市道了善河内線

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現地踏査日:2009/9/13
記事公開日:2013/12/21
了善河内とは聞き慣れない地名だ。市内でもかなり知名度は低いのではないかと思う。詳しい経緯は後述の派生記事として案内した了善河内墓地で述べている。一見、人名のような地名は実際ある歴史的人物に命名経緯を遡ることができる。

市道の路線としては特に見るべきものはない。墓園の最高地点まで登って方向転換し別の場所へ降りてくる…それだけの路線である。その他の特徴も認定市道のリストのうち唯一「ラ行」に分類される路線くらいのものだ。

市道の整理番号は藤曲地区に本来割り当てられている600番台より随分と後ろであり、他の市道よりも後期に認定市道となったらしい。恐らく元は地元管理の道だったのだろう。

起点の位置を示す。


全線の写真は割と早い時期に撮影を終えていた。記事化は考えていなかったが、沿線に若干の特筆すべき話題をもつ物件があるので、それらを案内する過程として本路線のトレース記事を作成した。

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起点は市道藤曲上条線の終点付近、最後の登り坂の途中にある。
右への分岐が本路線で、分岐点の中央に目立つ石碑が建っている。


これは恐らく了善河内墓地への墓参道を造ったときの記念碑であろう。
派生記事: 墓参道路標
現在の市道はセンターラインがないものの普通車は離合できる程度の幅がある。
中の山団地へ向かうまでの間は幅が広く路面の舗装も新しい感じだ。


一般の通行需要は住宅地である中の山団地へ向かう右折が多い。しかし本路線は墓参道なので標高を上げていく左の分岐になる。


中の山団地へ向かう道と本路線との間には溜め池の痕跡のような窪地があり、真砂土が敷かれたグラウンドのようになっている。
護岸部分は平ブロックが張られている。


確かにこれは溜め池の痕跡だ。元あった池の名前は分からない。詳細はこちらに書いた。
派生記事: グラウンドのような溜め池
中の山団地との分岐を過ぎると途端に道幅が狭くなる。
普通車なら離合場所を頭に入れながらの進攻になるだろう。もっとも先方から車がやってくる様子はない。


登り坂が一息ついて次のカーブに向かうあたりから墓地らしい雰囲気になってくる。


共同墓地利用者向けの告知板と無縁仏を祀る御堂が建っていた。


了善河内の由来に基づきこの辺りは古くから墓園だった。初期の公営とされる火葬場(と言うよりは恐らく野辺送りの場だったと想像されるが)は了善河内にあった。その後京納に移り、現在は白石にある。
了善河内墓地については既出の派生記事を参照されたい。
派生記事: 了善河内墓地
自転車ではギアを下げるとまあ何とかなるかと思われる程度の坂道である。
カーブミラーが多い。ここなどそこそこ見通しは効くのに設置されている。


ポールに貼られたステッカーは「地元管理」となっていた。
本路線に対してではなくこの場所にある枝道が使用するミラーかも知れない。


本路線の最高地点が見えてくる。
正面やや右側の空き地にかつて建っていた「あれ」が存在しないのが今となっては寂しい。
いずれ元あったものを知る人も殆ど居なくなるだろう


登り坂の先に本路線の最高地点に到達する。
カーブミラーのあるすぐ右側にはかつて宇部興産(株)が窒素工場向けに送電する鉄塔が建っていた。


稼働中の鉄塔および撤去が始まった直後の写真を撮影している。詳しくは以下の記事を参照。
派生記事: 宇部興産窒素線・No.82鉄塔
このカーブミラーの場所で本路線は進路を反転させる。
ここにも共同墓地の利用案内看板が建っていた。


個人の墓参道に紛れて分かりづらいが、この案内看板の横から更に進むことで、栄ヶ迫溜め池の上堤に降りる道があることが分かっている。
堰堤上を通ってこの場所へ到達できることを確認している


折り返し地点を撮影。
車の展開および駐車が可能な程度のスペースが造られている。


折り返した先の下り坂。
個人の墓が多くカメラを向けるのも躊躇される…名前が読み取れないようそれなりに離れた位置から写している。


栄ヶ迫溜め池の方へ下っていく経路の方が狭い。
本路線の起点には墓参道の石碑があったが、この部分はもしかすると当初含まれていなかったのかも知れない。


うねうねとした道を一気に下ると逆方向からの道へスライス状に接続する。
道幅は同じくらいだが下の道の方が間違いなく交通量は多い…とは言っても頻繁に車が通る道でもないのだが。


下の道は現在、少しずつ記述を進めている市道藤曲門前線である。
眼下に見える直線部分は栄ヶ迫溜め池の中堤と下堤の間の堰堤部分だ。
あまり関係ないが…目の前に建つ電柱の支持線がもの凄い…


交点はここから栄ヶ迫溜め池方面へ右折する通行を考えていない。この道幅でかなりの鋭角だから軽四でも相当外へ膨れないと回りきらないだろう。
それほど元々の通行需要がない墓参道なのだった。


終点から振り返って撮影。
斜面まで墓園となっているのが分かる。


本路線の経路図である。
国土地理院の地図では現在でもグラウンドのようになっている旧溜め池が描かれている。


また、本路線の囲い込む領域には墓地を示す記号がいくつも描かれている。ほぼ純粋に墓参道の通行需要を見込んだ認定市道と言える。
記事化のきっかけは窒素線のNo.82鉄塔が最高地点に建っていたこと、No.83鉄塔が中の山団地の区画にあったこと、いずれの鉄塔も本年の7月に撤去された事由による。個人的にはこの方面への知見や想い出はなく、今後訪れることは恐らくないだろう。
【路線データ】

名称市道了善河内線
路線番号909
起点市道藤曲上条線・分岐点
終点市道藤曲門前線・交点
延長約400m
通行制限特になし。
備考普通車の離合は困難。

延長など各データの正確性は保証できません。参考資料とお考えください

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