市道藤曲門前線【5】

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(「市道藤曲門前線【4】」の続き)

高台に登る左側の分岐を見て直進すると、フェンスの右側に桃山3号配水池が見えてくる。
アスファルト舗装の道としてはこの辺りが最高地点で、ここから先は下りだ。


右側に連なるフェンスと縁石のうち一部分だけが新しくなっている。白っぽく見える縁石部分がその場所だ。
かつてここに桃山3号配水池の入口があったのだが…別の場所に入口があるせいか塞がれてしまった。本件についてさすがにちょっと言っておきたいことがあるので派生記事にて。
派生記事: 桃山3号配水池入口
この場所自体訪れることは殆どないが、仕事でよく通る道はここから近い。六角堂へ降りる市道小松原通り線や小羽山や鍋倉方面に抜ける別の市道もある。

しかし…本路線はそのいずれの市道にもタッチすることなく独自路線を進んでしまう。即ち本路線の正確なトレースを最優先課題とするならこの記事を著す時点で答が分かっているので先に言ってしまうと、
この場所で既に市道を外れてしまっている。


あらかじめ経路のメモをしていた中でここは最も印象的かつ分かりづらい場所だ。どういう訳か市道はここで明白に存在する直進の道から外れて左へ曲がり、山の中へ向かうことになっている。上の写真の撮影場所は、既にこの市道ではない。

私が初めて訪れた時点で持っていた情報は、「この辺りで左へ曲がって細い道に入る」という事実だけだった。今まで何度も述べてきた通り、市道路河川管理課の地図はコピーや写真撮影が認められていない。持ち合わせの手帳にざっとメモする以外なかった。この場所の分かりづらさは現地へ行く前から想像がついたので、とりわけ丁寧にメモしていた積もりなのだが…
案の定、どこで曲がるのか分からない。
普通の通行人なら何も迷わず目的地へ向けてどんどん進んでいくものである。今はそうではなく、経路を正しく追跡するというのが主眼だ。必ず存在する筈の左へ曲がる経路を見つけなければならない。どうやら見落としてしまったようなので分かる場所まで一旦戻った。

まず、軽くいなして過ぎ去ったこのクランク。
この道は知っている。市道ではないと分かっていたから過ぎ去ったのだ。この周辺の高台にある新興住宅地へ向かう地元管理の道である。[1]


大体、市道路河川管理課の地図ではこれほど広い道として記載されていなかった。ゼンリン©の地図にはあぜ道のような細いラインがあり、その上をお約束のピンク蛍光色で着色されていた。

この地区道分岐を過ぎると一軒の民家があり、その次に左へ入れそうな場所と言えばここになる。
溝の上に鉄板が載せてあるあそこだ。


ここで民家のブロック積みが切れて確かに左側へ入れるスペースはあるのだが…


道など存在しない。個人の敷地か駐車場に入っていくだけである。
砂利が敷いてあるし、溝を跨ぐ部分には個人が設置したと思われる縞鋼板が見えている。


あらかじめ準備した手元のメモによれば、ここから入るようになっており、市道の続きである可能性が極めて強い。しかし…溝の上に置かれた鉄板はどう見てもこの敷地へ出入りする住民によるものだ。およそ公道なら私物と共用するなんて事態もないだろう。
偵察どころか他人様の庭先へ入ってカメラを向けるような格好になるので撮影自体も躊躇われた。

手持ちのメモ書きではここからの進入経路が本路線の続きという情報を提示していた。私は思い違いをしているのではないかと感じた。
(1) ここではなく別の場所から左へ入る。(メモの誤り)
(2) この場所で正しいが、現在は払い下げられるなどで既に市道ではない。
(3) この場所で正しく現在も市道だが、通る人が居ない。
街中なら交差点の角が商店などになっていることが多く、その場合はゼンリンの地図にも屋号が明記されている。ここは一般の民家のみで、どこそこの家の前で曲がる…とまでメモはしていなかった。しかし周辺の枝道は一通りメモしていたので (1) の可能性は低いように思われた。
(2) 以下の理由ではここからで正しいとしても、現にここへ住む人からすれば外部の人間が侵入してくるように思われるだろう。安易に入り込んでトラブルになることは避けるべきで、それだけに慎重な判断が要った。後から再度検証するとして、まずは先へ進んで他の候補地を調べた。

この民家を過ぎた隣りは家が詰んでいてその間に道らしきものはまったくなかった。
ここから100mも進まないうちに別の市道である小松原桃山線にぶつかる。そこまでの道を参考までに撮影しておくと共に、左へ曲がる道がないか検証してきた。この部分は市道ではないので派生記事にしているが、時系列としては以下のものに続いている。
派生記事: 市道小松原桃山線に至る道
派生記事にもある通り、一ヶ所ほど左へ入る分岐があっただけだった。それも明らかに民家で行き止まりになっていて、可能性としてはやはり先の場所以外にないと判断した。

拡大地図を元に、この近辺の市道の経路を図示してみた。
画面中央やや左にある梯子のような記述部分が桃山3号配水池で、自転車を押し歩きして南の方へ歩いてきたところだ。
初回踏査時にはこれほど明瞭に記載された地図を持っていなかったことは注意を要する


このような塩梅で、本路線と市道小松原通り線および小松原桃山線とは繋がっていない。見かけは周囲と同規格の道が続いていながら認定市道でない部分が含まれている。上の図で言えば薄黄色で着色した部分だ。

この道がどのような扱いになっているかは分からない。市道小松原通り線を北に延長した区間は水道局の管理と思われる。中山浄水場からの押し上げ管路と同様、この下を水道の本管が埋設されており、緊急遮断弁などの設備が設置されているからだ。しかし藤曲門前線を南に延長してYの字型に接続される部分の経路は、塞がれた桃山3号配水池の入口部分は水道局管理としても、Yの字接続の辺りは地元管理かも知れない。

この周年の道のイレギュラーぶりを克明に記録しておこうと、更に小松原通り線から桃山3号配水池に至るまでの経路も撮影した。その過程で、やや離れた場所に設置されていた東桃山町内会の住居案内図が経路のヒントを示す決定打となった。
やはりここから入るんだ…


この経緯は以下の派生記事にまとめている。
派生記事: 市道小松原通り線に至る道
偶然見つけた住居案内図に手がかりを得て、再びこの場所へ戻ってきた。
もし本路線が現役なら、トレースすべき先はここから以外有り得ない。


なおもいきなり自転車を乗り入れる度胸がなく、一旦道路脇に停めてその場所へ歩いた。
先の方は道が続いているようにも見えるが、ブロック積みの下は土を余盛りしただけの状態で普通に人が通る道とは言い難い。


本当に誰でも通って良い道があるのだろうか…更に先へ進む。
送電鉄塔の建つ敷地があり、そのすぐ横まで直線的な道が通じているようであり、単なる草地のような気もする。


これが今から辿るべき市道だと言われてもさすがに納得はしかねた。しかしこのまま先へ進むとどんどん自転車から離れてしまうので、押し歩きするために取りに戻った。


なおも割り切れないのは、これが真に市道だとして、溝蓋がこのような状態になっているものだろうかという点だ。
これは敷地内の車が出入りするために設置した私物だろう。それを認定市道が利用するものだろうか…


こんな道なので乗って進むことなどできず最初っから押し歩きである。

鉄塔の周辺はコンクリート擁壁で囲まれており、確かにその横を道としてすり抜けているようだった。


まるで測ったように通路部分が確保されている。市道としての幅を残して鉄塔の基礎を造ったのだろうか…


鉄塔の敷地はフェンスで囲まれ、その外側に沿って一応通れる道はあった。


左側は民家のブロック塀、右側は利用されていない空き地に雑木が侵入している。その間に幅1mちょっとの道と言うか通れるスペースがある状態だ。
先にマットのようなものが敷かれていた。足元がハマらないように敷いたのだろうが…他人様の畑に入り込んでしまいそうな気がする。


確かに地図で示されたような直線路である。
通行人によるとはとても言い難いが焚き火をしたような跡が残っていた。


遠くからも橙色が目立っていた灌木のところが畑の端だった。
真っ直ぐと左へ折れる分岐があった。そのいずれも畑の畝と同じような感じの通路である。


ピラカンサの実。その派手な赤橙色は鉄塔のあたりから既に見えていた。
美味しそうな色をしているが食用になるのだろうか…ならんだろうなぁ


この灌木の近くにコンクリート境界杭を見つけた。文字は読み取れなかった。
仮に宇部市の文字があったからとてこれが認定市道だとは言い切れない。
「宇部市」の路肩標でもあれば別だが…


手帳にメモした記録によれば、この細い経路は目立った屈曲を持たずに伸びていたように思う。先ほどの住居表示板でも同様の道が記載されていた。そうなればここは直進で良い筈だ…

これが本路線の正しい経路だという思いと、何だか先行き怪しいのではないかという疑念の気持ちが半々の状態で自転車を押し歩きした。

(「市道藤曲門前線【6】」へ続く)

出典および編集追記:

1. 会社関係で数回訪れた記憶がある。何処にも抜けられず行き止まりである。昭和後期か平成初期にできた住宅地だろう。

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