消化する。この下りきった場所でやや細いが対面交通の道に出会う。それも若干の距離をおいて2本である。

最初に横切るのは市道緑橋芝中線で、宇部新川駅に向かう市道の途中から始まり芝中に向かう。この路線は国道筋に併走するもっとも近い道だ。次に横切るのは市道宇部新川恩田線で、宇部新川駅ロータリーの横から寿橋を渡り、道幅を多彩に変えつつ国道190号まで伸びている。駅から下る最初の方の区間は松島通りとして知られている。


市道区間内にある信号機付きの交差点はこの2つだけである。どちらの交差点も市道栄町線よりは交通量が少ないのだが、青時間の配分はほぼ等しい。代わりにサイクルタイムがやや短く、頻繁に変わる。もっとも両者の信号機は連動しているし片側2車線なので目立った渋滞はない。
右折車を回避するために一旦走行車線側へ戻るような走行車両をしばしば見かける

この先で生活道路のような細い路地に2本出会う。
最初に出会う路地は市道寿町2号線で、ここから琴芝通りまでを連絡している。


この次に横切る市道寿町3号線は塩田川にぶつかるまで伸びる一方通行の路線だ。
いずれも道幅はそう広くなく地域の生活道同然の路線で通り抜け需要には馴染まない。


今となっては時代錯誤と言われそうな汽車ポッポの看板によってJR宇部線踏切が前方にあることが示されている。踏切の手前では更に終日一方通行の市道塩田川線が横切っている。


宇部線に沿って塩田川が流れており、ここで新堀橋によって横断する。橋の長さよりも道路幅の方がずっと広い。
派生記事: 新堀橋
栄町通踏切の様子。
充分に幅は広いし、道路との交差箇所前後はほぼフラットだ。
小串通踏切が大型車両の往来に危険を及ぼすかまぼこ型なのとは対照的


市道名そのままの栄町通踏切を渡ると、その先は古めかしいコンクリート舗装路になる。この舗装は既に前方に見えている県道との交差部終点まで続く。

宇部線横断後は終点に行き着くまで下り線からみて左へ分岐する道はまったくなく、右への分岐のみになる。
最初に出会う右分岐は市道琴芝町線で、後続する琴芝線ファミリー(?)の中ではもっとも幅が広い。しかしこの路線は国道490号まで抜けることはできない。


この路地と次の路地に挟まれた場所は隠れた児童公園になっている。
上の写真で右側に見えているのが公園のトイレだ。
派生記事: 松月堀児童公園
続いて同様に2本伸びる路線がそれぞれ手前から市道琴芝町2号線市道琴芝町3号線となっている。


この位置から国道490号に向かうには市道琴芝町3号線経由になる。しかし途中まで道幅が狭いので、市道琴芝町線、柳町線、琴芝町3号線とリレーする経路が結構よく通られる。

コテコテなコンクリート路。今となっては珍しくなってきた。
そのうち歩道上に見えている電話ボックスも絶滅危惧種になるのでは…


訪れたのがたまたまお盆の中日(15日)だったせいか交通量はそれほどなかった。しかし平日の朝夕はさすがに交通量が多い。耐久性のあるコンクリート舗装とは言えども、何十年となく車に踏みつけられ、舗装材に含まれる骨材が表面に露出し、磨かれている。

施工継ぎ目から生え出ようとしている逞しい雑草たち。
これと最後の一枚は3年前に撮影されたもの


柔軟性のあるアスファルトに比べてコンクリート舗装は弾力に欠ける。また起点付近にみられたような「かまぼこ構造」で舗設されることは殆どない。しかし耐久性があるのでこうして何十年経った今でも現役で供用することができる。フラットだと雨天時の路面滞水が心配されるが、塩田川が近いせいかこの近辺で問題になったことはあまりない。

終点を目前にして2つ目のバス停に出会う。


総合庁舎・市立図書館バス停となっている。
先のバス停と合わせて最近設定されたバス路線に伴って現れた。
「めぐりーな」と表示された路線バスがこの路線を通る…ここ1〜2年の間のことだ


バス停名の通り、ここは総合庁舎の市道側出入口になっている。県道に面した側にも出入口はあるが、庁舎の裏側になることもあって一般来庁者は退出用に通る程度だ。
一般には総合庁舎と呼ばれるのだが、それぞれの用件に応じて中に入っている部署名で呼ばれることが多い。特に道路関係に携わる人々および業者が訪れる先は3階にある宇部土木建築事務所であるせいか、専ら「宇部土木」「県土木」と呼んでいる。
県土木に関する記述を分割して派生記事側に移すかも知れない…

さて、そろそろ終点が近い。
前方は直進路がなく左折か右折のいずれかだ。[1]



それぞれ右左折専用レーンになっていて、オーバーハングなどによる案内はない。ロードペイントを見た上で早めに左右どちらかのレーンに移動しておく必要がある。


市道栄町線の終点と県道との接続部。
県道琴芝際波線の記事を書いたとき再度紹介することになると思うが、ここでは市道向けに派生記事を案内しておこう。
派生記事: 総合庁舎前T字路
県道の反対側から市道栄町線の終点を撮影。
道路中心が県道の施工継ぎ目と一致している。
3年前に撮影…街路樹の剪定を終えているせいで道の両側がスッキリして如何にも冬初頭の風景だ


冒頭では「名前は知らないけど殆ど誰でも知っている道」ということを書いた。しかしその名前こそ現在となっては確かに疑問の余地がある。それというのも、
「栄町という町は、もはや市街部には存在しない。」
という事実があるからだ。

恐らく栄町は旧来の町名表示であり、統廃合によって消滅したものと思われる。それ故に現在どの辺りが栄町だったかを知る術がない。実際、私も知らない。冒頭の会話の続きを書くなら、こんな具合に展開するだろう。
「へぇー、この道を栄町線って言うんだ…で、栄町って何処にあるの?」
「もうないよ。」
「ないよって…じゃあ昔はどの辺を栄町って言ってたの?」
「・・・・・。」
自信をもって「この近辺でした」と説明できる宇部市民はもう僅少だろう。実際にはご存じの市民が必ずある筈としても、予備知識を持たない人がそのことについて調べようにも根拠となる資料が近くにないのが現状だ。かつてはこの市道に面した何処かの地区が栄町であったとしても、現在の宇部市街部の地図上では常盤町、寿町、そして琴芝町しか現れない。

栄町は殆ど間違いなく「さかえまち」と読まれる。この読み方についても他の町名と併せて一般論を考察する余地がある。
派生記事: 「〜町(まち)」と「〜町(ちょう)」
区画整理が施され、あるいは住居表示変更によって丁目表示に変わるとき夥しい小字が地図からその表記を消し去られた。こうした古い町名も小字同様、今のうちに分かりやすい形で遺しておかなければ、しまいには地名の変遷からして市民の記憶から失われてしまうのではないかと危惧される。
【路線データ】

名称市道栄町線
路線番号41
起点国道190号・市役所前交差点
終点県道琴芝際波線・合同庁舎前交差点
延長約700m
通行制限
備考

延長など各データの正確性は保証できません。参考資料とお考えください
出典および編集追記:

1. 都市計画道路としては本路線は現状が完成形というわけではなく、総合庁舎前を十字路として更に北上する路線計画となっている。詳しくは都市計画道路の項目を参照。

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