市道丸山黒岩小串線

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記事作成日:2015/8/16
市道丸山黒岩小串線は、県道宇部空港線沿いにある丸山公園付近に始まり、尾根伝いに亀浦や岡ノ辻を通って常盤池の東岸を迂回し、大小路交差点で参宮通りを横切って鎌田橋を渡り小串の高台へ到達する路線である。
起点から終点までの全線にわたる詳細な道路レポートは以下を参照。(全9巻)
連載記事: 市道丸山黒岩小串線【1】
全経路のルートラボを載せる。
右下の再生ボタンを押すことで起点から終点へ経路を辿ることができる


上記のルートラボでも分かるように全線の経路は非常に長い。この記事を制作する現時点において宇部市内には一千件近い認定市道が存在する[1]が、本路線は恐らく宇部市の認定市道の最長路線である。この複雑な経路をもつ道が単一の認定市道とされた経緯はよく分からない。

起点の様子。
4車線の高規格な道が県道宇部空港線で、押しボタン式信号の手前から右へ入る細い道が本路線である。


道路の構造や車の通行状況などから本路線を起点〜亀浦交差点、亀浦交差点〜岡ノ辻交差点、岡ノ辻交差点〜開交差点、開交差点〜大小路交差点、大小路交差点〜終点に分けた。この区分にしたがって概説する。
【 起点〜亀浦交差点 】
起点は県道宇部空港線の丸山公園バス停付近に始まる。本路線は若干海側へカーブするものの県道は直線的に伸びている。この部分は県道の旧道部分だったと思われる。
再び県道を横切った後、本路線は尾根伝いの登り坂となる。さほど厳しい坂ではないが宇部線を亀浦踏切で横断した後も国道までずっと続く。道路規格はセンターラインで区分されない1.2車線相当であり交通量もそう多くはない。
写真は亀浦踏切に至るまでの坂道区間


亀浦交差点で国道190号を横断する。起点側の出入りは少ないがここから先では本路線への交通量が激増する。
【 亀浦交差点〜岡ノ辻交差点 】
亀浦交差点から常盤ふれあいセンター前付近まではそれまでの道路規格を引き継ぎセンターラインのない道のままである。しかし国道への往来のため通行量は多く、幅の狭い部分ではしばしば緩速走行状態となっている。
ふれあいセンター前で常盤池本土手方面からの道(市道常盤公園江頭線)と交わる。この道は本土手を通って江頭を経て床波方面へ向かう古くからの道で、本路線との交点には道標が設置されている。
派生記事: 常盤ふれあいセンター付近の道標
本土手と本路線との相互通行がかなり多い。この交差点より先は本路線はセンターライン付きの対面交通規格となる。地勢としては本路線は近傍の尾根を伝う形で北上している。この区間の道はかつての周防国と長門国の国境を伝う道として知られている。[2]しかし本路線の沿線にそのことを示す遺構などは見つかっていない。現在の道路を整備するまでに喪われたと考えられる。
【 岡ノ辻交差点〜開交差点 】
岡ノ辻交差点は阿知須や床波方面から上宇部方面に行商人が往還していた古道とされ、昔から交通の要所であった。この交差点を「岡にある辻」とすれば常盤池方面へ下る道は重要な道だったとも思われるが、現在は南山炭生の鼻へ至るのみで行き止まりの地区道となっている。

岡ノ辻を過ぎると本路線は進路を西へ振り、常盤池の沢先端を横切るため若干のアップダウンがある。この過程で周防長門の国境ラインから外れる。常盤スポーツ広場バス停から入り江の方へ下っていく道は本路線の旧道で、現在は殆ど高度を変えずに進む改良区間となっている。入り江へ下る路線は現在は常盤池の北側周遊園路の一部となっている。
派生記事: 市道丸山黒岩小串線・旧道区間
この旧道区間において土取の入り江先端部を渡り、起点を出てもっとも高度を下げる場所である。
写真は入り江先端を渡る旧道のコンクリート床版部分。


旧道はときわ湖畔北バス停で再び改良区間と合流する。改良区間は幅広の対面交通規格で片側に自歩道も造られている。本路線の途中で片倉へ直線的に抜ける堀割の道と共に平成期に入って造られた。切土で発生した余剰土は常盤池側へ押し出し整地して野球場やサッカースタジアムとしている。

ときわ湖畔北バス停から開バス停までは幅員が狭まり極めて大きなアップダウンの連続する通行困難区間である。狭い歩道が右側に付属するのみで自転車の通行には甚だ不適である。このアップダウンは常盤池に注ぐ谷地と尾根を垂直に横切る線形に起因する。
常盤池の本土手付近より北上し開から片倉に至るもう一つの古道、市道常盤公園開片倉線との交点には道標が設置されている。詳細は以下を参照。
派生記事: 開の道標
市道常盤公園開片倉線とは十字路を形成しているが、北側は車両通行困難区間となっている。このため常盤公園方面から来て片倉に向かう車は一瞬本路線を経由する形ですぐ先の三差路で右折する。この複雑な道路構造により事故の多い要注意地点となっている。
【 開交差点〜大小路交差点 】
開交差点付近は本路線において最高地点である。道路幅は狭いながら市道常盤公園開片倉線方面からの相互通行があるため交通量は極めて多い。この区間も歩道が充分に整備されておらず自転車での通行はかなり困難である。
開バス停を過ぎると本路線は風呂ヶ迫交差点を含めて一貫した下り坂となる。上宇部小学校前から大小路までは片側に狭い歩道が付属するのみで道路状況は極めて悪い。
【 大小路交差点〜終点 】
大小路交差点で参宮通りを斜めに横切る。主要な道路の交点が直角となるように改良が進められる中、大小路交差点は昔から鋭角に交わっている。本路線は直進だがここから先の交通量は起点付近の若干あるループ部を除けばもっとも少ない。道路幅は1.2車線相当で充分減速して余剰地で離合する状況であるが、離合劇に出会うこと自体が少ない。殆ど地区道同然とした狭い道を進む。

中村方面に向かう道との分岐路がきわめて分かりにくい。本路線は右の分岐を選択し、そこで再び現れる小分岐では左となる。その分岐点をポイントした地図を示す。


それまでの線形からすれば直進してしまいがちだが、これは市道中村線という別路線になる。実際の往来でも中村方面に向かう交通量がやや多い。
琴芝通りの終点を過ぎると再び交通量が増える。この区間は狭いながら本路線の終点となる小串台と沼方面を連絡する近道として道路事情を熟知したドライバーが好んで通る部分である。市道西の宮鎌田線の終点で右折すると真締川へ向かって下り、鎌田橋を渡る。

市道真締川西通り2号線を横切ると本路線は新興住宅地の中を通って急に狭くなる。この道は幽霊坂(崩坂)と呼ばれていて本路線中もっとも幅が狭い場所である。換言すれば昔ながらの状況を良く遺している。この区間では軽四でも離合不可能で前方からの車の往来を確認した上で片側交互通行で通る自主規制が働いている。
坂を登り切ると県道琴芝際波線の旧道区間、現在の市道小串小羽山線の急カーブへ到達し、そこで終点となる。
《 個人的関わり 》
特記事項と同様、4区間に分類して述べている。

注意以下には長文に及ぶ個人的関わりが記述されています。レイアウト保持のため既定で非表示にしています。お読みいただくには「閲覧する」ボタンを押してください。

起点から終点までの全線にわたる詳細な道路レポート。全9巻。
連載記事: 市道丸山黒岩小串線【1】
《 詳細レポート後の変化 》
・亀浦付近の沿線にあったスーパー大和は撤退して代わりにコンビニエンスストア(ファミリーマート)に替わった。

・2014年末頃に市道黒岩片倉線とのT字路に信号機が設置されている。設置理由は恐らく片倉から本路線へ流入する車が多くなったことによる。現地の写真は以下を参照。
派生記事: 黒岩T字路の信号機設置
・開から風呂ヶ迫にかけて登下校の学童を保護するためにグリーンベルトが追加ペイントされた。


施工時期はよく分からないが、市内の登下校路へ一斉に行われたようである。
出典および編集追記:

1. 正確には988路線である。「宇部市|道路の種類」参照。

2. 常盤ふれあいセンターで作成されたウォーキング・マップ「わくわく常盤」(2006年3月作成)では国境の道と記載されている。
また同マップによると亀浦交差点からふれあいセンター付近までの区間は後年造られた道であり、国道190号の国境石西側を斜めに横切りふれあいセンターの手前に出てくる細い道が昔の道だったようである。この道には宇部村と西岐波村の市村境界石が見つかっている。

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