白鳥大橋

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現地撮影日:2012/10/4
記事編集日:2014/1/12
白鳥大橋(はくちょう)大橋は常盤池の西側にある白い橋で、平成期に入って常盤池の護岸および周遊園路整備に伴って架けられた。
橋の位置を地図で示す。


一般的な地図において点線表記される道は、相応な幅があるなしにかかわらず一般車両の通行には供されない道を示す。薄緑色のエリアは常盤公園の遊園内になるので通行する車は作業用車両などに限られる。この記事をかいている現時点では自転車に乗っての園路通行も認められていない。
期間限定で園路遊歩道の自転車通行実験が行われたことは数回ある

10月上旬、工学部の方まで自転車を漕ぐ用事があった。天気が良かったので用事を済ませた後、西出入口から久し振りに常盤公園を訪れた。

そもそも当初は白鳥大橋を観に行く積もりではなく、西駐車場の先にあったお手洗いを使うためだった。
その後でフラッと遊園路を歩いて、最初にこの光景を見てちょっと写真を撮ろうという気になった。
雲の散らばり具合などまるで油絵を鑑賞しているような眺めである


平日の昼間なので園内を散歩している人が少ない。無関係な人が写り込まないから写真を撮るならこういう日が最適だ。日が差してちょっと暑いが、もう真夏のような焦燥感はない。大概歩くのが嫌で自転車に乗りたがる私だが、偶には園内散歩も悪くないと思える季候だ。
だけど園内を自転車通行できるのならやっぱり歩かず乗ると思う

遊歩道はこの先で白鳥大橋に向かう方と遊園地に向かう分岐路になっている。白鳥大橋に向かう遊歩道に隣接して菖蒲園があり、6月頃になると夥しい種類の菖蒲が苑内を埋め尽くす。
いずれビジュアルに楽しめるように写真メインの記事を作成する予定

さて…
秀麗な白鳥大橋の写真付き記事にこんな写真とか載せるなよっ!て言われそうなのだが…どうしても出演したがっていたようなのでスペシャルゲストということで…
白鳥大橋の方に向かって歩いていると、脱色アスファルトの上をのそのそと横切る放浪者の姿に出くわした。

いや!見たくない!って方もいらっしゃると思うので、無理やり見せつけるようなことは避けよう。大丈夫な読者だけ下のボタンを押すことで閲覧できる。

さて、本題に戻って…
白鳥大橋の南側である。この場所は冒頭の地図でポイントされた位置になる。


遊歩道とは言っても橋である以上、親柱をもっている。
向かって右側は「はくちょうおおはし」と平かなで橋の名前が刻まれていた。


左側の親柱。平成4年3月の竣工である。
平成時代だから数ある橋の中ではニューフェイスと言える。
そうは言っても竣工から20年も経つとは感慨深い


正面から撮影。
青空に白い塔が映える。白鳥が羽根を拡げた姿をイメージしているのだろう。


橋の中ほどまで進んだとき、ちょうど宇部空港から離陸した飛行機が旋回するのが見えた。
秋の空の中を旋回する飛行機…胸の空くような開放感がある。
こういう景色を心おきなく眺めていられるのも幸せの一つの形


この反対側が楢原の入り江になる。
水位が低いため例の水没建築ブロックと水没コンクリートが見えていた。
一連の水没構造物は現在もなお存在理由が分からない未解決物件である


常盤池には7つの主要な入り江があり、昔から固有の名前が付けられている。 楢原はそのうちもっとも西側にある入り江で、白鳥大橋はその広い部分を横切っている。橋の北側は常盤池に突き出た岬に繋がっており、この岬は南遠山の鼻と呼ばれている。
「呼ばれている」と言っても古文書の話…宇部市民には殆ど知られていない

手抜きだがこの日は対岸まで歩かなかった。だから以下の2枚は以前健康ウォークイベントで歩いたときの写真に代えて掲載しよう。

南遠山の鼻から撮影した親柱。
こちら側は漢字表記だった。[2010/4/6]


正面から撮影。
左側の親柱は「常盤湖」となっている。[2012/12/3]
公文書を含めて常盤湖と呼ばれることが多くなっている…もっとも常盤池でも一向に差し支えない


来たときから気付いていたことだが、常盤池の水位はかなり低い。護岸の周囲には干潟ができていた。
ちょっと観察したいものがあるのだが降りる場所がない。


菖蒲園で撒水に使う水を汲み上げる水中ポンプが汀で動いていた。
そのポンプを据えるとき設置したと思われるアルミ梯子が護岸に掛かったままになっていた。


平日の昼間なので遊歩道を散歩する人は殆ど見かけない。まあ…別に目撃されてもいいだろう。
取りあえず子どもが真似するようなことさえ避けられれば私が変人扱いされるのは一向に構わないので…^^;

ちょっと梯子をお借りして常盤池の中に降りた。
普段観られないアングルからの橋の撮影も目的だったが、他に調べたいことがあったのだ。


靴を濡らさない程度に汀へ寄って白鳥大橋を下から撮影した。


橋の下部構造。
普段の水位だったら手漕ぎボートを繰り出さない限り撮影できないだろう。


見る限り水深は浅い。
楢原は大きな川をもたない入り江なので、対岸の南遠山の鼻まで背丈を超える水深はないかも知れない。
もっとも試してみるわけにはいかないのだが…


それからもう一つ調べたいことは…
水生生物の存在だった。


この近辺の水底は粘土状で、その上を礫石が散在しているような感じだ。堆積物が殆どない。
ざっと見た限り丸山ダム湖の水没工事用道路で見かけたタイワンシジミなどの生物の姿はなかった。腐った枯れ葉などの有機物に乏しいからだろうか。厳密に調査するならもっと広範囲を観てみなければ分からないが、常盤池への外来種生物進出はご免被りたいものだ。
一連の撮影と調査を終えて遊歩道に復帰した。

白鳥大橋の成り立ちについての詳しいことは今手元に資料がない。橋の竣工は平成期であり、これが初代の橋である。即ち昭和期には橋がなく南遠山の鼻へ直接到達する手段がなかった。
常盤公園を訪れた観光客の殆どが正面入口から入場し、動物園や遊園地に向かう。当時から西駐車場や対応する入口はあったが、メインは遊園地と動物園だったので、一番奥の菖蒲園まで来れば大抵の来園者は引き返した。白鳥大橋どころか常盤池を周回する遊歩道自体存在しなかったので、常盤池の北半分は殆ど未開の地同然だった。
一部には初代のコンクリート護岸がある…今も自然の汀となっている場所も多い

他にいくつも入り江がありながらこの場所に橋が架けられた理由の一つは、楢原の入り江に面する土地が早い時期に民家や学校のグラウンドで占められ、汀に沿って遠回りする道が存在しないからであった。
冒頭の地図でも楢原の入り江部分だけ緑地を示す薄緑色で塗られておらず私有地であることを示している

白鳥大橋の竣工と遊歩道の整備で常盤池を周回できるようになり、散歩をはじめジョギングコースとしての利用価値が一気に高まった。目下、市内でもっともゆったり寛いでウォーキング可能な周回コースであり、白鳥大橋はまさにその「橋渡し役」を演じていると言えるだろう。

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現地ではこの後自転車の元に戻り、本土手にある余水吐に向かった。時系列の記事として書き上がり次第リンクで案内しよう。

(「常盤池・余水吐【2】」へ続く)

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【追記】(2014/1/12)

一般には白鳥大橋で名前が通っているが、施工時の呼称としては常盤大橋と呼ばれていたようだ。
これは南遠山の鼻側にある塔の側面に設置されたブロンズの銘板である。


確かに常盤大橋と記載されている。


もしかすると白鳥大橋という名称は当初から決まっていたのではなく、竣工後に一般公募などの形で決められたのかも知れない。しかし橋の外観からすればイメージにぴったりで他の呼称を思い付かない。

同じ日に撮った白鳥大橋の真下からの撮影。
普通ここまで撮る人なんて居ないだろう…^^;


白鳥大橋は常盤池の西側へ行く都度、日を改めて撮った写真が多いので、読み込みが遅くなる原典画像を本記事から外して別途ギャラリーを作成した。詳細は以下を参照されたい。
派生記事: 白鳥大橋・ギャラリー

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