市道柳小野宗国線【2】

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(「市道柳小野宗国線【1】」の続き)

その障壁の少し手前左側には、休耕田に向かう小道があった。殆ど地山と一体化して見辛いが小川には橋がかかっていて安全に渡れそうだ。


ここから障壁を巻いて先に進むことを考えた。そうすれば怪我が心配な金網越えを避けられる。

人や獣が通る経路には必ず踏み跡ができる。そういう形跡や痕跡でも辿れるなら、何処か先へ抜けられる確率が高い。私はしばし人間離れして野ウサギに戻った感覚で(?)周囲を丹念に嗅ぎ回った。

こうして休耕田から一段高い棚田へ向かう踏み跡を見つけた。斜面の草が押しのけられ土肌が露出しているのが分かるだろう。

自然にこうなるものでもなく、これは人間によるものだ。しかもそう古いものではない。地元の方か、あるいは私と志を同じくする先客によるものかも知れない。
イノシシがぬた打ち回った跡かも…持世寺の藪でも見たことがある

この土肌斜面を登り、前方の平場を想定しつつ前進した。程なくしてかなり酷い藪になったが、これが解ければ先々そう長くないと楽観視もしていた。

こうして位置的にはあの障壁を回避できた。障壁の向こう側に見えていた電信柱が後方に見えている。
しかし…


次の一手が全く見つからない。

踏み跡と思われた土肌の跡はダマシだった。あるいは真に踏み跡だったかも知れないが、少なくとも私が望む方向には進んでいなかった。ある程度我慢して藪を漕いだのだが、前方は次第に見通しも効かない位きつい藪に凶悪化していた。どこかで市道に復帰しなければ無意味だ。
しかし復帰したくとも市道を沿って流れていた小川が災いして渡ることができない。

こんな状態なのだ。小川の幅からしてどれ位あるか目測も効かない程雑草に覆われている。10m程度行けるならそこには平穏な草地があり、アスファルトの市道が見えているのに…


おまけに今やり過ごしてきた藪の酷いことったらなかった。
最近ではアジトから遠く離れた才ヶ峠の藪漕ぎがきつかったが、苦痛を伴う藪のタイプとしては最高級クラスだ。もう笑えてしまうほど酷いので、しばし立ち止まってわざわざカメラを接写モードに切り替え撮影を開始した位だ。

では、行ってみますか〜♪

タラの木。
刺が物凄い。これを素手でひん握れば 鬼に金棒… 鬼の金棒だ。藪漕ぎの最中、ほんの少し手が当たっただけなのにしっかりトゲが刺さってしまった。


こちらはイバラ系。いちいち服の縫い目にまとわりついて足止めを喰らわせてくれる。細くて頼りないから体重の支えにも使えないくせに、丈夫で結構よく撓って足や腕、ときには顔にさえも容赦なく鞭を振るってくる。
それすら我慢できるという方がいらっしゃったら迷わずドM認定して差し上げる^^;

まったく…何でこうも人や動物に苦痛を与える植物が存在するのか不思議に思えてしまう。

さあさあ…
凶悪植物の写真撮影会に来てんじゃないんだ。さっさと退散しよう。

やってられるかっての。


えっ?諦めて帰るの?

違うよ。

正攻法で堂々と勝負するってこと よ。


再びこの障壁の前まで戻ってきた。


「低い金網なんだから跨ぎ越せばいいじゃないか」という声もあるだろう。
既に試行済みだ。さっき藪を漕ぎに行く前に。

さっきは書かなかったけど、実はこんな目に遭ったのだ。

金網の前には、誰だって足場に考えたくなるようなブロックの破片が置かれている。後から思うに穿った見方をすればそれは同じ事を目論む人々に対する懲らしめのトラップかも知れなかった。
左足を掛けて体重を乗せた途端、
ブロックがパタンと倒れてバランスを崩した。


何をするにも先を読んで慎重に動く私も、これは本当に危なかった。咄嗟に後ろへ重心を移動して後方に大きくよろめく形になった。
それでいいのだ。絶対に前へ倒れてはいけない。尖った鉄筋の柵に倒れかかれば、下手をすれば”串刺し野ウサギ”の出来上がりだ。

コンクリートブロックが倒れたせいで支えを失ったトタン2枚が倒れ、周囲にガラガラと無駄に大きな音を響かせた。わざとそうなるように悪意を込めて仕掛けられているのでは…とすら思った。

正直、猛烈に腹が立った。

何でこんな嫌がらせみたいな事しなくちゃいけないのか?
山はみんなのものじゃんか。anger
…と、こういう事があって跨ぐことを諦めて別の経路を探しに藪へ分け入ったという訳だ。

腹をたてても仕方がない。私は議論をおっ始めに来たのではなく踏査に来たのだ。
発想を転換した。
そもそもやましい気持ちがあるから柵を越えてやろうなんて行為になる訳で、この先に正当な用事があるなら、普通に考えられ得るお行儀の良い方法で通るものだろう。

そうすれば自ずから答は明らかだ。
番線を解き金網の柵を開いて通った。


2ヶ所で結わえてある番線はビニル被覆タイプなので、手で緩めることができた。それを外して引っかけておき、金網を前後に大きく開いた。
またしてもトタン板がバタンバタンと大きな音を立てたが、全然頓着しなかった。何か問題があるなら民家の方が出て来られて制止なり説教なりするだろう。それはまず有り得ないことだし、仮にそうなったら私はハッキリ自分の意見を述べる用意があった。
もっともこの障壁自体もあの民家の方が設置したとは決して断定はできない

金網の上端を持って前後に開けば、横向きになって身体を通すことができた。こうしてやっと障壁の反対側に身を置けたのである。ここに到着し行動開始して既に15分が経過していた。
車の位置が若干山側へ寄せられているのが分かるだろうか


通れないからと勝手に金網を解いて中へ入り、しかも文句を垂れるなど何だか盗人猛々しい行為のように思えるだろう。普通はそこまで私もお行儀悪くは振る舞わない。自信をもって振る舞えるのは、この道が認定市道と分かっているからだ。

もっとも認定市道だったらいつでも誰でも無条件に立ち入れるとは限らない。例えば市道霜降山登山線は起点に鉄の門扉があり、夕刻には閉められ二輪を含む車両を通さない取り決めがある。霜降山の駐車場などが粗大ゴミ投棄や暴走族が暴走行為を始める集合場所として利用されている実態があるためで、門扉の閉鎖時刻がハッキリ明記されている。駐車場から夕刻の景色を観ようと車を乗り入れてうっかり閉鎖時刻を過ぎれば、山から降りられなくなってしまう。
そういう事情があるので警告文は抑止力期待にとどめ実際に門扉が閉鎖されることはないようだ

翻ってこの市道には入口に行き止まりの表示がなく、車両通行止めや立入禁止の文言もない。ただ路線上に車だけではなく山歩きの人も往来不能にする障壁が置かれている。障壁は市の管理する設備ではなく(市道路課などの銘が入っていない)一般人によるものと考えられる。この先に車を通させたくない如何なる理由があれ、これは越権行為であり、やかましいことを言えば公道の不法占有だ。
状況を斟酌して市が個別に障壁設置を容認している可能性もある…しかし何の明示もなければ部外者はその先に進んではならない理由が分からない
私道は広義の私有地であり、正当な理由および所有者の許可がない立ち入りは不法侵入を問われ得る。地区道は地域に住まう住民のための道であり、住民が維持管理しているから何かの取り決めがあれば部外者は従う必要がある。他方、一般の市道は市民を含めてみんなのものである。崖崩れや陥没などで通行が危険という明白な理由があれば市の権限で一般人の通行が制限されることはある。そういった理由が明示されないならば、不法行為の実施や準備が疑われる場合は別として、何人もその先へ進むことを禁止される謂われはない。
後に「明白な不法行為」とはどういう事例なのかが明らかになるだろう

以上、講義終了。
先へ進もう。

通行頻度が極度に減るせいか、さすがに路肩の荒れが目立つ。しかしアスファルトにさほど傷みはない。


田は休眠状態で荒れている。しかし何処へ通じているのか電信柱は市道に沿って先に伸びていた。
入口があの状態なら中電の人も部品交換に困るのでは…


電柱に目が行ったところでコンクリート柱に貼られているプレートを撮影しておいた。
仏坂という文字が見える。この先に私が想定している物件のキーワードそのものだ。


仏坂というキーワードが現れたので、そろそろ私は今まで言葉を濁していた”この先にある物件”について話さなければなるまい。

まあ…
もう少し後で話そう。またしても片付けておかなければならない厄介物があるのだ。
それは先の電信柱の写真を撮り、カーブを曲がった先へ見えていた。

おいおい、またかよ?


またしても、さっきと同じタイプの障壁。
左右に逃げる余地がないこと、先の尖った金網を重ねて柵にしているところなど全く同じ。

一体、どういう積もりなんだ?
この市道…ちょっと異常だぞ。
幸か不幸か、独りぶつくさ垂れなくともこの先には一連の障壁の存在理由を説明するに足りる酷い状況になっていたのだった。

(「市道柳小野宗国線【3】」へ続く)

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