市道真締川南小羽山線【2】

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(「市道真締川南小羽山線【1】」の続き)
「カーブがきつい!」
「歩道に上がれない!」
「景色もイマイチだ」
ここまで特に観るべき景色はなく、道路構造の悪さをさんざっぱらダメ出しされ続けて良いところのない状況だ。
そしてもう一つ、これはダメ出しと言うよりは不安材料なのだが…
「道にまったく丘を登る意思がみられない?」


元から小羽山は丘陵地帯であり、終点の南小羽山は平均的にも標高30m近い高さがある。片や起点は真締川の畔から始まっているので標高は殆ど海水面に近い低さ。早めに高度を稼いでおけば良いのだが、蛇瀬川なりに沿ってゆるゆると進んでいる状況だ。

このカーブを抜けたところで蛇瀬川を渡る。
振り返って撮影。
この外カーブ付近で昔の蛇瀬川は大きく蛇行していた可能性がある…いずれ記事にする予定


これは直近撮影の写真で、帰りに蛇瀬川を渡る場所を撮っている。
このときに気づいたのだが、蛇瀬川に造られたボックスカルバートと道路の線形が一致していない。せっかくここで広がるのに内側へガードレールを設置して狭くしているように見える。


蛇瀬川を渡り、逆光を避けるように木陰に入って振り返って撮影。
丘陵部から降りてくる別の細い道がある。鬱蒼とした藪から出てくるので、光のコントラストが強すぎて市道を写そうとカメラを向けるとその道が真っ黒になってしまってよく分からない。


その細い道へ少し近づいて暗い側に照準を合わせて撮影している。
この状態では逆に市道の方が明るすぎてホワイトアウトしてしまう
車一台がやっとという感じの狭さ。しかもその先では更に狭くなることを予告する標識が立っていた。


この道こそ、出だしの直角曲がりのところでひっそり山中へ向かっていた市道維新山西山線である。 地図を見て両者が繋がっているらしいと推測していたが、別の日に実際に辿ることでここへ出てくることが確認できた。

ここで素朴な疑問。
この細い道は何でわざわざ丘を越えているのだろう…
この細い道が古道と思うのだが、地図でも分かる通りそれは平地を避けてわざわざ山の中に入り、標高10m程度の小さな丘を越えて再びここに下っている。片や現在辿っている市道は坂を越えるどころか目先の丘陵地帯へ登る意思すら薄弱なくらいに蛇瀬川に沿うベタ道を進んでいる。

その気になれば最初から蛇瀬川に沿って今の道が造れていただろう。古くからの道がどうしてわざわざ丘越えルートを選んだのかよく分からない。勝手な想像だが、かつての真締川や蛇瀬川がたびたび氾濫していたので安全に通れるように山側へ道を造ったのでは…とも思える。
実際市道維新山西山線の起点からここまでは真締川から離れた山沿いを通っている

まあ、詳しいことは市道維新山西山線を走ったときお伝えするとして…
思えばダメ出し続きの中、市道をスタートしてここで初めてちょっと面白いものに出会った。

古道との合流点に立っている、謎の赤い鳥居のミニチュア。別に祠などが建っているわけではない。
恐らく男性特有の「あの行為」を制止するためのまじないだろう。誰が設置したのだろうか…
3年前の写真だが現在も同じ位置に存続する


古い道と合流した矢先、またしてもダメ出しの素が…
いや、これはダメ出しと言うよりはホントに何でこうなってるの?って思うんだけど…
(7) 意味の分からない危険なガードレール。


3スパンほどのガードレールが古道との合流点付近の車道に立っている。中程と端っこが車の襲撃を受けて変形しており、当てた場所も錆び付いている。かなり古くからあるもののようだ。
写真は現在のものに差し替えている…3年前から今の状態だった

このガードレールの設置意図が分からない。車道と歩道を仕切るためのものなら、歩道部分が狭すぎだ。間違って自転車がこの内側に乗り込めば支柱にぶつかって怪我をするかも知れない。


ガードレールの先には一段高くなった歩道が見えているから、恐らく歩道空間を確保するために仕切ったのだろう。それならキチンとL型側溝の外側にここまで歩道を続ければ良いのに…
現状はこのガードレールのせいで車道空間をわざわざ狭くしているようなもので、自転車が何処を通るか迷わせる元だし、特に終点側のガードレールの端はかなり車道側へはみ出していて通行車両が接触する危険がある。撤去した方がいいのではないかと思う。
歩行者の安全通行できる空間が失われるかも知れないが歩道を欠く区間は他の場所にもある

さて、このカーブを曲がると南小羽山の丘陵部が見えてくる。そしてこの期に及んで漸く市道は高低差を解消すべき自覚を持ったのか少しだけ登り坂になる。しかし既に前方かなり近く高いところに小羽山を貫くメインの道路が見えており、既に短距離での急坂が避けられない様相に…sweat


合流してきた市道維新山西山線は数十メートルばかりの重用区間を経て袂を分かち、西山地区の方へ逃げていく。不甲斐ないこの道に大先輩の古道も「付き合いきれぇへんわ」とでも言ってそうな感じでもある。
ここを入ったところから南小羽山の”人面堰堤”が正面に見える


本当にこんなゆるゆるペースで高低差を解消できるんだろうか…このままだと南小羽山の丘陵部へ突っ込んでしまいそうだ。

それ位に接近した段階で、この市道は漸く高低差をこなすべきであるという「宿題」に気付いたのか、大慌てで高度を上げ始める。


その坂たるや、暴力的でしかも相変わらずの悪線形。
もう少し手前から高度を上げる準備をしていればこんな急坂にならなくても済んだだろうに…


丘陵部の麓まで到達し慌てて急坂を登り始める様子は、恰も「宿題を沢山抱えているのに遊び惚けていて夏休みが終わる直前になって大慌てで片付け始める小学生の悪ガキ」を思わせる。

慌てている訳でもなかろうが、その「宿題のこなし方」も決して丁寧ではない…取りあえず車が通れるように点と点を結んでおけばいいやってな感じの道造りだ。


こうして下から見ても、単一勾配で無理やり結んでいることがアリアリ…一般庶民が安全に通るための道と言うよりは、まるで工事現場の仮設道路のような粗雑っぷりだ。
車でもローギアでないときついし、自転車にとってはもっと厳しい。変速ギアならかなりの労力を払ってどうにかこなせるが、ママチャリ・ドライバーは殆どギブアップして押し歩きしているようだ。
坂がきつい分登坂距離が短くて済むという別の見方もできるが…

まだ急坂も終わらないうちに信号機が見えてくる。思えばスタートしてから初めての信号機だ。


しかしそれは交通整理に直接関与しているものではなく予告信号である。
ドーカン坊主呼ばわりされている我が市道、最後の最後でまたやってくれた。
(8) 得意技・直角曲がり接続!!
カキッと直角に曲がって、そのすぐ先が交差点。そして終点。
こんな線形ではカーブを曲がり終えるまで交差点の信号が見えない。それ故にカーブの中ほどへ予告信号を設置しなければならなかった訳だ。
何というムチャな道造り…


ここで到達するメインの通りは市道小羽山中央線で、路線中でもっとも交通量の目立つ交差点である。
正面の真っ直ぐ登っていく道は市道南小羽山12号線である


小羽山中央線から撮影。
市道真締川南小羽山線は右折側になる。この方面への出入りが多いので、この信号機は感応式ではなく一定サイクルで変わる従来タイプになっている。


坂を登り切り、とにかく完走。
車に優しくない路線だったが、自転車隊にとってもきつい市道だった。

終点から振り返って撮影。予告信号のある付近で既に交差点より3mくらい低い。


交差点の手前がこういう状態なので、ここで信号待ちする際には注意が要る。
さすがに交差点の手前は平坦になっているので信号待ち先頭の1〜2台は問題ないが、3台目以降は急坂の途中に停車せざるを得ない。したがって、
・2台目以降は前の車から距離を保って信号待ちすること。
坂道発進が下手でバックしてくる車がたまにある
・信号待ちのときは必ずハンドブレーキを引くこと。
ミッション車では特に重要
夕刻時などタイミングによっては5台くらいが信号待ちすることもある。
道路の構造がこんなだから、起きそうな危険は予知して自衛する必要がある。


結局、この市道に関してはこれといって見るべきものは殆どなく、道路構造上抱えている問題点ばかりが槍玉に挙げられてしまった感じだ。
まあ、それほど問題があるが故に市道レポートとして日の当たる場所へ持ち出し、ここを通る人々がどう考えているのか、可能なものなら改良して欲しいという意味合いもあって紹介したのだが…

どうにも道が嫌いだとか危険だと思うなら、通らなければ済みそうなものでもある。実際、ここまで批判され腐されドーカン坊主呼ばわりされれた道に感情があるならこう答えるだろう。
「いや…そんなにこの道が嫌いなら
無理に通ってくれなくてもいいんだよ」
そうもいかないのは、この市道の重要度が極めて高いからだ。

この市道の経路図である。


小羽山に向かうすべての経路を考えると、南部および西部からは県道琴芝際波線が、北部からは市道高嶺中山線が整備されている。同様の急坂はあるもののいずれも大型車やバスも通る比較的高規格な道だ。
しかし冒頭でも述べた通り、小羽山の東部から車でもアクセスできる経路は市道西山線、市道丸山黒岩小串線、そしてこの市道しかない。特に前者2路線はこの市道より更に狭く登り坂も急なので大型車両通行不可となっている。結局、3本の経路の中では車種を問わず常に通行可能なこの市道が「最も優秀」なのである。

私自身、仕事で北小羽山へ週2回は車を走らせる。アジトから北小羽山へ行くには常にこの道が第一選択となる。県道では遠回りだし途中で長い信号を待つようになる交差点があるからだ。
市道西の宮小松原通り線と県道の交差点
だからこの市道が通れなくなってしまったら大変に困ってしまう。道路の造りは”ドーカン坊主”だが、ロケーションから経路から本当は「できる子」なのだ。
それ程の実力派なのだから、出来ていない箇所を改良することで今より快適な道になる筈だ。

この市道と似た「些か強引な道路構造」は、小羽山中央線を始めとする小羽山地区の各道路にも見受けられる。これには当時の道路造りの最優先項目や理念が反映されているのではと思われる。
当時はモータリゼーション隆盛期で歩行者や自転車などは等閑にされがちだった。車道にしても「まずは車が乗り入れられる道を」という考えがあったのではと思われる。今でこそ市内の一大居住地たる小羽山だが、30年程度以前は現在の状況など想像だにつかなかった山野地だったからだ。

開発当時にあった「通行可能な道路」から「安全に通れる道」という追加条件が求められるなら、現代に見合った安全かつ快適な道路構造に変えて行かなければならない。
もし続編が作成されることがあれば、その折りには見違えるほど快適になった市道のレポートをお届けできることを願いつつ…
【路線データ】

名称市道真締川南小羽山線
路線番号511
起点市道真締川西通り2号線・交点
終点市道小羽山中央線・交差点
延長約800m
通行制限なし
備考悪線形につき走行注意

延長など各データの正確性は保証できません。参考資料とお考えください
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【追記】(2012/12/11)

(7) に指摘した「意味の分からない危険なガードレール」は、10月中旬頃に撤去された。
その後、車道舗装部分をオーバーレイし、ロードペイントを引き直した上で先のガードレール撤去箇所に新たな標示板が設置された。

一連の変更部分を続編として制作した。
(「市道真締川南小羽山線【3】」へ続く)

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