桃山配水池【4】

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(「桃山配水池【3】」の続き)

私がユニットハウスの扉をノックするまでもなく中にいらした一人がすぐ出て来られた。
「展望台に登ってみたいんですが…」
まあ、訪ねて来る見学者の用事と言えばそれ以外他にない。すぐに鍵の束を出して来られた。
「入口のところと展望台から外へ出るところの扉に鍵か掛かってますんでこれで開けてください。黄色いのが着いちょるのが扉の鍵ですんで…」
ハウス内には3人の年配者が寄り集まって菓子をつまみながら雑談なさっていたようだ。鍵を渡しながらも前の人はドアの鍵どねぇしちゃったじゃろーかと話し、別の方はそりゃあ多分締めちょってじゃろうぃねーってな塩梅で何とも長閑な雰囲気である。鍵を使っても行ける範囲は限られているし危険が予測される場所もないことから、各自で鍵を使ってご自由に見学してくださいという状況だ。私としてもむしろその方がいい。
「それでは、お借りしますね〜♪」
鍵を持って意気揚々と展望塔に向かう。
展望台に入る扉は一つしかない。しかし何故か鍵が4つも5つも束になっていた。


展望台へ向かう階段は旧1号配水池の角へ寄せる位置に造られていた。
展望台の出入り口自体が正面に見えているので、当初から昇降用のタラップを延長したとき旧1号配水池に支障しない向きに出入り口を造ったのだろう。


展望塔の扉の前までは今ほど警備が厳重でなかった数年前に一度来たことがある。その時から展望台内部へ入るには鍵が要った。いつでも見られるだろうと思って担当者の常駐するハウスまで鍵を借りに行くことなく帰っている。そのため今ほど展望台の見学が遅れてしまうこととなった。
ここから先は私にとっては未知の世界だ。そして未だ行ったことがない読者にとっても同じだろう。時系列記事から展望台の詳細のみを素早く閲覧できるようにインデックスを付けておく。
《 3号配水池展望塔 》


束になっている鍵のうち黄色の目印がついているものが2つあった。
どちらか分からないので適当に突っ込みスンナリと鍵穴に入る方を差して回したら解錠できた。


ドアを開けた内部は左回りのらせん階段になっていた。
子供の見学を想定しているからか「あたまにきをつけて」の掲示板が出ている。本来なら見学にヘルメット装着が推奨されるレベルだろう。
もっとも実際に頭を打ち付けるリスクは背の高い大人の方だ


アルミ製っぽい色調のらせん階段をぐるぐる回りつつ登る。見た目はとても無骨で如何にも業務用っぽい構造だ。昇降用の電灯はなく、塔の外側にある窓からの自然採光だった。

らせん階段の最上部に再び施錠された扉があった。
ここから出るのにもまた別の鍵が必要らしく内側からなのにノブを回しても開かなかった。
個人的にはこの扉の施錠って必要なのかなーと思った次第…


再び手元の束から解錠するための鍵を探した。
実はこの鍵がなかなか分からなかった。もう一つ黄色く塗られている鍵を挿そうにもしっくり鍵穴に合わなかった。他に鍵がいくつも束になっていたので、適当な鍵を突っ込んで回す試行錯誤を繰り返した。何とも手間どったが時間制限などないから別にイライラすることもない。どの鍵で開くのだろうか…むしろ気分はリアル版のRPGである。
結局、何も塗られていないシールの付いた鍵が錠前にぴったり合った。

さて、時系列記事とは言え些かコアなところまで掘り起こし過ぎたから、素直に展望台からの眺めをお届けしよう。展望台へ出たところから右回りへ移動しつつ9分割で撮影している。


これと次の一枚が南方向の撮影で、市街地になる。


市街地を写そうとすると西日の影響を受ける。
展望台から市街地を眺めるなら午前中の方が撮影しやすいだろう。


西側は大場山があるので眺めがそれほど効かない。
テレビ電波塔と携帯各社の中継塔が見える。


北西方向へシフトする。
山に生える木々で遠くは見えないが、概ねこの方向に栄ヶ迫溜め池がある。


この方向に中山浄水場があるが展望台からは直接見えない。


更に北へシフト。
正面やや右側に見える丘陵部が東桃山で一番高い場所である。
山としての明白な名前はない


概ね北東方向になる。
東桃山地区でもっとも高い住宅地が2号配水池の上にある。


一周して戻ってきた。


3号配水池の展望塔は高さが14mで、展望塔の視座は80mである。地山レベルでは電波塔のある大場山の方が高いのだが、塔の高さで稼いでいる。
鍵を預かって自分で登って来たので、当然ながら展望塔は自分一人のみだ。同様の高い場所からの眺望を愉しむことができる場所としては常盤公園の石炭記念館展望台がある。そちらはエレベーターでの昇降であり、開館時間内は誰でも自由に出入りできる代わりに他の見学者に気兼ねすることになる場合もある。

遠くを眺められるので、本件だけでなく他の物件を違う場所と角度から撮ることもできる。
例えば…既に記事化されている宇部変電所はやや離れているものの全体を収める位置からズームで撮影できた。


石炭記念館の展望台には備わっている望遠鏡はさすがにここにはない。代わりに自前のデジカメのズームで遠方を探った。天候は良好なのだが空気の透明度が今ひとつなためか主立った建物のない方向は場所を特定できるものが見つからない。


市街地方面だと大きなビルや工場が目立ち、ズームでかなり特定できる。
ただ、午後から訪れるとどうしても逆光気味になってしまう。


アジトのある方向をズームし何か見覚えある建物がないか探した。
たまに買い物へ行くドラッグストアなどが見える。そのずっと先には…宇部球場や山口宇部空港の管制塔が確認できた。
更にズームした映像はこちら


天気が良いので上空の大気はうごめいている。そのせいかズームすると遠方の景色は揺らぎの影響を受けて伝わってきた。

北の方は山野でズームしても特にめぼしき被写体はない。
代わりに2号配水池の上部にある水のマークが少し見えかけていた。


これ以上視座は上がらないから完全な形でマークを見ることはできない。航空映像だと殆ど真上から明瞭な形で眺めることができる。[1]飛行機にでも乗れば同じ状態で眺められるかも知れない。

全部は載せないが展望台の中をグルグル何度も回ってはズームで遠方の景色を撮影した。その後になって展望台の内部そのものをまだ撮っていないことに気づいた。

(「桃山配水地【5】」へ続く)
出典および編集追記:

1.「Yahoo!地図 - 航空映像

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