市道柳小野宗国線

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記事作成日:2019/12/25
最終編集日:2021/1/2
市道柳小野宗国線は、県道231号美祢小郡線の国木峠から東側にある柳小野地区から古道を北へ辿り、美祢市宗国地区へ抜ける古道の宇部市内領域に設定された認定市道である。
写真は本路線の起点、県道分岐点にある特徴的な石仏群。
主要な辻先には大抵このような六地蔵が据えられる…道中の安全祈願と無縁仏の供養であろう


起点はこの位置である。


路線の経路についてはうべ情報マップを参照されたい。

終点は中国自動車道のボックスカルバートをくぐった先(大まかな位置)となっている。
《 成り立ち 》
美祢市宗国地区から佛坂峠を越えて小郡へ出るもっとも重要な経路の一部である。当時は上郷より二本木峠を越える経路が確立されておらず、佛坂峠を経由する道のみであった。この道の通行需要は、宗国地区にかつて存在した宗国鉱山は元より更に北にある長登銅山から小郡への大量輸送需要があったことから、峠越えの労力を削減するために佛坂隧道が掘られている。

昭和中期までは郵便配達人も自転車で通行するなど実用に供せられていたが、後に二本木峠を越える県道小郡三隅線ができてからは高低差の大きい佛坂峠経由の道は往来需要が減った。更に昭和40年代に中国縦貫道が峠の近くを通されたとき、佛坂隧道の柳小野側坑口が工事範囲にかかり、接続される古道と共に改変されてしまっている。

本路線の認定区間は、佛坂峠へ向かう古道と完全には一致しない。県道からの出発地点は一致するが、途中で川を渡り対岸を通っている。その場所はまだ特定できていないが、それより先は田畑および集落共同の取水場に向かう道である。更に中国縦貫道のボックスカルバートへ至る区間は、高速道路と仏坂トンネル建設時の工事用道路として新規に建設されたと考えられる。したがってこの区間は宗国に抜ける古道とはまったく関係がない。
《 経路の概説 》
県道との分岐点となる起点には古めかしい石仏群がある。ここは国木峠を越えて小野に向かう道と本路線の佛坂峠を経て美東へ出る道の分岐点であり、交通の要所であったことから石仏がまとめて祀られているように思える。いずれも極めて古く年号など文字が読み取れるものがない。一番右側のものは五輪の塔を思わせる形状で、身元不明のまま行き倒れとなった往来者を祀ったものと思われる。

起点から閉塞地点までは1.2車線幅の舗装路で、部分的に県仕様のガードレールが設置されている。
事実上現在では往来需要が一戸しかない。


沿線にある一戸の民家からすぐ先は鉄柵で道路自体が塞がれている。
鉄柵は倒れないように数ヶ所が番線で結ばれている。


認定市道がここまででこれより先が私道というわけではない。即ち市道上に柵が置かれて容易に通り抜けられない状態になっているわけだが、これはイノシシ避けと四輪の侵入による不法投棄を防止するためのやむを得ない措置と考えられる。柵は番線で数ヶ所結束されているが、人力で容易に外すことができる。道路管理者による立入禁止の標示はないため、柵を最初の状態に戻しておくことを前提に番線を解いて通り抜けて構わない。(→経路途中が鉄柵で塞がれていることについて

最初の鉄柵から50m程度進んだところに同様の鉄柵が設置されている。
これも同様にして通り抜けて良い。


どちらの鉄柵も横幅一杯に設置されており、柵を回避して脇道より先へ進む方法はない。番線は緩く結束されているので、解いて自分の通れる幅だけ柵を動かして身体を入れ替えた後元通りにする。ハードル飛びの要領でジャンプして跨ぎ越すのは大怪我の元である。
過去にその手法で柵を跳び越そうとして脚に怪我を負った人が居る

これより先は舗装路のままゆっくりと高度を上げていく。
沿線には県仕様に倣った黄色いガードレールが設置されている場所がある。


このガードレールの末端部に左方向へ枝道が存在する。この踏み跡は谷地の水汲み場のようなところで終わっている。方向としては佛坂峠に向かっているようにも思えるが、他の分岐路は今のところ見つかっていない。

枝道を過ぎた辺りから右側に中国縦貫道の法尻に据えられたネットフェンスが見えてくる。
この辺りから高速道路建設の工事用道路として新規に建設されたようである。


道幅は軽トラ一台がやっと通れる程度の幅である。
近年ここまで乗り入れた車が皆無らしく、アスファルト路面上に大量の落ち葉が積もっている。


ボックスカルバートは途中に明かり部分があり、縦貫道の仏坂トンネル前に設置された管理署へ向かう階段が伸びている。
言うまでもなく階段の手前のフェンス門扉は施錠されている。


ボックスカルバートを出た場所が本路線の終点ということになっている。


この場所で道は完全になくなっている。ボックスカルバートを出た周辺が平坦地となっているのは、かつて道路建設のための詰め所があったからではと思われる。

雑木の中から終点を撮影。


したがって本路線は名称上美祢市宗国地区が含まれているだけであり、終点は市境ではなくボックスカルバートの末端部となっている。この場所は宇部市大字柳小野字二ノ佛坂である。かつては佛坂隧道を経て宗国に抜けられていた筈だが、工事用道路ができた後で市に払い下げられたため古道から認定経路を移されたようである。
【 経路途中が鉄柵で塞がれていることについて 】
前述のように、本路線は沿線に一軒ある民家を過ぎた先が鉄柵で塞がれており、四輪の通行はもちろんのこと自転車や徒歩でも柵を開けなければ通行できない状態となっている。

公道は不特定者に供せられるものであり、誰でも通行権を持つので柵などの障壁を設置して塞ぐことは本来認められない。しかし山間部における野獣による農作物の食害は、対処されない場所はことごとく荒らされるほど近年酷いため、農家としても自衛せざるを得ない状況である。殊に四輪が出入り可能な幅をもつ行き止まりの道は、軽トラなどに処分費のかかる粗大ゴミを載せて乗り付け不法投棄されやすい。

柵には市道路管理課や県警による立入禁止などの文言がないので、不法投棄と野獣の害を防ぐための任意の設置物であり道路管理者もやむを得ない措置と考えているように思える。したがって調査目的など市道のこの先に用事があるならば、柵の状態を元通りにすることを前提に番線を解いて先へ進んで構わない。


ただし一般に公道の通行権があるとは言っても不法投棄を疑われる恐れがあるため、柵を開けて四輪を乗り入れるのは止めるべきである。徒歩で進攻する場合も心配であれば沿線にある民家に確認した方が良い。
現在のところこの場所の進行可否について沿線住民や道路管理者の見解を確認できていない
《 Googleストリートビュー 》
起点の県道接続部から入口が見えるのみである。撮影日2013年5月。

このショット以外採取されておらず、行き止まり市道のため今後も採取されることはないと思われる。
《 個人的関わり 》
居住地から遠い場所であり、小郡と小野を連絡する県道から本路線が伸びているため、路線名を調べて現地を訪れたのがまったくの最初であった。

注意以下には長文に及ぶ個人的関わりが記述されています。レイアウト保持のため既定で非表示にしています。お読みいただくには「閲覧する」ボタンを押してください。

2019年12月下旬に山口ケーブルビジョン本社でのスタジオ収録の翌日、帰りに本路線へ立ち寄って品位の劣っていた写真の撮り直しを行った。なお、この際に依然としてイノシシ避けの鉄柵で塞がれたままだったので、確認のため本路線沿いにある民家を訪れた。しかし留守だったので初回踏査時と同じく番線を解いて中へ入り、撮影後に元の状態へ戻した。一連の行動の間も地元在住者との接触はできていない。
【 最近の動向 】
本路線に関して特段の変化はなかったが、初回踏査時でも訪れた水汲み場へ向かうと思われる道に別の内カーブする道を見つけた。近接した区間で二条化しており、新規に見つかった方の経路は間知ブロック(平タイプ)が築かれていた。これほどの構造物を一個人が私費で設置するとは考え難いため、この道は里道でかつては地域共同の水汲み場になっていたのではとみている。

更にスタンフォード地図を解析することにより、佛坂峠に向かう古道は本路線全体ではなく途中から分岐し川の対岸を通っていることが判明した。当該区間は高速道路から充分に離れているため工事の影響を受けることなく当時のままが遺っていることが考えられる。再調査を行い、新たな結果が判明次第編集追記で報告する。
初めて本路線を起点から辿ったときの記録。佛坂隧道に向かうことも意図していたため、記事分岐先では明らかに市道経路ではない部分も含めて歩き回っている。全4巻。
時系列記事: 市道柳小野宗国線【1】
なお、現地踏査と記事制作は2011年時であり、郷土資料などの参考図書を一切参照していないため現在では誤りとも言える部分が含まれるが修正せずそのままにしている。
出典および編集追記:

1.

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