市道崩金山線【6】

市道インデックスに戻る

(「市道崩金山線【5】」の続き)

終点から本路線を辿ったとき右側に位置していた沢が高度を上げて市道の高さまで追いついた。この近辺の最高地点らしく道なりも平坦になっている。
民家が数軒あるうちから少し離れたところに大きな御堂がある。


初回トレース時にはこの場所で振り返って右側にあった窒素線の鉄塔を撮影していた。その写真の左端に御堂が写り込んでいたのだが、当時は頓着せずそのまま立ち去っていた。


この御堂は藤山八十八箇所のうちの一つで、他にはない大きさである。
派生記事: 藤山八十八箇所・第75番
現在でも当サイトでは原則として寺院・仏閣関連は物件として扱わないこととなっている。しかし藤山八十八箇所は本年の最大物件とも言える白岩公園と密接な関係があるため、最近は藤山地区を訪れたときには可能な限り八十八箇所の祠や御堂を探して記録している。今まで撮影してきた中ではこの第75番は現存しているうち最も大きい御堂だ。
白岩公園の中にある倒壊御堂第6番が現存していたなら最大だったかも知れない

初回は反対側から来たので迷う要素はなかったが、終点側からトレースするとここで左右どちらが本路線なのか分かりづらいかも知れない。
ここでは左の分岐である。
分岐の付け根右端に窒素線の鉄塔があった筈だが…もう痕跡すらない


分岐点に置かれていた正方形をした座布団のような石材。
これは何だろう…間知石にしては形が整い過ぎているし、表面には何も文字などはなかった。


初回トレース時にやかましく吠えてお出迎えしてくれたワン公もどうやら健在らしい…この辺りから彼にとって異邦人の存在を嗅ぎつけたのかアラートを発し始めた。


この辺りだけ舗装が新しい。民家への通行需要があるので上に被せたのだろう。


いつ設置されたのか分からない電柱巻き付け型の看板も健在だった。


中山の方へ降りていく道とされる市道尾崎大笠線の分岐点。
ここでまたしても通行人の存在があった。
充分に離れた位置から撮影している


下っていく道は沢をなぞるようにうねっていてかなりの勾配である。その通行人は自転車を押し歩きで登っていた。私の撮影位置からでは一旦カーブの内側に消えた。

もしかすると…という予感がしたが、私は素知らぬ顔して周囲の写真を撮っていた。


その年配の方は私の存在には気付いていらしたものの一言もしゃべらず、これから私が向かおうとするのと同じ方向へ自転車を押し歩きしつつ藪の中へ消えていった。
充分に距離が離れてから後ろ姿の写真を撮った


他人様のことなので頓着すべきではないのだが、私はこの先がどうなっているか初回トレースで充分知っていた。沿線にある家は一軒だけだ。それ故に私自身も自転車を押し歩きしている段階ながら、本路線の初回トレース編で勝手な想像で記述した内容を見直さなければならないかも知れないと感じた。

ここからは殆ど一般の往来がない区間である。そこへ私が後をつけるように接近して歩けば余計な不安を与えてしまうだろう。
それで周囲の写真を数枚撮影した後、ゆっくりと闇のトンネル入口へ向かった。


藪に入った直後にフラッシュ撮影した画像。
真っ暗で何ともおどろおどろしいがそれほどの場所ではない。


フラッシュ撮影すると一般には明るく写るのだが、先が広い藪の場合だとフラッシュ光が全体へ充分に回らないまま光感度は下げた状態で処理するので逆に暗くなる。フラッシュオフにすると自動的に光感度が上がるため、見かけより明るく写る。ただし光量は足りていないからピントが甘くなってしまう。
バッテリーの兼ね合いから通常は常にオフで撮影している

そのフラッシュオフモードで撮影した画像がこれだ。
以前から示唆しているように、実際の見え方はこの中間くらいと思っていい。


数本の枯れ竹が倒れかかって電話線らしきコードの上に乗っていた。
こんな状態でも大丈夫なんだろうか…


暫くして一旦竹藪の闇トンネルを抜けた。
路線の起伏はあまりなく適当にアップダウンしながら進んでいる。


路面の様子。アスファルト舗装はされているのだが、路盤に入り込んだ竹の根がアスファルトを持ち上げている。
交通のある市道だったらまずこんな状態になるまで放置はされない


見渡す限り竹オンリー。他の低木などが殆ど生えていない。
この場所は大木が生えていたのが倒れたのだろうか…かなり大きな窪地が出来ていた。


丘の部分を削って両側に土のうを築いている。
初回トレース時では常盤公園の周遊園路を想像させた。


進むたびに初回踏査時の記憶が逆回し状態で甦ってきた。
しかしこれほど酷く荒れていただろうかという気もした。


一応、アスファルト舗装はされているが…
荒れ方が酷い。もう廃道同然の状態である。違いがあるとしたら初回よりも天気が良いので周囲が若干明るいということだけだ。


先ほど出会ったあの人の後をついていく形になるなと思いつつ段々と酷い状態になるのを愉しむように私も自転車を押し歩きした。

(「市道崩金山線【7】」へ続く)

ホームに戻る