常盤小学校近くにある謎のレンガ積み構造物

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現地踏査日:2013/9/4
記事公開日:2013/9/15
情報この記事および後続記事は速報性最優先で作成されています。後日記事名やファイルの保存位置、記述内容の分割や併合など記事構成が変更される可能性があります。

最初にお断りである。
全体の流れの構成上、総括記事に先行して
初回踏査レポートをお届けする。
理由はかなり明らかで、総括記事を書いてしまうとこれから始まる踏査レポートのネタバレになってしまうからだ。
本件に限らず総括記事は現地踏査記録がある程度まとまってから書くべきだと感じた

連載形式の踏査レポートでは、何か未知の物件に偶然出会い、回を重ねて踏査して情報収集する過程で次第に素性が明らかになる…という流れが多い。他方、白岩公園のように琴線に触れる物件を書物で知りながらもそれが何処にあるのか分からず、発見的踏査を行うような例もある。今回の物件は後者のパターンで、ある興味深い情報をYahoo!ブログの読者から寄せられたのが発端だった。
常盤小学校の東門を出た近くに
防空壕のような構造物がある。
以下、如何にしてこの物件を知ることになったかを時系列に沿って記録しておく。初回踏査レポートは「常盤小学校近くにある謎のレンガ積み構造物【1】」からお読みになることができる。

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始まりは場所もカテゴリも全く異なるブログ記事であった。
一昨年の5月、私はお隣りの山陽小野田市千崎にある山陽本線の3線立体交差を訪れてブログ記事に書いた。
「Yahoo!ブログ - 山陽本線・3線区間立体交差を訪ねる【下】」
http://blogs.yahoo.co.jp/sta_vanilla/64392902.html
この物件自体は鉄道愛好家にはよく知られていて現地へ写真を撮りに行く方も結構ある。私は鉄道は守備範囲外なのだが、鉄道関連の構造物は殊の外好きで一度近くで観たいという気持ちもあって自転車を走らせたようだ。
まだホームページが誕生しておらず宇部ネタ中心にやっていく…という意識が今ほど強くない時期だった

現地では3線交差部分の橋りょうの写真を撮り、このとき副次的にかつて山陽本線の下を通されていたレンガ積み通路を見つけて撮影した。その通路は用途廃止されていたらしく完全に塞がれており、内部は近所の民家の焼却炉として利用されていた。
せっかくなので後で比較対照するためにも現地の写真を2枚だけ載せておく。

そのレンガ積み通路は農道に面しているものの幅広の用水路を隔てて繋がっていない。
上部の堰堤状部分を山陽本線が通っている。


内部の様子。
ゴミ焼却炉として利用されているようで内部には大量の灰が堆積していた。


有名な鉄道物件を撮り、上中下3巻構成で順当にまとめた…という話で終わる筈だった。
ところが下巻で、私が何の気なしに撮影した閉塞レンガ積み通路に関して一読者から奇妙なコメントが寄せられた。ここに引用させて頂こう:
> 常盤小学校のそばにもこれと似たような廃隧道があります。
> 廃隧道は小学校の西の校門を出て、宇部有料をくぐってすぐ、マンションの向いの右手の林の中にあります。
> 私が小学生の時(十年ちょっと前)には防空壕だという噂がありました。
> うろ覚えですが、当時は閉塞しておらず、一度だけ通り抜けた記憶があります(ただの森の中に出ました)。
> 今は子供が入ったら危ないから閉鎖されてるかもしれません…
私の意識が鉄道の方にあったので、このコメントは意外だった。そして興味を覚えたのは、かつて遊びで通い慣れていた筈の常盤小学校のすぐ近くにあるという点だった。

ブログのコメント返しで「この方面に行く便があったとき寄ってみます」と書いたものの、実のところ常盤小学校のバドクラブには既に縁が切れてしまっていて行く便がなかった。更に言えば、よほど興味深い物件の匂いがするなら”便を作ってでも”現地に赴くものだが、当時の自分はそこまでしなかった。防空壕なら市内の他の場所でも未踏査のものがある[1]こと、山口宇部道路や常盤小学校が近いなら現地は恐らく改変されていて遺っているとも思えなかったのが理由だ。

私のコメント返しにこのような下りがある:
> 宇部有料を造ったとき行き来できるように何か隧道を掘ったのかも…学校が近い場所だと近寄れなくなっているかも知れませんね。
> 山口宇部道路のこの先、T字路になっている付近に水路と人道が一緒になっていて道路の下をくぐる深い通路を見つけています。今は塞がれていましたが…
いずれ書くかも知れないが、これは市道常盤公園岡ノ辻線の山口宇部道路接続部分付近にある水路と管理道のことを指している。指摘されている隧道とは、このことではないかと(勝手にw)決めつけていたのであった。いずれにせよ、せっかく情報を頂いておきながらそれほど重要視されず、一年近く対処されずにいた。

時は流れて一年近くが経ち、ホームページを立ち上げた。とりわけ今年は常盤公園周りの記事充実化方針が念頭にあり、関連記事制作に取りかかった。この過程で市道常盤公園江頭線をレポート向けに写真を撮りつつ走ることとなった。
この市道は常盤小学校の入口前を通り、山口宇部道路を横切る。このときになって初めて自分の中で「常盤小学校の門の近くに古いトンネルみたいなものがある」程度にファジー化してしまった情報を思い出した。
うちのホームページでは市道の沿線にある主要な物件にはリンクを貼り、一本化するに満たない記事は異なる物件を相乗せして派生記事としている。注目すべき物件があるなら、市道レポートに併せて調べておかなければならない。

東門から山口宇部道路の下をくぐって江頭方面に向かう道(市道常盤小学校線)の存在には気付いており、この沿線にあるらしいことは理解できた。そうは言うものの闇雲に藪をあたっても突き止められる筈もなく、過去に頂いたメールで詳細を調べようと思った。
しかし該当するメールを見つけることができず、恐らく Hotmail がバージョンアップする際に失われてしまったのだろうと思った。
情報源がYahoo!ブログの鉄道関連記事のコメントによるとは思わなかったのである

そこでまずは現地を視察してみようと思い、市道常盤公園江頭線を走ったときに立ち寄ってざっと調べたのが以下の内容である。
派生記事: 常盤小学校の東門通路
ヘッダ部分に示した通り、上の派生記事を公開したのは8月末のことだった。この記事に反応し、ホームページを愛読なさっている初回に情報提供いただいたのとは別の一読者から場所に関する追加情報を頂いた。引用しよう。
> 常盤小の通称「開かずの門」下の急な坂を下りトンネルを抜けると右手に山林があります。右側に着目しながら進むと道沿いから一旦山林が切れ田んぼに変わる地点があります。その切れ目の少し手前右側山林に遺構はあります。
> 本来は道沿いにあるため通行のさいすぐに分かるのですが…樹木に覆われて現在は分かりにくくなってます…。が、本当に道沿いです。
そしてこの後に当該物件の正体が何であるかを明かす記述があった。
しかし先に述べたように「ネタバレ」を避けるために今は伏せたまま話を進める

メールには本物件の他に、市道常盤公園江頭線に関する「馬守り坂」の情報も書かれていた。この部分の追記を行うために現地写真が必要となったので、併せてあの場所の再調査を行おうという気になった。プレ調査とも言えない前回の下見で、明らかに見落としていたと自覚される場所があったからだ。

9月はじめは天気が安定せず自転車で現地へ行ける機会がなかった。そんな中、9月4日のこと車で宇部東部へ向かう便ができたので、遠回りしてでも帰りにプレ踏査を行う計画をたてた。

(「常盤小学校近くにある謎のレンガ積み構造物【1】」へ続く)
出典および編集追記:

1. 護国神社か宗隣寺の境内に防空壕の跡らしい横穴の存在を聞かされている。未だに調査していない。私の親元の裏山にも閉塞しかけた横穴があり、従兄弟は防空壕だと話していた。もっとも保存用の横穴だった可能性が強く、同様のものは山沿いに暮らす民家にはさほど珍しくなかった。

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