山口宇部道路・未知の跨道橋【4】

その他の道路インデックスに戻る

現地撮影日:2015/9/13
記事編集日:2015/12/6
(「山口宇部道路・未知の跨道橋【3】」の続き)

2日続けての調査は予定していなかったが、翌日再び萩原方面へ行く用事ができた。また後回しにすると時間切れになると思って今度はアジトを出て最初に立ち寄ることに。

途中の寄り道も今回はいっさいない。
大沢西交差点からダイレクトに山口宇部道路を北へ向かった。


ちなみに前日は時間が遅かったのと雲行きが怪しかったのでもう一つの跨道橋は丹念な撮影も行わないまま帰った。これは正しい判断だったようで、アジトへ帰る間もなく雨になった。しかし天気の崩れは大したことはなく、翌日の今日はカラッと晴れて湿度も気温も低め。大変に快適だ。

昨日の夕方、軽四が停まっていたあの非常路側帯は空いていた。
ここなら自転車が本線まで転がり出てしまう心配はない。


適当に自転車を停めて歩行調査に切り替えた。


しかしターゲットへ向かって歩くうちにある種の懸念材料が浮かんだ。
それは跨道橋の真下へ到達するまでに揺るぎないものとなった。


昨日訪れた跨道橋よりもずっと高い!


昨日は車が停まっていたのでそそくさと通り過ぎ観察も行っていなかった。同規模の跨道橋であり同じ手法で斜面をよじ登って到達できると考えていたのである。
真下まで来るとそれは決定的な違いとして認識された。昨日の跨道橋よりも1mくらい高いし切り通し部分も上の方までみっしりと藪に覆われていた。

この辺りは最も深い切り通し部分だ。
まだ確認されていない里道はその一番高いところを通っているらしい。


最も少ない労力のルートと言えば跨道橋の真下から直接斜面へ取り付く方法だろう。
無理だ。あまりにも高いし斜面を登るにしても足元の状態が分からない。


跨道橋の真下は補強のために切り通し部分がコンクリートブロック造りになっていた。その継ぎ目から生え出てきた雑草がもの凄い。自然の土の斜面なら雑草を我慢するだけで済むのだが、コンクリートの継ぎ目から生えているので何処に足掛かりを求めて良いか分からなかった。登っていて足を滑らせれば容易に車道まで転がってしまう。

少々迂回してでも安全に登れる経路がないか探した。
昨日の跨道橋側へ歩いたところに少し張りブロックが低くなっている場所を見つけた。


この場所だけ斜面が痩せていたためにブロックが低くなっていた。何かの道という訳ではないらしく、藪をかき分けても小さな沢地が見えるだけだった。元からあった沢が道路建設で分断されたらしい。

ここから張りブロックの天端を伝って跨道橋へ接近できる。しかしその途中から斜面を伝って…というのが絶望的なのは試すまでもなかった。


実際に天端を伝って可能な限り接近している。
可能な努力もここまでだ。もう地山か張りブロックか分からない位にみっしりと雑木に覆われていたのである。


岡ノ辻側はどうだろうか。
跨道橋の構造上もっと困難な問題があった。


迫田側と異なり、跨道橋は路側のすぐ外側が切り通しというのではなく、緩衝地帯を挟んで離れた位置にある。
これは有料道路時代の初期の施工形態によるものである。当初から上下2車線づつ4車線が計画されていたので切土部分は相応な幅を見込んで施工された。[1]しかし結局4車線が確保されたのは常盤小学校付近から終点の大沢西交差点までであって、後年自動車専用道路区間となった宇部東I.C.以北が4車線整備された以外は対面交通で供用され現在に至っている。
今後もよほど交通量が増えない限り4車線にはならないだろう

したがって跨道橋は当初から4車線分の長さで造られている。切土は行われたものの車線にならず放置された部分は、既に半世紀も経過しようかという長きに渡って放置されただけに藪の楽園状態になっていた。


路側から藪をかき分けて先をカメラで窺った。
岡ノ辻側の斜面は日照が少ないせいか跨道橋周りは案外草が生えていない。この藪地帯を突破できれば攻略は可能な気もする。


しかし路側の藪の高さといい密度といい突撃を萎えさせるには充分だった。
無理です。諦めます…
諦めるってのも「今回は」という条件付きだ。9月はハミが一番危険な時期である。[2]わざわざそんなリスクの高いときに突撃することもない。ここから攻略するにももう少し寒くなってからで良いだろう。また、この跨道橋に関してはまだ岡ノ辻・迫田のどちら側からの里道探索も充分には行っていない。正攻法での到達も検討したい。

…とまあ、こういう理由から「つまらない結果に終わった」のだった。物理的には接近できる。ただし決して安全安泰とは言えない。斜面転落リスク、藪の木々に顔をシバカれ傷だらけになるリスク、そしてハミにかぶられるリスクがあるので諦めた。

跨道橋の接続部をズーム撮影。
ここにも大量のマーキングがみられる。恐らく殆ど使われていないだろうが、設置した以上はメンテナンスが必要になるわけだ。


跨道橋の本体自体も一部にコンクリートが剥がれた痕跡が見える。
数十年かかってこの程度で済んでいるなら殆ど問題ないだろうが、たまたま剥がれた破片がフロントガラスに落ちてくるリスクは一応ある。
殆ど問題にならない程低い確率だろう


さて、本件は先送りにするということで…次の目的地へ向かおうか。

もはや跨道橋ネタとは無縁だが、自転車を停めた非常路側帯へ戻ったとき草地の中に見慣れたモノが捨て置かれているのを見つけた。


これって…うちのじゃないの?
業務上かなり見慣れているもの[3]が草地の中に転がっていた。側面に宇部市の文字があるから間違いないだろう。何でこんなところに?


自転車に跨がり、昨日走ったのとはちょうど逆のルートで漕ぎ始めた。

昨日攻略した跨道橋をくぐった先の迫田側に何やらポンプ設備のようなものを見つけてちょっと停車した。
このフェンス自体は昨日の時点で気づいていた


またわざわざ道路の反対側まで移動する気も起きず停車した位置からズーム撮影する。
何かの倉庫のようにも見える。少なくとも家ではない。どうしてあんな場所に…?


恐らく私的物件だろうし跨道橋ネタから外れてきりがないのでこれだけ撮影して立ち去った。
この後のことを時系列で述べると、市道迫田長谷線を終点から入り、例の「たった数メートルが通れないために数百メートルもの大回りを強いられる」ポイントで強引に近道(この件については派生記事を書く予定)した。この件については以下の派生記事に書いた。
派生記事: 自己路線中のショートカット
それからこないだ見つけた迫田にある里道の坂を一旦下り、記事向けに撮影し直して萩原に向かった。

ここまでの記事を書いた後になって跨道橋へアクセスする経路を特定する上で重要な情報を見落としていたことが分かった。結論的に言って2つの跨道橋は道路で分断された私有地を結ぶ単純な目的ではなく、ほぼ間違いなく昔からある里道の通行補償として架けられたものと思われる。本件をFBページへ提出したとき、どちら側の跨道橋かは不明だが渡ったことがあるというコメントも得られている。

一連の情報を元に再び跨道橋へ向かう経路探索に乗り出した。それでもなお完全な解決には程遠い結果しか得られていない。再び時系列記事としてこの続きをお伝えしよう。

(「山口宇部道路・未知の跨道橋【5】」へ続く)
出典および編集追記:

1. 当然ながら山口宇部道路と立体交差する市道の跨道橋も同様だし片倉高架橋を始めとする橋も橋台部分が4車線分を見越して建設されている。

2. ハミとは西日本一帯の方言で蝮(マムシ)を意味する。「9月のハミは子を持って気性が荒いので不用意に山へは入るな」は年配者から代々語り継がれてきた戒めで田舎暮らしでは常識として覚えておくべきものとされた。習慣的に山へ入っている高齢者の中にはハミが近くに居ると匂いがすると告げる人も居る。
9月が特に危険度が高いかは調査の余地があるが、ハミは秋口に子を産むこと、子を持つ生物が攻撃的になるのはヘビに限らず一般的なことなのでこの伝承は現在とて充分に通用する。ただしハミは臆病で人の足音を聞くだけで逃げるので通常に整備された登山道を歩いていて被害に遭うことは極めて稀である。水の多い沢地などは餌となるカエルを求めてハミもよく見かけるので不用意に立ち入らないようにする。

3. 市の管理する物件(例えば市営住宅)の駐車スペースで来客者向けであることを明示する車止めブロックである。

ホームに戻る