市道藤曲門前線・横話【1】

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ここでは市道藤曲門前線の派生記事をまとめて収録している。
《 了善河内墓地 》
栄ヶ迫溜め池の南側にある丘陵地帯は了善河内墓地と呼ばれている。
この変わった名前の由来は、了善河内墓地の墓参道に建てられた説明板に書かれている。


説明板の拡大図。


説明によれば、了善河内という地名の歴史はかなり浅い。了善が人名で河内は川や沢地に開けた平地という意味[1]である。
一般には地名の由来が人名に求められることは稀で、もしあるとすれば地名が与えられた契機となる事件以前に人々の暮らしがまったくなかった場合に限られると思う。元々が未開の地であったところに修行道場を開いたのが契機なら、由来についてはこの通りと言えよう。

手元の広域小字マップには了善河内は記載されていないが、藤曲地区には字として存在する。[2]
最初の火葬場は了善河内にあったと聞いている。その後京納に移され、それから現在の白石になっている。

市の管理する墓園は開、小羽山、白石の3つ[3]なので、了善河内は地元管理の墓地のようである。
市道藤曲門前線の道端に共同利用する水場と説明板があった。


その横に設置された祠は無縁仏を合祀するものである。


了善河内墓地の知名度は恐らく市民でもかなり低い。私自身もここへ訪れるまでまったく聞き及びしなかった。墓地以外でこの名が現れるのは今のところ市道了善河内線のみである。

《 緑ヶ丘付近の地区道 》
了善河内墓地の中を通る本路線は狭く、実質的に新興住宅地の中を通る地元管理の道が代替している。
墓地に向かう分岐路を真っ直ぐ進むこの経路である。消防車の停まっている先で少し左へ曲がり、その角に公園があって右へ折れる形になる。


市道と地元管理の道との合流地点から振り返って撮影している。
逆から来た場合、直進が市道なのだが大方の車は狭い道を嫌って右側の地区道を通っている。
直進する経路上に砂が溜まっている…この方向の交通が少ない証拠だ


逆から進むと、公園を前にしてすぐに直角に左へ折れる。


直角折れ部分で参照されるミラーの柱には「宇部市」のステッカーが貼られていない。
このことからも市道でないことが判明する。


コーナー付近にある公園には緑ヶ丘公園という名がついている。


もっとも緑ヶ丘という字は近辺に存在しない。[2]恐らく新興住宅地の名称で、公園にも同じ名前を与えたのだろう。
地元管理の公園で特筆すべき話題も想い出もないので、公園カテゴリには収録していない。

《 栄ヶ迫池上堤に伸びる道 》
現地踏査日:2013/11/14
記事公開日:2013/11/19
栄ヶ迫溜め池の堰堤を渡った後、道は3方向に分かれておりトレース志願者を困惑させる。
そのうちで選択肢に入りやすい道が右へ曲がるこの道だ。


大型車禁止の札が元々あった立て札に上乗せされている。


3年前に撮った同じ場所の写真。以前は通行禁止表示だった。特に大型車への呼びかけのようだ。
3度も呼びかけているとは…よほどのことがあったのだろうか


本編でも解説している通りこの道は市道ではなく、地元管理ないしは私道である。そして最も重要な結論として何処へも抜けられず行き止まりだ。この奥に数軒在る家に用事がある方以外は、結局引き返す以外ない。

もっとも私自身については何も好奇心で行き止まりと分かっているこの区間に入り込んだのではなかった。栄ヶ迫溜め池の上堤へ到達する経路を探していたのである。地図で見る限り、この経路がもっとも有望そうに見えた。探しようが悪いのではないかと思い、このたび恐らく3度目の進攻となった。

進むほどに道幅は狭くなる。もっとも行き止まりながら最近舗装したらしく路面は新しい。この状況を見て車の往来がある道と考えて外部からのドライバーが迷い込んでしまうのだろうか…


道のすぐ外側が中堤である。
岸辺までみっしりと樹木が生えていて水面もよく見えない。


そして一番奥の民家で行き止まりとなる。
途中に転回できるほど幅のある場所がないので、間違って進入したら一番奥の民家の庭先で転回せざるを得ない事態になる。


入口のところに大型車進行禁止という表示が出ているのは、間違ってトラックなどが入ってきて庭に著しい轍の跡だけ残して去っていく事態が続いたからかも知れない。
それなら大型車に限定せず「この先行き止まりです」の方が効果あると思うのだが…

一番奥に民家の敷地が控えている以上、到達する経路は存在し得ない。しかし何処か脇へ逸れる道があるのではと思った。
結構怪しいと思ったのがこの場所だ。


岸辺に向かって降りていく道が存在するようでもある。
しかし中堤に降りてもしょうがない。欲しいのは上堤へ確実に行ける経路なのだ。中堤の岸辺をたどって行けるのかも知れないが…


見るからに荒れていそうな感じなのでテンションも上がらないが、一応先を偵察してみた。

完全廃道状態。
これを辿って本当に上堤へ行けるとしてもそこまでの本気度が全然湧いてこない。


諦めて引き換えそうか…という段になって踏査の宿敵が見知らぬ人間の気配を察知してアラートを発し始めた。


別にやましいことをしている意識がなくても、私がここに留まる限りアラートが習性上「鳴りやまない」ことを知っている。退散あるのみだ。自転車に跨り、アラートが塀から身を乗り出してなおも唸り続けるのを横目に立ち去った。

以上、この区間の調査終了。もう訪れることはないだろう。

出典および編集追記:

1.「河内」(デジタル大辞泉)による。

2.「宇部市藤曲地区小字図」絵図32(郷土資料館保有)による。

3.「宇部市|宇部市の都市公園一覧」末尾に墓園が掲載されている。

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