市道一ノ坂黒瀬線【2】

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現地踏査日:2012/2/16
記事公開日:2012/9/28
(「市道一ノ坂黒瀬線【1】」の続き)

初回踏査が自分なりに納得のいくものではなく、志半ばで撤収せざるを得ない状況だったので、暫くの間はあの場所のことが気になってモヤモヤしていた。
翌月の16日、一ノ坂を訪れる機会があったとき再度この市道を訪れた。

このときは石仏のあるあの平場に車を停めた。
初めてここを訪れたときは近くにある厚東川ダムの左岸曝気循環設備棟進入路に車を停めたのだが、転回するとき酷い苦労を強いられたからだ。


どん詰まり部分には前回とは違う車が停まっているのが見えた。
どのみち行き止まりなのでボートや車置き場のように使われているようだ。


再び車をやり過ごしてその先に進んだのだが…
この光景を前にしてただちに踏査の答が得られてしまった。


ダメだ。水位が高すぎる。
最近雨降りが続いたせいで小野湖は水位が著しく上昇していた。陸に揚げられたボートの近くまでダム湖の水が押し寄せていた。


水没階段は元よりあのコンクリート路部分もほぼ完全に水没しており、詳細な写真を撮ることができなかった。


右側の石積みを進めば、あるいは上から眺めることはできたかも知れない。しかし水深があるなら階段の様子は前回以下の状況しか分からないし、何よりも石積みの上は私有地という事情があった。こういう状況なのでそれ以上追及せず諦めてただちに引き返した。

渇水期が長く続いた頃を見計らって訪れれば、あの水没階段を含めて小野湖底へ伸びる市道の行方が分かるかも知れない。
なお、市道の終点とされる右岸の黒瀬側を訪れる予定は今のところない。
渡船説が正しいなら昔の船着き場跡があるかも知れないが…

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同年3月頃、親元へ立ち寄ったとき親父の幼少時代、まだ小野湖が誕生する以前にこの道を通って臼木まで歩いていたらしいという話を聞いた。
派生記事: 南北道路・一の坂付近
現在の小野隧道は小野湖湛水に伴って付け替えられた道である。一の坂から臼木に向かう他の道がなく、古い道がこの市道の一部だったのはかなり確からしい。
現地踏査日:2012/9/26
記事公開日:2012/9/28
引き続き同じ記事ファイルに二度目の再訪記録をお届けしよう。

この日は宇部丸山ダムを訪れ、今までになく水位が低下しているのを観測した。宇部丸山ダムと厚東川ダムは湖水を相互運用しているので、基本的に両者ダム湖の水位は一致する。丸山ダム湖の水位が低いなら、小野湖も同様の筈だ。
そして水位が下がったときにぜひとも観察しておきたい場所があった。他ならぬ市道一の坂黒瀬線が小野湖に沈んでいくあの場所だ。

26日の午後、丸山ダム湖の水位が今までにないほど下がっているのを現地で確認した後、続いて小野湖のあの場所に向かった。

石仏のところに車を停め、デジカメと替えのバッテリーのみポケットに入れて歩き始めた。


丸山ダムから厚東川ダムは近い。ダム管理事務所の写真を撮りに行ったついでに小野湖を眺め、予想通り水位がかなり低いことを確認していた。
大丈夫…今回で必ず勝負がつくと確信していた。

今回、初めてどん詰まりのあの場所に車が停まっていなかった。
平日の午後だけあって車に乗って外出しているのだろうか…


時期柄、雑草の繁茂が酷い。まだこの場所からでは例の場所どころか湖面すら見渡せなかった。


ボートは陸に揚げられたまま放置されていた。そのボートもよく見えない程に藪がもの凄い。


藪の切れ目から湖面が窺えた。
前回はゴミの吹き溜まりになっていた場所だ。汀がかなり後退している。


裏返ったボートが藪に包まれている中、その先に干上がった斜面が姿を現した。
ほぼ、予想通りだ。


そして恐らくこうなっているだろう…という脳内の想像図にかなり近い光景が見えてきたのである。
湖底に向かう階段が姿を現した!
「コマンド?」とか言わないのよ…^^;


初めて来たときチラリと見えかけていた通り、市道の路肩が大きく崩れている部分の先端から直角方向に湖底へ降りるコンクリート階段があった。

振り返って撮影。市道はこの場所まで一定勾配で下ってきている。
ボートは永いこと動かされた様子がなかった。汀が退いてしまって湖面に浮かべるまで移動が大変だからだろうか…


水没階段の全容である。もっともその先端はなお湖中に隠れていた。拡大対象画像です。
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クリックすれば元のサイズに戻ります。


階段の上部は道路部分には繋がっていなかった。
波に基礎部分を洗われて底が浮いているし、袖壁も崩落している。


歩いて降りる分には何ら問題なかった。
まだ深い場所まで伸びているらしく先端部分は見えない。


一番下に立って振り返ったところ。
もっとも水位が高かったときはこの場所のコンクリート路部分まで水没していたから、その時より背丈以上水位が下がっている。


自然に洗われる土の斜面に置いただけのようなコンクリート階段。
現在ならもう少し堅牢な造りにする筈で、かなり昔からあったものらしい。


市道としてはどうもこの場所でぷっつり切れているように思える。
まさかコンクリート階段が市道ということはないだろうが…


まだ階段はずっと湖底まで続いていた。
水位低下に伴い水質もかなり悪くなり始めていて、表面にアオコが浮いて周囲に異臭を放っていた。


市道一の坂黒瀬線に関してはこれが現場で調べ得る限界だろう。
今後、更に著しく水位が低下してコンクリート階段の先の方まで観察できるようになったときか、あるいは対岸の黒瀬側に何か知見があったときにのみ続編が作成されるだろう。もっとも、階段の先が見えるまで水位が低下したなら踏査よりも我々の飲み水の方を心配すべきであるが…

市道の経路からは離れるが、引き続き小野湖に沈んだとみられる古道の痕跡を求めて少し汀を辿ってみた。当面はその記事を続編として案内しておこう。
リンク先記事を道路カテゴリの横話から河川カテゴリの厚東川の独立記事として移動した

(「厚東川・一の坂地区【1】」へ続く)

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