初めて辿った山道市道の興奮をもう一度…
そう思って再度訪れた場所は酷く荒れ果てて道の形もなかった。しかし本路線は終点側へ向かうにつれて次第に道らしくなり舗装もされていることが分かっていた。それならば…と終点側からアクセスしてみるに至った。
市道上条金山線の終点付近である。ここで奇妙な左直角カーブになる。本路線の終点は右だ。
終点を撮影。
市道上条金山線は峠越えの労力が少なくて済むので、自転車で中山方面を訪れた帰りには頻繁に通る。いつもカーブで右へ曲がっていた。
さて、本路線は既に一度起点からのトレースを達成している。改めて終点から再トレースした路線は本路線が初めてだ。今回の目的は単純な再トレースだけではなく落とした様々なものを拾い上げることと、途中にある市道金山線の再トレースを兼ねている。最近の記事はいずれも4年前の写真を元にした再掲載で、現在の視点では違ったものが見えてくると思ったからだ。
本路線は起点側が山道で、終点に向かうにつれて街中でも普通にみられるようなスタイルの市道になっている。初回トレース時と殆ど変わらない場所は写真一枚程度で軽く流し、なるべく初回踏査では言及されていなかった部分について補充しようと思う。
終点に設置された「この先700m通行止」の標示板は健在だった。
この少し先、道幅が狭くなるところに「車両(二輪を除く)先方七百米で行き止まり」の札が出ていた。
これも初回トレース時でも設置されていたことが分かっている。
振り返って撮影。本路線の終点側へ来るとき通った市道上条金山線が見えている。
大きな沢の左岸側を登っていく様子が分かるだろう。
中山浄水場へ行く道はほぼ平坦に伸びているのに対し、本路線は山越えを演じなければならないから早くもきつい登り坂になっている。
終点側から辿った方が山の中へ分け入っていくという感じがでる。
スタート直後から周囲にあるものを見逃さないよう注意しながら進んでいたので、振り返った位置にあったこの祠を見逃さずに済んだ。
これは藤山八十八箇所のうちの一つである。初回トレース時でも気が付いて一枚だけ写真を撮っていた。
詳細は派生記事に書いた。
派生記事: 藤山八十八箇所・第73番
祠は小さな坂の上にあったので自転車は留守番させていた。ギアを落とせば漕いで進める程度の坂だが、周囲を丹念に調べながら進むのでスタート直後から殆ど押し歩きである。
このカーブは起点から辿ったとき何処へ出てくるかが初めて判明した場所だった。
またしても「この先行き止まり」の標示板だ。この看板も初回トレース時から同じ場所にあった。
よほど間違って入り込む外部からの車が多いらしい。
このカーブの先から更に高い民家へ登る分岐の先に別の祠を見つけた。
これも起点からだと逆向きになるので見落としてしまうかも知れない。実際、初回トレース時にはまったく気付くことができなかった。
派生記事: 藤山八十八箇所・第74番
本路線は下の方の道なので再び自転車を空き地へ留守番させていた。思えば初回トレース時には起点のあの迷う分岐点で元金山在住民に遭遇して聞き取りが出来ただけで、その後はまったく誰の姿も見かけなかったし車にもすれ違わなかった。
今回は些か様相が違う。妙に人の気配がする。
上の写真では市道沿いの看板近くに人の姿が写っている。私が第74番の御堂を撮影し終えて自転車のところへ戻るとき、空き地で作業をなさっていた。私は軽く黙礼して坂を下っていった。
その間にも自転車を停めている空き地に所有者と思しき人の車が停まった。通行の邪魔にならないようにと空き地へ避けておいたのだが逆に気兼ねだったなど…
まあ、訪れた時間帯の問題だろう…と再び自転車を押し歩きし始めたところ…
何と、対向車に出くわした。
4年前に訪れたときには本当に人っ気のない集落だったのに…もしかして人口が激増したとか…^^;
自転車を空き地へ退避させ車をやり過ごした。
そこへ御堂を撮りに行くときから見えていた第4の標識。
この先200Mより幅員狭少のため
車両の通行は出来ません
今度は市道路課が設置したと思われる標示板だ。車両の通行は出来ません
(この標示も4年前には既に設置されていたようだ)
看板の下の路肩に並ぶ自然石にはタイヤをぶつけて擦ったような跡があった。
(それはそうと鉄筋が突き出ているのは危ない…路肩に寄り過ぎた車が踏み抜くとパンクする恐れがある)
天地が逆の「パクられ(?)路肩注意」は健在だった。
健在どころか頭に被せられた視線誘導標が新しくなっている^^;
この先からいよいよ狭くなる。
見通しが悪いこのカーブも印象的な場所だった。
異様に低いカーブミラーも健在である。
道路敷の外が低いためミラー自体は標準なのだが反射鏡部分が低くなってしまった感じだ。
この区間は片方が民家の塀、片側が深い谷地になっていて車にとっては鬼門である。
地元住民でもこの中間付近で鉢合わせする事態が結構あるのだろう。
路肩にはガードレールなし。土のうを築いて路肩注意の表示柱を建てただけの簡素な状態である。
確かに事情を知らない外部のドライバーが迷い込んで鉢合わせとかなったらバックするのも一大事だろう。
もっとも現状道路の幅が狭いというだけで軽四なら問題なく通れるし、恐らく2tダンプでも通れる。先へ抜けられないにしても現に住んでいる人々があり、車を転回できる場所も一応ある。引き返しさえ厭わないなら外部からの車が本路線に入り込むのは禁止されてはいない。元々認定市道というのはそういうものである。
先へ進めば軽四も物理的に通れないどころか自転車など二輪の押し歩きさえ困難な場所がある。分かっていながら4年経った今、そこがどうなっているのか知りたい。
道中にある藤山八十八箇所などの見落とした物件を拾い上げるという目的もモチベーションではあるものの、こうした好奇心というものは我ながらなかなか厄介なものであった…
(「市道崩金山線【6】」へ続く)