開1丁目の急坂【1】

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現地踏査日:2013/12/22
記事作成日:2016/1/5
現地撮影から既に2年以上経っている案件を今頃記事に…と言われてしまいそうだ。
現地には信じがたい坂道があり、実のところただそれだけである。郷土史に掲載されている著名な場所ではないし、昔から知られている急坂というのでもない。しかし最近この案件を改めて観察していて派生する興味深い仮説を思いついたので、遅ればせながら記事化に取りかかった。

なお、本件は総括にも書いている通りFBページでの読者報告によって調査を行った初の案件である。報告を受けて現地調査したものの私の勘違いで最初は別の場所をあたってしまうなどの顛末も含めて、以下に時系列報告しよう。

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2013年12月8日の未明のこと、FB側で運営しているページに読者からのメッセージが届いていた。
以下原文のまま引用しています
いつも記事を楽しましてもらっています。
ネタ・・・・の調査依頼と言うわけではないのですが、下記箇所にあり得ない急な坂道があります。(車で走行中にみただけですが)
http://yahoo.jp/JXrA1N
これって通行可能なのでしょうかね?機会があれば自転車で下ってみたいかも。(以下略)
添付されたリンクをクリックすると、行ったことはないが相応に知っている場所が航空映像表示された。市道沼風呂ヶ迫線が小路ヶ池のほとりを通る近くである。
この道はかつて仕事で風呂ヶ迫市住へ行っていたときよく往来していたし、今でもたまに通る。しかし開1丁目側へは用事がないし、坂がちなので自転車での通行も手控えられていた。

よほどのネタがない限りアップダウンのきつい場所は敬遠されるのはこの場所に限らない。しかしそんなに目立った坂とかあっただろうかという気になった。
アジトから現地までは自転車でも余裕の射程距離である。そこで当日中に次のように回答した。
こんばんは。 まず、有り得ない坂の方ですが…この近辺は訪れたことがあります。山門郵便局に車を停めて、近くにある開市営住宅に用事がありまして…坂があったような記憶はありますが、詳しくはちょっと調べてみる必要があります。折りをみて調査して回答しましょう。(以下略)
そう答えたものの自転車によるネタ採取ではいくつかの案件を合わせて実行されることが常である。単独でこの方面を訪れる便がなく、同じ月の中旬に午前中仕事で上宇部方面を訪れる用事があり、その折りに立ち寄ることとなった。

市道沼風呂ヶ迫線の山門郵便局前である。
小路ヶ池を左側に見ながら登り坂が始まる地点だ。


上の写真の場所は地図ではここになる。


山門郵便局のところから開1丁目方面へ複数本の道が伸びていることは地図で知っていた。沼方面から走ってきたとき最初に出会う分岐路は市道開北住宅線なので、その次の道だろうと思っていた。

その道の入口である。
この道は認定市道ではなく地元管理の道であることは分かっていた。


上宇部のある場所を訪れたのは午前9時のこと。その用事を済ませて自転車を走らせていた。天気は良好だがかなり寒い。ネタ採取に自転車を走らせるのは午後が殆どなので、午前中の撮影は私にとっては珍しい。

この道のことだろうか…
市道の分岐点から登り坂が始まり、それは先の方で段々ときつくなっていた。


確かに先の方でかなりきつい坂になっている。しかし…どうもおかしい気がする。


少しばかり疑念を感じながらもカメラ片手に自転車を押し歩きしていた。
さすがに乗ったまま漕ぎ進むのは辛い勾配だ。


丘陵部の頂上が近づくに連れて坂は緩くなっていた。


坂の終わったところから振り返って撮影。
完全な直線でここからも市道が見えている。


確かにきつい坂ではある。しかし…これは読者から報告があったのとはかなり違う気がした。


それと言うのも最初にメッセージを頂いた内容ではありえない坂と表現されていた。そして通行可能なものかと訝っていらしたが、通れるどころか道沿いには民家が連なり、この道へ出入りする車庫もある。確かに今のような冬場は、朝方冷え込めば凍結して車の出入りは困難だろう。しかし現状は「車が普通に通る地区道の坂道」としか言えない。

坂を登った先で地区道はすぐ横を通る市道開北住宅線に合流する。
先の方に見えているのは開北集会所だ。


振り返ってこの道の末端部を撮影している。
このとき今登ってきた道より更に風呂ヶ迫寄りに細い道があって車両侵入禁止の立て札が出ていたのだが充分に確かめていなかった。


それと言うのも現地では私有地に通じる道と思ったし、この場所に関しては別方面で私の興味をそそるものが見えていてそっちの撮影に気を取られてしまっていたからだった。

車が数台停まっているその後ろを眺めると…
もの凄く深い沢地になっている。10m以上の高低差があって対岸側にも家並みがみられる。


現在地へ身を置くのはこのときが初めてだったが、見下ろしている沢地は随分と前から馴染みがあって幾度も訪れている場所だった。

沢地の底にある代表的な物件をズーム撮影している。
もの凄いブロック積み擁壁の下にネットフェンス門扉が見えかけている。


このブロック擁壁の真下を沿って常盤用水路が通っている。常盤用水路は当サイトどころか現在のようなテーマ踏査的活動に手を染める嚆矢となった案件で、かなり早い時期から本腰入れて取り組み現在ではすべての経路を掌握している。当サイトでも以前はごく一部の場所について記事化し公開していた。[1]

沢地の両側にある高台は住宅地になっている。まさか馴染みの場所を見下ろすこの場所へ到達できるとは思わなかった。そこで常盤用水路の線形が分かるアングルで何枚も写真を撮った後、一旦アジトへ撤収した。午前9時に上宇部のある場所を仕事で訪れるのがメインであり、仕事の格好をしていたし何よりもまだ朝食をとっていなかったので。

アジトへ戻った後、FBページのメッセージで頂いた中にあった地図リンクをクリックし再確認した。そこで初めて市道開北住宅線を含めて3本の道が通っていることに気づいたのである。物件の依頼者は一番北側にある3番目の道をマーカーで指示していた。
こういう時スマホを持っていたら現地でFBメッセージを確認できたのだが…

撮ってきたのは指摘されている坂道でないのは明らかだったので、本件の報告はせずに一週間後再び現地に向かった。
現地踏査日:2013/12/29
記事作成日:2016/1/5
一週間後の29日である。今度は仕事のついでではなく、午後からスタンバイして現地に向かっている。

これが一本目の道。市道開北住宅線である。
回数は多くないが開住宅への用件で何度か通ったことはあった。


そして山門郵便局のところにある押しボタン式信号のところから伸びている地区道。
この道よりもう一つ風呂ヶ迫寄りに道とかあっただろうか…


風呂ヶ迫へ行くときに何度も通った道である。しかし車だと通り慣れている道の周囲など事改めて観察はしない。自転車の場合はそれよりも周囲に気を配るものだが、この場所は坂道の途中という要因があった。結構きつい坂なので自転車を漕ぐのに集中していてとても周囲を眺めるほどの余裕がないのである。風呂ヶ迫の方から下るときは勢いがつくので途中で停まりたくない。こうしてどうやら私の観察の目から逃れていたらしかった。

市道沼風呂ヶ迫線の坂道の途中に差し掛かったときふと右側に目を遣ると…
あの道のことだ…と言うか、あれって道なのか?


何じゃこりゃあ?


一見、どこかの事業所の駐車場みたいな場所から確かに坂道が伸びている。いや…これを坂と呼んで良いのだろうか。確かに舗装はされているようだが…

歩道の切れ目から抜け出して道路を横断しまるでスキーのジャンプ台みたいなスロープに接近した。

(「開1丁目の急坂【2】」へ続く)
出典および編集追記:

1. 例えば市道丸山黒岩小串線の山門付近にあるNo.7隧道坑口へ降りる道など。
常盤用水路関連の記事はかつて断片的に公開されていたものの、すべての記事の統合と将来的な書籍化も視野に入れているために一旦取り下げている。

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