市道上条金山線【1】

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現地踏査日:2012/4/17
記事編集日:2013/3/3
宇部の市街部、例えば市役所から鉄道輸送の中心地、JR宇部駅まで行くことを考えるとしよう。

交通手段が車の場合、最短ルートではなくてもよく知っている道が良いと考えるから多くの人が選択するのは大抵一つか二つ程度に収まる。坂道の有無はさほど問題ではなく、むしろ道幅の広さや交通の流れが重視されるから、第一選択となる答えは国道190号と県道宇部船木線を継ぐルートである。出発点によっては県道琴芝際波線も選択肢に入るだろう。

自転車の場合はまた異なる判断基準を持つ。道幅に関してはあまり問題ではなく、むしろ車が頻繁に通って背後から追い立てるような道は気疲れする。何よりも動力源はガソリンではなく漕ぎ手の蓄えた炭水化物(脂肪?)だから、意図的にトレーニングする場合を除いてアップダウンの少ない経路を選びたい筈だ。
出発点とゴールが上のように定まった場合、距離と高低差がトレードオフの関係になる。自転車なら岩鼻駅前を通るルートは県道宇部船木線より近いが、それでもなお岩鼻の岬部分に回り込むため距離は長い。県道琴芝際波線ルートは距離を稼げるものの小串からの小羽山越えがかなりきつい。
そのため、両者を勘案して自転車向きに最適化されたルートはこの中間あたりにありそうだ…と考えられる。

前振りが長くなった。
今回お届けする路線は、自転車で宇部駅方面に向かう場合、シンプルながら距離と高低差の中間をとった最適化ルートの候補となるだろう。そのことは帰路において特に顕著に感じられるはずだ。

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まずは地図で起点を確認しよう。


起点はかつて県下最大の交通量を誇った藤山交差点より数十メートル国道の終点側へ移動した場所になる。
宇部湾岸道路の部分的供用開始により交通量が少しは緩和される筈だが…体感的には殆ど変わっていない…依然として県下最大の交通量かも知れない


地図で観ると、ここで国道を横断する一本の道が見える。恐らく後でまみえることになる西宮八幡宮へ至る道だったのだろう。しかし現在は幅広の国道で完全に分断され、歩行者のみが地下道を経由して行き来できる状態になっている。路線管理上も国道より南側は市道上町線となっている。


さて、これから向かう市道上条金山線の起点は藤山地下道入口の背面、たった今軽バンが曲がろうとしている先になる。


この辺りちょっと道が入り組んでいて分かりづらい状況になっている。
この写真の位置関係で見て国道190号は藤山交差点で右へ軽く曲がる。直進は浜バイパスという名称まで与えられながら未だ全通せず市道へ格下げされている北琴芝鍋倉町線、左への鋭角なカーブは市道藤曲厚東川線で、国道190号の旧道区間にあたる。


家具店の横をすり抜けて直進する道も見えている。殆ど地区道同然な市道江ノ内線で、この場所が終点となる。

さて、本命路線の起点に立つ。
大きく「止まれ」の文字が逆向きに見えているが、一方通行という訳ではない。
この区間を逆から国道に出ても藤山交差点方面にしか行けず、逆に国道を走る車はここから入る位なら厚東川を渡った直後に平原方面へ向かう道を降りた方が早い。その意味でこの区間は車にとって利用価値が薄い。


路線名が市道上条金山線となっているが、現在地はどう見ても上条ではなく藤山である。ついでながら終点の金山もどちらかと言えば上条に近い場所だ。小字の範囲が現在の地区と一致しないか、市道認定後に区間の変更などがあったのかも知れない。
市道崩金山線も起点は小字の崩とはかけ離れた場所にある

少し進めば、藤山交差点から伸びてきた市道藤曲厚東川線と斜めに交わる。即ちこの交差点から藤山交差点までの距離は80mくらいしかなく、しばしば信号待ちの車の行列がこの市道までかかってしまう。
また、斜めに交わっていて見通しが悪く、時間帯によっては自転車乗りの学生も頻繁に行き来するので注意が必要である。


先の交差点で若干線形が捻れているものの、起点からは概ね直線的に伸びている。その突き当たりに西宮八幡宮が見えており、昔からそういった道造りを意図してきたのだろう。

センターラインはないが車同士の離合は比較的容易である。
意外にもバス路線になっていた。


停留所の名前は香川学園前


香川学園前は恐らく香川学園高等学校、香川学園短期大学を意図してつけられたバス停名だろう。

市道下り線側にもバス停らしきサインはあったが…酷く錆び付いていて存在が分からない状態だった。


さて…
錆び付いたバス停サインだけ拡大して写せばいいものを、わざわざコンクリート2階建て全体が入るように写したのにはワケがありまして…
この建物は現在も恐らく教育研修センターとして使われている。しかし今となって思えば私の学習人生においてもっとも濃い一年間を提供してくれたかけがえのない場所なのであった。

書けば長くなるし道路レポートからは大きくかけ離れるが、まさかここでの想い出の数々を記録せず闇に葬ることなど私にはできない。詳細はこちら。
派生記事: 香川学園教育研修センター
さて市道に復帰すると、この建物の近くであまり目立たない分岐に出会う。
市道藤曲3号線である。藤曲には古くからあって狭く複雑な道が多い。その殆どが認定市道なので、2号線、3号線…などと番号付けで管理されている。


市道は香川学園高校のグラウンドに沿って走り、その端に裏門がある。
この門は私が在学していた時代から既に閉鎖されていて、一度も出入りしたことがない。


この辺りから若干道幅が狭くなる。
西宮八幡宮が見え始めた頃、前方で更に細い道と交差する。通学路なので朝の時間帯は四輪が進入できない制限がかかる。


右からやって来るのは市道藤曲2号線で、この場所が終点になっている。
左側は市道藤曲4号線の起点で、先に横断した市道藤曲厚東川線に向かっている。


高校時代は3年間、この細い道を通って高校に通った。
雨が降れば合羽を着て自転車を漕いだ…雨降りだから親に車で送り迎えして貰おう…などと舐めた考えを持てる時代ではなかった
ここが危ない場所という認識があったから、常に十分注意して通行していた。ヒヤリ程度はあったかも知れないが事故ったことは一度もない。現在でも平原方面へ向かう折りにはこの道をよく通っている。
極めて狭く見通しが悪いので外部の車は通らない方が賢明

スタート直後から直線的に進んできた市道は、西宮八幡宮の鳥居を前にして初めて左へ軽く曲がる。即ち起点からでも鳥居が真っ正面に見えるような位置にある。西宮八幡宮の由来についてはまだ調べていないが、それほど昔から重要な鎮守だったことが窺える。

この鳥居のすぐ下に曰くありげな道標が存在する。上の写真でも見えているのだが、注意していなければ見落としてしまうかも知れない。
派生記事: 西宮八幡宮前の道標
西宮八幡宮を右手に見て市道は最初の登り坂に向かう。


この近辺の道路幅は1.5車線くらい。車での離合は双方ちょっと速度を緩めないと怖い。
自転車はさすがに坂道と認識される程度はある。しかしそれなりの体力があれば、変速ギア無しのママチャリでも押し歩きが必要なほどではない。


一旦坂がゆるみ、平坦になった場所に押しボタン式信号機がある。
市道上条線で、この押しボタン式信号のあるT字路が終点となっている。
信号機がついたのはここ数年以内のことの筈


押しボタン信号を過ぎると第二の登り坂になる。
最初の坂と同程度なのだが、労力の配分を考えて漕がないときつく感じられる。


再び坂がゆるむとき、右側への分岐に出会う。
市道寺山線で、調べたから路線名だけ分かっているだけで私も自転車で通ったことは一度くらいしかない。かなり道が複雑で、ある程度場数を踏まないと迷うかも知れない。


行き止まりなどの不運に見舞われない限り、栄ヶ迫溜め池に行くことができる。
初めて家庭教師で担当した生徒宅が駒ヶ迫にあった…今ではどの辺りかの見当さえつかない

やや緩くなった登り坂を進むと、再びバス停に出会う。


バス停の名前は寺山
現在はこの近辺まで上条2になり、寺山は小字らしく現在ではバス停や市道の路線名程度にしか遺っていない。


市道はこの先に最後の登り坂を迎えることになる。
この近辺で同様に北上する路線として、西側に市道平原浜田線という古くからの道がある。一本調子の登り坂できついのに対し、上条金山線は途中で勾配が緩む区間があるので、体力を温存しながら越えて行ける利点がある。

さて…
最高地点まであとちょっとだ。

(「市道上条金山線【2】」へ続く)

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