市道崩金山線【4】

市道インデックスに戻る

(「市道崩金山線【3】」の続き)

壮大な竹藪を抜けて経常的に人々の暮らす集落へ出てきた。しかし通り抜け不能看板の存在を知ってか通行車両はまったくない。何よりも未だ自分自身が何処にいるやらも見当がつかなかった。

やたらワン公が吠えまくる民家を過ぎると、見覚えのあるものが道の先の方に…


これについては別方面から参照するので例外的に派生記事としておきたい。
派生記事: 宇部興産窒素線鉄塔・No.80
振り返って撮影。
今さっき左側の分岐からやって来た。この分岐路に鉄塔が建っていたことになる。
現在はもうない…左側に古い御堂があるが当時は頓着していなかった


僅かながら本路線は下り坂に入り、視界も広がりつつあった。

同じ位置から進行方向を撮影。
今や間違いなく自信をもって市道と言えるにしても…とにかく狭い。先のカーブにミラーは設置されているのだが、対向車があるかどうかはもう少し先まで行かないと分からない。地元住民の通行はあるので、途中でガッチンしたら気の弱いドライバーの方から引き返しを迫られることになりそうだ。
しかし結局終点まで一台の車ともすれ違わなかった


ここにも宇部市の「路肩注意」の表示がズラッと並んでいた。
路肩を雨水がダダ流れすると崩れる元なので、左端はアスカーブで余盛りをして右側の側溝へ流すようにしている。街中の市道では殆どみられなくなった昔ながらの仕様だ。


きついカーブ部分。
舗装は意外に新しい感じがする。最近オーバーレイしたのかも知れない。
邪魔にならないよう道路の外にカーブミラーが立っているのだが…これって異常に背丈が低いのでは…^^;


ここを通るときも、迷う分岐路で出会った元金山住民の「あの言葉」が自然と思い出された。
「カーブの下の窪地が昔の炭生(タブ)の跡じゃよ」という言葉…まさかここではないだろうか?


「山を抜けた先に一軒家があってその近く」と聞いていたので恐らくここではないだろう。それにしても地形だけ見ればここかも知れないと思えるほど印象的な急傾斜地だった。

何故か谷側だけでなく民家の入口にも路肩注意の表示が…
ここって路肩ではないのでは…しかもよく見ると上下が逆さま^^;
これってそこいらに転がっていたのをパクッてきたとか…?


次のカーブを曲がったとき視界が開け、沢地に家並みが見えてきた。
まだ何処かは分からなかったが見覚えのある場所のようにも思えた。本路線は既にここからも見える終点予定地へ向かって高度を下げていく。


右カーブを過ぎるとやや幅が広くなり、中山浄水場を懐に抱く大きな谷戸を下っていく
沢の反対側にある道は、浄水場へ通じている…この景色を見ることで中山浄水場のあの谷地だと分かった。


この谷地の反対側に中山浄水場へ向かう道がある。それは何処にも抜けられないのだが自転車で入ってみたことはあった。だから何処へ出るかも見当がついた。

既によく知っている市道へ通じる前に本路線はここで一旦幅が狭くなる。


さっきの窪地よりは道幅がありながら、ここには白いガードレールが設置されていた。
地元在住民の通行が多いからだろう。


終点到着だ。
こちらの方面へ来たことがあるなら、きっと見覚えがあるカーブだろう。



後付けで記事にしているから既に公開している路線に関連付けると、市道上条金山線の終点であり、謎の計画路線だった市道浜中山線の供用されている区間が始まる部分だ。


終点出口から振り返って撮影。
700m先へ進んだところで通行止めという表示が出ている。表示板は薄汚れているので、ずっと前からこの状態らしい…


確かに車を通さない市道だった。
途中から市道栄ヶ迫大笠線が分岐していたものの、そこも自動車が通れない旨の看板があったので、結局車で中山観音へ抜ける裏道としては使えないことになる。

面白いことに、この道は県道まで安泰に繋がっているにもかかわらず、この路線も後からやって来るメインの市道上条金山線もこのカーブが終点となっている。代わりにここから県道までの区間は市道浜中山線という謎の未成道路の一部になっている。

市道崩金山線の経路図である。
曲がりなりにも国土地理院の地図では破線で経路が表記されていた。


この路線は起点も終点も自分にとっては馴染みの場所だった。しかし起点を出た直後は市道路河川管理課の地図でも示された通り「こんな所に道があるの?」と思えるような荒れた山道だった。
峠を越えた先で出会った一軒家や道の両側を占有する竹藪が印象的だった。何よりもそこへ踏み込もうとする勇気を後押ししてくれた奇なる元金山在住民との遭遇があった。

かつて市内の至る所で石炭が産出し、活況に湧いていた。「黒いダイヤ」と呼ばれた石炭とは対照的に、本当に光り輝く砂金の産出する地として金山も賑わっていた時期があったのだろうか。

砂金を掘った場所とされるタブ、そこで産出した砂金から造ったとされる金の鶏伝説…それらは(もし本当にあるならば)今も誰の目にも留まることなく霜降山の何処かにひっそりと眠り続けている。
いつの日か誰かがこの謎に正しく取り組み、ゴールドラッシュの如く金山という地が脚光を浴びるときが来るのかも知れない。
【路線データ】

名称市道崩金山線
路線番号562
起点市道小松原桃山線・宇部変電所横
終点市道上条金山線・終点
延長約1.5km
通行制限車両通行不能区間あり。
備考実質的な廃道。自転車押し歩きも困難。走破には軽登山での装備を推奨する。

延長など各データの正確性は保証できません。参考資料とお考えください
---

冒頭編では市道藤曲門前線のトレース過程で本路線の起点から100m程度進んだところで金山線と同様藪に包まれて進攻不能状態となっているとお伝えした。


この分岐点は、初回トレースで偶然出会ったかつて金山在住民からの聞き取りを行ったまさにその場所である。

初めて訪れたときも進攻が不安になるほど荒れていたが、このときは枯れ木が倒れて経路を塞ぎ、その先も藪で道形が完全に失われていた。


それで起点側からの進攻は不可能と判断し、終点より再度トレースを行っている。
この過程で、白岩公園との関連で最近注目し始めた藤山八十八箇所の御堂など新しい発見があった。終点側からトレースしたレポートを後続記事として案内する。

(「市道崩金山線【5】」へ続く)

ホームに戻る