小野隧道

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記事作成日:2020/7/23
最終編集日:2020/7/24
小野(おの)隧道とは、小野区一の坂にある国道490号(将来的には市道に格下げ)のトンネルである。
写真は北側より一の坂集落方向を撮影。


地理院地図で位置図を示す。
将来的に地図表記が変更される可能性がある…現在のキャプチャ画像は こちら


上記地図にはトンネルの記号のみで名称は記載されていない。延長は80m程度でトンネル断面が小さく狭いながらここを通る交通量はかなり多い。
《 成り立ち 》
厚東川ダム建設により旧来の道(南北道路…小野街道とも呼ばれていた模様)が小野湖に水没することとなったため、左岸側の道路を付け替えた結果生じたトンネルである。
一の坂バス停を過ぎて小野湖の方へ下っていくのが昔の道(市道一ノ坂黒瀬線)で、これより先の車道はダム建設で造られた道ということになる。


トンネルのある道には大抵がトンネルを避ける形で旧道が遺っている。しかし小野隧道はそれ自体がダム建設に伴う南北道路の付け替え道路であるため迂回する道は存在しない。トンネルを通るのが嫌いなドライバーにとっては恐怖かも知れない。後述するように戦前に建設された当初のままで補修を重ねつつ運用されている。
《 概要 》
一の坂側の坑口。
トンネル入口近くまで竹藪状態でこの辺りで既に離合は困難な程度に狭い。


トンネル内部の様子。
延長が短いので換気や照明関連の設備は設置されていない。


老朽化が著しく内部には補強の金網が至る所に張られている。


トンネル上部に嵌め込まれた扁額には、山口県知事の名が見えている。
双方の隧道上部に同じものが設置されている


これは厚東川1期工業用水道の厚東水橋(旧サイフォン)躯体側面に設置されているものと同等である。

施工業者に関する情報が石盤に刻まれ北側坑口の左側壁に設置されている。


昭和拾九年八月竣功
飛島組施工が横書きで刻まれていた。


市内の道路や関連する付帯構造物で大手土木関連企業の銘が入っているものは少なく、他には橋りょうやダムの躯体のようなものにみられる程度である。トンネルに関しては市内で絶対数が少なく、水路隧道以外で往来用の規模の大きなトンネルを施工するノウハウを持つ業者が無かったことに依るのかも知れない。
《 通行時の注意 》
写真で見てとれる通り小野隧道は明らかに狭い。トンネル前後を含めて歩道は設置されておらず、他に代替ルートがないため貨物トラックなど大型車両の通行も禁止されていない。現時点では国道490号において最大の通行注意を払うべきスポットとなっている。

一の坂側から小野隧道へ向かう場合特に注意が必要である。
道路線形がトンネル手前で大きく左カーブしている。


上の写真は対向車線上から撮影している。その位置からであればトンネルは見えるが、通常の走行状態だと道路の左側に寄って走っているため、カーブを過ぎるまで対向車の有無が分からない。


このためトンネルに向かう前に充分速度を落としていないと、カーブを過ぎたところでトンネルから出て来ようとする対向車にいきなり鉢合わせして急ブレーキを踏む事態になることが多い。

北側からトンネルに入る場合は、トンネル手前から直線で見透しが良く対向車の動向が分かりやすい。
このため一の坂集落側から入ってくる車が見えた時点で、トンネルに入らず対向車が通過するまで待機するドライバーが目立つ。


実際には普通車同士ならトンネル内での離合は可能だが、徐行程度まで速度を落とさなければ安全に離合できない。また、大型トラックと鉢合わせしてしまったならバックする以外ない。この場合でもトンネル入口まで下がってもまだ安全に離合できるほどの広さがなく、ドライバーに忌避される原因となっている。

一の坂集落より北側は徒歩で往来可能な距離に集落がないため、小野隧道内を歩く人は皆無である。狭いトンネルであることは初めて通るドライバーでない限り周知されているため相応に減速しているが、トンネル内を歩いている人が居ると想定するドライバーなどまず居ない。
このためトンネル内部の写真を撮影するときも車のエンジン音が聞こえた時点でいちいち退出した
《 将来的な変化 》
上記のように小野隧道は大型車が内部で離合不可能なサイズであり、トンネル前後の道も狭く見透しも悪いことから交通のボトルネックとなっている。トンネルより北側は平成期に入って自歩道を備えた対面交通仕様に改良され、一の坂と木田の間にあるアップダウンが多く狭い荒瀬地区を回避する荒瀬バイパスが近年できて改善された。結果として小野隧道を含めた前後数百メートルの区間がセンターラインなしの古い道路仕様のまま遺っている。

施工時期は未定だが、小野隧道を含む狭隘区間を内回りする形でやり過ごす道路改良計画(恐らく一ノ坂改良)がある。道路改良後は現在の区間は市道一ノ坂線に格下げされる。[1] 格下げ後も一の坂地区への往来に必要なため、トンネルを含めて廃道化されることはないだろう。
ただしトンネルが危険な状態になったら国木峠トンネルのように切り通しになる可能性はある
《 Googleストリートビュー 》

映像では sv カーが軽トラとトンネル内ですれ違っている。速度を落とせば普通車同士でも離合可能だが、大型車の場合に問題が起きる。
かつてYahoo!ブログで公開されていたブログ記事。現在はAmebaブログに移植している。
時系列記事: 小野隧道(2008/12/8)
なお、上記記事では「国道490号道路改良に伴う道路拡幅計画があり、この区間が改良された暁には現在のトンネルを崩して切り通しにするらしい」という記述があるが、これは荒瀬バイパス建設に伴う切り通しを見た勘違いであったことが後に分かっている。
出典および編集追記:

1.「うべ情報マップ」では既に当該区間が市道一ノ坂線という格下げされた状態で先行表記されている。
《 個人的関わり 》
多くの市民には認識されているように、宇部市は本州の西の端である山口県のうちでも更に起伏の少ない西部に位置するため、古くからある往来用のトンネルの数が極めて少ない。小野隧道は私の幼少期から既に存在していて何度も親父の運転の車で通っているため印象深かった。

注意以下には長文に及ぶ個人的関わりが記述されています。レイアウト保持のため既定で非表示にしています。お読みいただくには「閲覧する」ボタンを押してください。

現在では自分の運転で小野方面の題材採取ではかならず通るトンネルである。トンネルを含めた前後の狭隘区間は最高速度が40km/hに規制されているが、見透しの良い場所はできるだけ速度を上げて通行している。狭隘区間に留まっている時間が長ければそれだけ離合の機会が増えてしまうからである。そして(恐らく殆どのドライバーが同意すると思うが)小野隧道が近づいて来たときは、常にトンネルに差し掛かる前に対向車が見えないことを祈りつつ運転している。この状況が続くのもそう長くはないかも知れない。

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