市道藤曲門前線【2】

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(「市道藤曲門前線【1】」の続き)

既に溜め池が見えている。
本路線は2つに分かれた溜め池の堰堤部分を通るように左へ曲がる。


堰堤通過区間は幅が広い…おかしな話だが、本路線では栄ヶ迫溜め池の堰堤上を通るここが一番幅の広い区間である。


元から交通量の殆どない路線なせいか、堰堤上は駐車禁止指定されていない。休日になるとしばしば車が数台停められ、護岸の上まで降りて釣り糸を垂れる来訪者が目立つ。
市内の溜め池では多くの場所で釣り禁止となっているが、栄ヶ迫溜め池ではフリーである。市道から投げ釣りする人もみられる。道路幅があるのでガードレールに竿を立てかける釣り客もある。まあ邪魔にはならないが…近場で釣りを愉しみたいという需要は結構あるらしい。
だけど護岸にもつれた釣り糸を棄てるのは止めてよね…足に絡んで池に転落したら殺人幇助だよ♪

市道の進行方向右側が中堤になる。
栄ヶ迫溜め池のうちで最も豊富な水を湛えている。詳細はこちらに書く予定だ。
派生記事: 栄ヶ迫溜め池・中堤
(記事が書き上がり次第リンクで案内します)


反対側が下堤。この池にはあまり水が溜まっていない。最近、堰堤の一部が切り取られて余水吐が造られた。
派生記事: 栄ヶ迫溜め池・下堤
(記事が書き上がり次第リンクで案内します)


栄ヶ迫溜め池は三段池とか三段堤などと呼ばれる。私は縁が薄いものの藤山区では恐らくもっとも知名度の高い溜め池だ。しかしそれらの話題は後日語られることとして…本路線トレースに戻ろう。

堰堤を渡りきると、道は三方向に分かれる。


下流側、左への分岐は市道寺山2号線で、アップダウンのある住宅地の中を通っている。
行き先が門前なので左折は明らかに本路線候補の対象外だ。
角に設置された広報板のようなものの意匠がおもしろい


したがって本路線の候補は直進か右折になる。
双方の道が見えるように、広報板の横から撮影している。
さて、どっちに進む?


栄ヶ迫溜め池の堰堤を基準に考えると、直進する道が上の写真の左分岐になる。十字路を過ぎた先から緩やかな登りが始まっている。右側へ曲がる分岐は平坦なままで、直進する道より間口はやや広い。

今まで常に狭い方の道を本路線として選択していた流れからも分かるように、坂を登っていく真っ直ぐの道が本路線である。


地図で下調べしておけば一応分かるものの初めてこの地を訪れた人には間違いやすい場所だ。実際、私も最初は素直に右へ曲がる道を進んでしまった。同様に誤って入り込む車は結構多いらしく、入口に大型車両進入不可の立て札が設置されている。
右への分岐は恐らく地元管理の道で、何処へも出られず行き止まりである。しかし栄ヶ迫溜め池の中堤・上堤に行けそうな気がしてこれまで数回進攻を試みている。詳細は以下の派生記事を参照。
派生記事: 栄ヶ迫池上堤に伸びる道

十字路を過ぎて登り始めるやすぐに再び分岐路に出会う。今度はどっち?


あらかじめ門前へ向かうと分かっていなければ、ここは難しい。双方とも同じ位の道路幅だからだ。
左への分岐はかなりの急坂になっている。地元管理の道で、住宅地をぐるっと回って先の寺山2号線に出てくるか、民家で行き止まりになるかだけである。

この場所を地図で示そう。


この尾根を一つ挟んだ北側が中山浄水場のある沢だ。かなり初期に浄水場を訪れたとき、近道ができないかと思って一度だけ自転車を押し歩きして栄ヶ迫溜め池のある現在地へ出てきたことがある。もちろん車では通り抜けできない。
中堤に沿う道も上堤到達前に民家の庭先で行き止まりになっている。結局、門前に向かうのは中堤より一段高い場所を登っていく右側の分岐のみである。

さて、いよいよ本格的な登り坂が始まる。5段変速ギアの自転車ならまあどうにかなる程度の勾配だ。


もっとも先を急ぐべき理由は何もない。鈍行でも周囲に散らばる面白い景色や物件を拾い集めるのも市道レポートの一つの目的である。この程度の坂なら乗って楽勝に漕ぎ上がれるのだが、要所で撮影するためにも自転車を降りて押し歩きした。本当ならこの程度の坂など漕いで上がるのは楽勝だが…(←二度も言うなw

両側に家が並んでいてかなり狭い。車が来たなら離合できる場所を探すのにかなり苦労しそうだ。


それでも路面を見るとタイヤで磨かれたアスファルト路面が目立ち、相応な往来があることが分かる。
鋳鉄蓋はから下水道も来ているようだ。


そこへ唐突に後ろから車のエンジン音が…
この先がどうなっているかを既に知っているので、車が入ってくることは殆ど考えてもいなかった。まあ、この先には民家も数軒あるので地元在住者の往来は一応有り得る。そう頻繁にあるタイミングとは思えないが。

降りて押し歩きしていたので、そのまま路傍に自転車を移動してやり過ごした。


両側に連なる家並みの中には廃屋らしきものも現れ始めた。稲作畑作で代々暮らしてきたものが産業構造の転換で農作を営まなくなったら、日常生活の不便さが感じられ始めたのだろうか。

この辺りもだんだんと藪が酷くなってきたなぁ…とカメラを構えたそのとき…
何と、さっきの車がまた降りてきた。さっきの撮影から1分も経っていない。
正確には間で別の1ショットを撮影している…それを含めても29秒しか経っていなかった^^;


この時間なら顧客を訪れたものの留守だったという可能性はない。まず道間違いだろう。

何しろ狭い本路線である。またしても車をやり過ごすために自転車を端へ押して避けることとなった。
車はボディーに社名の入った営業車で、運転手のレディーはさすがに申し訳なさそうに軽く会釈された。
いいですよと笑顔で会釈を返した…可愛い女の子にはジェントルマンで接するのは当然だ^^;

そう言えば栄ヶ迫溜め池から離れて登りが始まる場所には「この先車両通行不可」などの立て札はいっさい出ていない。まさかナビで中山観音行きを案内しているなんてことはないだろうが…

カメラを向ける積もりが無くても否応が無く廃屋をキャッチしてしまう。
人が住み着かなくなってかなり経つらしく、車庫らしき建屋の中まで草が進入していた。


民家が疎らになってきた。路面もタイヤで磨かれた痕が薄くなっている。さっきの車のように何も知らず入って来たとしても、先へ抜けられないかも知れないという考えがわき起こるような状態だ。


ここにも藪に飲まれた小屋があった。若干広くなっており、さっきの車はここで転回したのだろうか。


正面に見える民家の横には、今では無くなってしまったあれが存在していた。
対比して見やすいよう別の日に撮影したほぼ同じアングルの写真を載せている


詳細はこちらの派生記事に書いた。上の写真と派生記事冒頭の写真を見比べてみれば分かりやすいだろう。
派生記事: 宇部興産特高線交差部・No.81

この場所では珍しく沢地側の景色が開けた。
下に見えている家は、恐らく栄ヶ迫溜め池の中堤を過ぎてすぐ右に入った道の一番奥にあった家屋だ。


中堤からも見えていた奇妙な形の送電鉄塔。
本路線はその足元に向かって進んでいるようにも思える。これが鉄塔のメンテナンス道で、あの足元へ到達して行き止まり…という事態だって充分に有り得る。


実際、この辺りから路線は大きく右へカーブして鉄塔に向かっていた。もっとも本路線の先行きを確信した上で進攻しているので何ら不安はなかったのだが…

(「市道藤曲門前線【3】」へ続く)

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