塚穴川・女夫岩の滝

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記事作成日:2016/7/7
女夫岩(めおといわ)の滝は、夫婦池の余剰水が塚穴川へ流れ落ちる流水路途中の人工の滝である。
写真は下から撮影した滝の一部分。
周囲が狭いため滝の全容が分かるアングルでの撮影は不可能


所在地を地図で示す。


なお、本編では滝の落下口周辺にある余剰水の流速を弱める池(当サイトでは「緩衝池」と記述している)についても述べている。

上記地図では夫婦池の本土手から半島部一つ隔てて離れた場所から排水路が伸びているように見える。これは元々岩場だった場所を掘り割って通されており、国道下を横切った先にある堰(地図でも二本線の記号として見えている)を過ぎたところで数メートル程度ある岩場の落差に放り出される形になっている。塚穴川の河川維持分は本土手にある樋門を介して行われ、緩衝池の西側にある沢地から注いでいるため、上記写真のように増水時以外では滝に水が流れず干上がっていることが多い。

本土手部を避けて排水路を造ったのは、満水位となって余剰水が流れ始めるとき本土手に負荷がかかるのを避けるためと考えられ、これは常盤池や蛇瀬池の荒手の手法をそのまま適用している。

常盤池の滝は蛇紋岩の45度勾配程度の途中へ放出されるのに対し、女夫岩の滝ではそれより勾配が急である。また、余剰水の落下位置をある程度絞り込む目的で滝の落とし口の蛇紋岩を人為的に深く削り取っている。
写真は水が流れていないときに滝の下から撮影したものである。


落下口から下の岩は自然なままに放置されているが、これは流速を帯びた水をランダムに岩へ当てることで減勢工としての役目を意図したようである。岩場は夫婦池堰堤の東側部分で特に目立ち、これは国道の下に埋まっている女夫岩の地勢に呼応している。

落下勾配が急なため、常盤池の滝よりも明瞭で深い緩衝池がみられる。滝の落下口はかつて子どもでは足が届かないほど深かったという。現在は明瞭な滝壺の形では存在せず、砂が流れ込むことで浅くなったようである。昭和中期から後期まで子どもの水遊び場にもなっていた。[2]

緩衝池の周囲は自然の栗石が築かれ、沢地側は建築ブロック積みとなっている。


上の地図でも示されるように女夫岩の滝から落下した余剰水はそこより直角に曲がる形で塚穴川の水路へ導かれている。流下方向が大きく変わるために滞留しがちな水を受ける余地を造るためであろう。
夫婦池以後のここから下流の塚穴川は恐らくほぼ同じ流路で、護岸のみ昭和後期にコンクリート化されたという。

緩衝池の広さは最初期と変わっていない。極度の大水がでたとき沢地沿いの用水路の一部が壊れたらしく、滝壺の端にレンガと合体したような大岩がそのままになっている。


この緩衝池はかつて個人の所有であった。鯉が泳いでいるのを見ることがあるが、増水時に常盤池や夫婦池から流されてきた個体が定着したものと考えられている。現在は緩衝池までが市公園緑地課、これより下流の塚穴川は市道路河川管理課が管理している。
《 アクセス 》
[1]の資料に位置図が掲載されているものの、現地を訪れる人は殆どない。もちろん案内板などもない。
塚穴坂から尾根に伝い国道190号の塚穴川付近に到達する地区道の途中から滝の下へ降りる道がある。


この道は数年前からまったく普請されておらず、至る所で倒木が道を塞いでいる。春先以降は両側から木の枝や草木が伸びるため降り口あたりから通行困難になる。

最近、塚穴川の反対側から里道を経て現地に到達できることが示された。
「近年の変化」で後述している


藪がある程度刈り払われ通りやすくなっている。里道であることを前提にこちらから接近する方が安全である。
初めて滝の存在を知ったときの踏査レポート。
当時はまだブログの方に重点を置いて記事を掲載していたためYahoo!ブログに掲載している。(2012/3/25)
外部ブログ記事: 海岸線から1km以内にある滝

同上の記事を当サイトへ移植し追加の写真を加えて詳細にレポートした記事。後半部分は塚穴川を辿る過程で初めてこの滝の下を訪れたときの踏査記録にリンクしている。全2巻。(2015/4/12)
時系列記事: 塚穴川・女夫岩の滝【1】

2016年梅雨時期の大雨で常盤池から近年ない量の余剰水が流出したときに上流側から順次たどったときの現地レポート。単巻。(2016/7/9)
時系列記事: 塚穴川・女夫岩の滝【2】
なお、上記時系列記事の【1】は後半部分で塚穴川の記事として記述されているため、ファイル整理の折りに通し番号を付け替えるかも知れない。
《 近年の変化 》
滝の落とし口周辺は整備されておらず、特に東岸側から降りる道は倒木で荒れているため進攻しないようにとの子ども向け立て札が設置されている。


同様の立て札が対岸から降りてくる踏み跡(歩行は非常に困難)にもある。

2016年9月のこと、国道190号常盤公園入口三差路付近から車展示場の横を降りて直接到達できることが示された。以前は酷く草木が繁茂していて接近困難だったが、近年草刈りされたようである。
こちら側から訪れた場合も市公園緑地課による立て札が見える位置に設置されていることから、里道が存在するように思われる。
私有地でないことを前提に、この滝および緩衝池へ接近するには倒木くぐりのないこちら側から接近する方が良い。ただし塚穴川の刻む沢地は極めて急な斜面で里道も一部えぐられているので転落しないよう注意を要する。
一般には立入制限が課せられているので周囲の状況を確認してからにしたい
《 個人的関わり 》
夫婦池の周辺を調べる過程で、流下水路付近を歩いていて見つかった。当時は滝の名称はもちろんその存在すらも知らなかった。
出典および編集追記:

1.「宇部市|文化財マップ」の常盤校区にある「常盤ふるさとまっぷ(PDFファイル)」に女夫岩の滝として掲載されている。

2. 特に滝そのものを下からよじ登る危険な行為が勇気試しを兼ねた遊びになっていたようで、近場に住む多くの男子小学生が(もちろんロープなどの道具を使うことなしに)滝を下から登っていたという。
FBページ|2016/6/19」の読者コメント情報による。(要ログイン)

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