南小羽山沈澱池(仮称)

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記事作成日:2021/1/9
最終編集日:2022/11/9
情報この総括記事は内容が古くなった旧版をコピーして再構成されています。旧版は こちら を参照してください。

南小羽山沈澱池(仮称)は、南小羽山町の東側斜面下[1]にある沈澱池である。
写真は市道小羽山中央線市道真締川南小羽山線の交差点付近から俯瞰した沈澱池。


沈澱池の堰堤部分をポイントした位置図を示す。


この沈澱池は小羽山地区南の蛇瀬川沿いに存在し、小羽山団地の開発造成期に雨水が一気に流れるのを防ぐために建設された。現在でも地域に降った雨水に含まれる土砂を落として蛇瀬川へ放流する機能をもつ。
《 概要 》
沈澱池はほぼ正方形をしており、側面は練積ブロックの平積みタイプで固められている。
蛇瀬川に面したコーナーに流量を調節しながら排水するコンクリート堰堤がある。


このコンクリート堰堤は排水口側の蛇瀬川から眺めると極めて特徴的な形状をしている。


即ち上部の余水吐越流部分が逆等脚台形状にカットされ、躯体部分には長方形の穴が目を口を思わせる位置に配置されている。人は逆三角形状に配置された3つの点から(シュミラクラ現象により)人の顔を連想する。無機質な表情はロボットの顔のようであり、この奇妙な眺めから初期には「ロボット堰堤」と勝手呼称されていた。[2]

ロボット堰堤は高さも厚みも巨大で、現在の観点からすれば些か過剰設計である。
その厚みは通常河川の上流や土砂災害地にみられる砂防ダムのものよりずっと大きい。
この場所への接近は非常に困難


小羽山団地の造成時には広範囲に原生林を伐採したので、山野の保水能力が低下している。雨水網が整備されるまでに豪雨があれば土砂混じりの雨水が一気に川へ流れ出てしまう。沈砂池が広大で堰堤の構造も些か過剰設計気味であるのはそれが理由である。

砂防ダムと同様、建設後期間が経つにつれて沈砂池には土砂が溜まっていく。しかし小羽山地区の居住部は殆どがアスファルトなどで覆われ、雨水渠も随所に砂溜めの桝が造られているので、沈砂池まで流れ込む土砂は今では僅かである。ある程度の堆積を見越して設計されていることもあり、溜まった土砂を掻き出す作業は建設以来恐らく一度も行われていない。
これに対して東小羽山沈砂池は定期的に土砂の除去作業が行われている
《 個人的関わり 》
この奇妙な堰堤に気付いたのは、仕事で小羽山地区に関わりをもち始めた頃である。
最初に気付いたのは恐らく仕事で北小羽山地区を訪れた後、市道真締川南小羽山線を通って帰るときだろう。条件によっては、車窓から冒頭一枚目のように堰堤部分が見える。
歩道とガードレールが高いためかなり路肩側へ寄らなければ見えない

この堰堤を撮ったもっとも古い写真は、2008年11月15日に市道から正面を撮影したこれである。


その後複数回にわたって撮影や現地踏査を行い、得られた写真は新天町アーケード街で開催された子ども祭りや市内のおもしろ景観紹介イベントにおいて「ロボット堰堤」の名称で掲示された。
東小羽山地区にある同様の機能を持った沈澱池。
派生記事: 東小羽山沈澱池
出典および編集追記:

1. 厳密にはこの沈澱池は南小羽山町ではなく大字中宇部字鳴水に存在する。しかし小字名では場所を説明しづらいので、便宜上南小羽山を冠して仮称している。

2. 堰堤(えんてい)とはダムの小規模なものである。河川法では堤体の高さによりダムと堰堤を呼び分けていることに依る。特に排出口のコンクリート構造物の形状は昭和期に絶大な人気を誇ったある巨大ロボットの顔(有り体に言ってマジンガーZ)を思わせる。これと同じ仕様の砂防堰堤は今のところ市内で他には見つかっていない。かつて宇部興産(株)窒素工場敷地内に同様な配置の窓を持つ直方体の建物があり、しばしば子どもたちから「ロボット工場」ないしは「ロボットビル」などと呼ばれていた。

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