市道丸山黒岩小串線【1】

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現地踏査日:2012/9/9
記事編集日:2014/1/26
市道丸山黒岩小串線という名称から、一体どのような経路を通っているか想像がつくだろうか。
3つ並んでいる地名は、最初の丸山こそ今では知名度が低いものの黒岩や小串は市民なら一度は聞いたことがある地名で、大体の場所もよく知られている。
しかしこの3ヶ所はそれぞれ相当離れている。起点の丸山は宇部空港の近くであり、終点の小串と言えば概ね真締川を渡った西側を指す。如何にも脈絡のない離れた2地点を結ぶ市道のような気がするだろう。
実際その通りで、この路線は異様に長く、どうしてこの経路が単一路線として認定されたのか悩んでしまう。

市道の整理番号は2ケタであり、認定時期が早く重要度も高い道だ。道路としての成り立ちも相応に古い。区間によっては交通量もかなり多いが、その脈絡のなさ故に起点から終点まで通して走ったことのある一般車両はまず存在しないだろう。

まずは起点となる位置を地図で確認しよう。


今では区画整理されて亀浦5丁目になっているが、かつては丸山と呼ばれていた。
ここから伸びる市道らしき道は一本しかないので、路線名からどの道になりそうかは推測できるだろう。しかし小串という地名から終点を推測したとしても、読者の予想はひっくり返されるかも知れない。

書き始める前にお断りがある。

比較的アクセスの容易な場所にある市道ながら、延長がとにかく長いのでまだ全体を一気に走ったことがない。初回は2011年の6月下旬に、そして最近では10月下旬に最初の半分を自転車で走って要所を撮影した。残りの区間は別件で通ったときの断片的な写真があるだけで、まだレポート向けの撮影は済んでいない。

残り区間を走って写真撮影すること、沿線の主要な物件についても同様に踏査しておくこと、そして一連の情報を統合して連載記事にまとめ上げる作業が要る。とても短期間で一気にやり遂げる自信がない。したがって本編では今までのレポートとは異なり、日にちを空けて飛び飛びに連載部分を公開することになる。完成しないまま他の市道レポートを書き始めることがあるだろう。間延びして訳がわからなくなるかも知れないので、どうしても一気にお読みになりたい方は、最終編が公開されてから本編を読み始めることをお勧めする。
全編完結したらそのとき再度更新履歴で案内する予定

それでは起点の丸山に向かおう。

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ここが市道の起点である。先に掲載した地図から言えば、東を向いて撮影していることになる。
対面2車線ずつの高規格な道が県道宇部空港線だ。


交通量の多い県道に対し、これから向かう市道は如何にも精彩がない。ロードペイントはなく、そもそもさっきからカメラを構えているのに行き交う車が皆無だ。写真に見えているのは路上駐車の車たちだ。


長いからどうのこうの…などと鳴り物入りの前振りをした割には、ショボくれた市道だ。あらかじめ地図を提示したから分かるものの、何も知らされなければこのまま海辺に突っ込んで終わり…となりそうな地区道である。
しかし…
既に詳細を知っているから言えるのだが、このショボくれた市道は先の方で信じられないほど「出世」するのである。全線を通じてこんなに車の通らない区間はむしろ珍しい位なのだ。

それでは、ご案内しよう…

さて、かなり個人的なことなのだが…起点の写真で右端に写っている建物についてちょっと書きたいことがある。本市道レポートとはまったく関係ないプライベートなことなので横話にまとめておいた。
派生記事: 一生一度のお見合い
県道が僅かながら登りになっているのに対し、市道は殆どまったくのベタ道である。
路上駐車の車をすり抜けて進む(この区間は特に駐車禁止にはなっていない)と、海側にちょっとこんもりとした森がある。


丸山公園の古めかしい標示板が立っていた。


恩田で幼少期を過ごした我が身にとって亀浦方面はそれほど馴染みのある場所ではない。しかし古い記憶を辿れば、丸山公園に関する想い出を少しずつたぐり寄せることができた。
派生記事: 丸山公園
記録しなければ知っている人が少数派になるのは確実なネタなのだが、かつて「丸山公園」行きという市営バスの便があった。
これは貴重な想い出を伴った重要な昔の話を含むから、書き落とすわけにはいかない。
派生記事: 丸山公園行きの市営バス
丸山公園前を過ぎると再び市道は緩やかに県道の方へ曲がる。
それにしても車が通らない…人影も見ない。


この緩やかなカーブの途中から浜辺の方へ降りていく舗装路がある。


この道は地区道かあるいは私道と思われる。奥にある数軒の家屋に向かった先は行き止まりだ。
記憶違いかも知れないが、昔、まだ鍋島がこの先に存在していたとき、この辺りを通って浜辺に降りていたような気がするのだが…
派生記事: 鍋島に行くとき浜辺に降りた道?
市道は再び県道にまみえるように左へ曲がり、若干の登り坂になる。


ここから出る車は殆どないと思われるが、曲がりなりにも認定市道だ。県道へ安全に出るための「止まれ」ペイントが施されていた。


県道から若干離れるようにスタートし、途中で緩やかにカーブして県道に出て来る。このため、市道と県道の間に三日月状の領域ができることになる。

市道と県道の双方が入るように撮影している。
県道が緩やかな上りになっているために、市道の取り付け部分はやや急なスロープになっている。


最終的に県道へ交わるのなら、2本も同じ方向へ進む道は不要である。恐らく曲がっている市道の方が旧道で、カーブを解消するために県道を通すとき直線的に削り取ったのではないかと思われるが、かなり昔のことらしく詳細は分からない。
昭和49年度の映像を見ても県道の線形は既にできあがっている

さて、市道はここで県道を横切るのだが…
先を見通せば、昔の市道は真っ直ぐ斜めに横切っていたことが分かる。現在は中央分離帯が設置され、押しボタン式信号のところで直角に取り付くよう道路線形が変わっている。


サッと県道を渡り、旧道らしき場所へ…
今では意味を成さない「止まれ」のロードペイントが間違いなく旧道区間だったことの証明だ。


現在は車が入り込まないよう小さなバリカーが設置されていた。


振り返って撮影。見通し改善のため、現在はここでカーブして県道へ直角に取り付けられている。


このことから、起点が今のあの場所に定められた理由はさておいて、市道の成り立ち自体はかなり昔に遡りそうな気がする。浜から揚げられた水産物を当時の市の中心部(もちろん上宇部地区)に運ぶ道だったのだろうか…

県道を背にすると、市道は一定勾配の登り坂になる。喘ぐ程ではないが自転車では少しばかりの運動になるだろう。

この辺りから車の往来がやや多くなる。もっともセンターラインはなく、道幅も起点付近より若干広がる程度だ。
生活道指定の規格を示す最高速度30km/hに抑えられている。


直線路の途中でJR宇部線に出会う。体感的に起点から垂直高で10mくらい登ってきただろうか。
何故か車通りがもの凄く多い。もっとも普段はそんなに車が往来する道でもないのだが…


踏切の手前で右に逸れる細い道があり、市道亀浦線である。
派生記事: 市道亀浦線
往来の車をやり過ごした後、ちょっと自転車を停めて撮影した。
東側、即ち常盤駅方面を向いて撮影している。名称は極めてシンプルに亀浦踏切となっていた。


亀浦(かめうら)という地名に関する由来を何処かで語っておかなければなるまい。記事の構成上、市道亀浦線の横話記事としてまとめておいた。
派生記事: 亀浦について
この踏切付近の撮影を行うときたまたま車の往来が続いたので、満足に写真を撮れるようになるまで暫く待っていなければならなかった。
振り返って踏切を撮影している。


踏切を過ぎてからも市道はほぼ一定勾配で登っている。しかし県道を出てすぐよりは勾配は緩く、ギアを落とさなければ漕ぐのが辛いほどの坂ではない。
左に見えている細い地区道を進めば女夫岩滝に行く近道になる


亀浦公会堂が市道に面している。
もちろん私がお世話になったことは一度もない。


ちなみに市道のこの区間は、幼少期はもちろん車を乗り回すようになってからも殆ど通ったことがない。記憶を辿っても車で数回通っただけで、そのいずれもが現在自転車隊が辿っているのと同じ起点からの通行だ。
沿線住民や地域の人々には欠かせない幹線市道だが、通り抜け需要はあまりないかも知れない。県道宇部空港線が近くを通っているので、国道190号の大沢西交差点を経由するような車ならそのまま県道を通るだろうし、常盤公園方面に向かうなら道幅はやや狭いが公園入口に近いところへ抜けられる別経路があるからだ。

やがて前方に信号機付きの交差点が見えてきた。
国道190号である。


思えば起点からかなり登ってきた。

起点は殆ど海抜ゼロメートルで、国道190号に出会う亀浦交差点付近の標高は約20mだ。延長が1km弱あるので普通の体力の人なら休みを取らずに亀浦交差点まで漕げるだろう。

さて、この地図を眺めれば、この先市道がどの方向へ進むか推測できるだろう。
まだまだ序盤戦だ。ここまでを記事の第一幕としよう。

(「市道丸山黒岩小串線【2】」へ続く)

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