島2丁目の生活道【3】

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(「島2丁目の生活道【2】」の続き)
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現地踏査日:2013/10/4
記事公開日:2013/11/4
時系列では「島1丁目の生活道【7】」の続きとなる。
造成地付近の失われた生活道区間を残してすべて撮影したので、続いて2丁目で前回訪れていなかった区間の撮影にかかった。
生活道の分岐点記号は島2丁目マップに対応している。

《 C〜B区間 》
この区間は初回踏査で既に一度往復している。再掲するのは特にこの区間が秀麗であることに加えて、言及し忘れていた点があるからだ。

なお、この区間は石段があって自転車を市道島線の傍らに留守番させ、歩いてB地点の少し先まで進んだ後、再びC地点まで引き返している。解説は引き返し時に撮影した分と合わせて行っている。


民家の間から若干下っていく路地がある。
片側はレンガおよびブロック塀で石材造りの溝がある。もう片方は完全に民家の壁の一部だ。


「本当にここ通っていいの?」と思わせるような路地だ。実際、本当に生活道であるかどうか確証が持てない。
そうとなると官民境界はかなり曖昧なことになっているのでは…


C地点から入ったときの最初のクランク部分。
溝も路地に合わせて直角に曲げてある。


クランク部手前から振り返っている。
鬼瓦が廃棄されることなく取り置かれているのが興味深い。かつては何処の民家でも普通にみられていた光景だった。
捨てられないのではない…今みたいに作って使って捨てる時代ではなかった


クランク部分。
この辺りは珍しく自然の土の地面で、側溝は石積みと長石の混成である。かなり草が生えているが中央部分には踏み跡ができていた。


クランク部分を過ぎると路地は少しずつ下りが急になっていく。
地面は土だが側溝部分は石積み状態である。


レンガ塀と建築ブロック塀に挟まれた路地になる。それぞれの塀の天端は水平なので、次第に塀が高くなっていく。
ここの側溝で見落としていたことがあった。


側溝の位置が生活道の反対側に移動している。


現代なら側溝が道の下を横切るなどまったく普通に見られて何ら珍しいものではない。
重要なのはそれをコンクリートではなく間知石でやってのけている点だ。


石段をちょっと降りて下から撮影している。
全体が生活道と同じ高さまで埋められているので詳細な構造は分からない。恐らく側溝の壁部分を造って溝の幅より広い石材をその上に置いているのだろう。


こんな簡素な石材の暗渠なら、人が上を歩いたり雨で土が流れたりで壊れてしまいそうなのだが…今も問題なく機能しているようで、僅かながら水がチョロチョロ流れ出ていた。かなり珍しい構造と言えそうな気がする。
木の葉などが詰まったら上の石を外して掃除するのだろうか…

この石段と石畳の坂で一気に高低差を解消している。
およそ民家一軒分の高さだ。


ここまで島地区の生活道や市道をあちこち歩いてきた。その中で自分としてはこの石段と石畳の道が一番のお気に入りだ。
年代を感じるし、もの凄く人間臭さがある生活道と思う。


知名度や秀麗な眺めという点では島地区の道と言えば市道島線の石畳道が筆頭格だ。遠くから単一勾配で高低差を割り振り、無理なく坂を上り下りできる。時間と手間、そして資材を投じて造られた道だ。
これに対しこの場所の坂道は市道の石畳道ほどの精密さはない。石材は不揃いで曲がっており、途中からは石段に変わっている。砂が流れるからか石材の目地には至るところセメントが詰められている。代々受け継がれ使われてきたものを活用し、補修しつつ使ってきたことがよく分かる。派手さや高級感はないが、確かに昔の庶民の生活を今に伝える要素がある。

石段と石畳の間に分岐点Bがある。この区間は後で逆から辿るとして、再び石畳の下まで降りた。


特に秀麗な石畳の坂部分。
石畳の隙間にある僅かな土を糧に生き延びようとする草花もまた庶民と同様に逞しい。


石畳坂の登り始めの部分まで降りてきた。
民家の角で、そこから別の細い路地が分岐している。


この分岐は初めてここを訪れたときから気付いていた。しかし生活道ではなく私道と判断して辿らなかった。

その路地の様子。
地図でも抜けられるようには描かれていないし、玄関の前をこの距離で素通りする生活道も恐らくない。先の方は民家の庭に通じるように思える。


同じ場所から反対側を撮影。隣接する民家とは高い石垣で隔てられている。
ここに僅かながら土の地面があるようで電信柱もそこを利用して建てられていた。


石垣に寄せて数個の間知石が転がっていた。
余ったから放置しているのかも知れないが、もしかすると意図的に置いているのだろうか…


それらは僅かに残る土が流れないように縁石代わりにされているようでもある。あるいは石段の使われている石材が欠けるなどしたときのための予備だろうか。

下から写した石畳坂。
初めて訪れたときから「地面のサイボーグ化」というキーワードが想起された通りだ。傾斜地の土が流れないように間知石というアーマーを纏わせている。


市道島2号線からここへ至る区間も秀逸だが、留守番させている自転車からどんどん離れてしまう。
施錠していない…ボロい自転車だが盗られたら生活に困る^^;

それで一旦自転車の元まで戻ることにした。

(「島2丁目の生活道【4】」へ続く)

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