市道恩田則貞線【1】

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現地踏査日:2012/6/6
記事編集日:2013/11/20
市街部に暮らす人々にとって買い物や出勤などで日常的に同じ道を通っていても、それが全くの単一路線となっていることは稀である。幹線道路沿いに暮らす人でない限り、家から地元管理の道を出ていくつか市道や県道を継いで目的地に向かうことが多い。
いくつかの経路を継ぐ場合でも出会う道のすべてが十字路というパターンは市街部のごく一部にしか見られない。大抵は本線から派生する単一の横道があり、その形態によっては三叉路や分岐路などと呼ばれる。

市道恩田則貞線も仮にこの路線を日常的に通っている多くの人にとって同様な中継的路線になると思われる。その理由は、枝分かれした部分から先が一つの路線として指定されているからだ。

ここが起点である。
通り慣れた人あるいはこの地域に住まう人は見慣れた風景ながら、殆どの人は場所すら分からないだろう。


起点の位置を示す。上の写真は東に向いて撮影していることになる。


東新川駅前の通りを横断し東に進むとここの分岐にやってくる。
上の写真と同じ向きに分岐点を眺めたとき、2本の道はほぼ同じ角度で分岐している。右の道は今までより幅が狭まり若干登りになっているが、左の分岐は幅は変わらない。それ故に感じとしては左側の道がこれまで走ってきた道の続きで、右側の分岐は別路線に思えるだろう。

実際の路線区分が実際の交通状況や直感に反していることは、市道の路線としては結構ありふれたことである。
市道恩田線恩田八王子線の合流点のように
この分岐点では、それ以前からの道と右へ向かう道が市道名切笹山線という単一路線で、これから向かう市道恩田則貞線はこのV字分岐点が起点となっている。しかし実際の通行状況はこの分岐で左に向かう車の方がずっと多い。そして幼少期は恩田に居住地を持つ自分も同様の経路をたどっていた。

ついでながらもう一つ。
上の地図によれば、起点の存在場所は東新川町か芝中町のいずれかにある。ただ、恩田町はJR宇部線より東側になるので起点が恩田町でないのは確かだ。
本来なら市道東新川則貞線か市道芝中則貞線となるところだ。路線名が現在のようになったのは、起点が延伸された、かつては起点箇所も恩田だった、路線名を分かりやすくするために恩田とした…等々いろいろな理由が考えられる。本当のことは分からない。

まあ理屈はそこまでにして、さっそく市道恩田則貞線を追跡してみよう。

市道名切笹山線の道路規格をそのまま継承し、道幅は1.5車線程度の平坦な直線路が伸びている。
右側のバリケードが見える小道から名切笹山線に戻ることができる


程なくしてJR宇部線踏切に出会う。
別にタイミングを待っていたわけでもないのだが踏切が降り始めた。


しばし待機…


踏切を渡って反対側から撮影している。
市道にありがちなことだが踏切部分で幅が狭くなっている。


市道追跡は確かに起点から辿るのがセオリーだが、元々恩田に居たので振り返った景色の方により親しみを感じる。この市道は遊びにしろ買い物にしろ、私が市街部へ自転車を走らせるときの第一選択経路だった。もっとも近道だし車通りもそう多くはないからだった。この踏切の名前は知らなかったが、踏切より手前側が馴染みの地、踏切の向こう側はマチという感覚があった。
踏切にみられる恩田通を記述するために派生記事を追加した。
派生記事: 恩田通踏切
現在でも沿線の景色はそれほど極端には変わっていない。線路を越えた市街部側は店舗などが目立つし、恩田側は店舗どころか家の密集度も低い。

殆どフラットで直線的な道である。
歩道は付属せず、路側帯が片側に引かれているだけだ。しかし登下校の学生の姿が見えるし車も断続的によく通る。


ここで初めて上位の市道に出会う。
薄く斜めに交わっており、一旦停止の標示があるだけで信号はない。


横切るのは市道宇部新川恩田線で、起点付近は松島通りないしは寿橋通りと呼ばれる区間を含む路線だ。


宇部新川恩田線沿いは対面交通の道で、しかもここから国道190号に出るまでは歩道が皆無という醜悪な区間だ。道路幅が拡がるあてもないまま沿線に店舗が寄り集まったため交通量が増えて危険な状態になっている。

市道恩田則貞線は横断した先で同様の細い道が続いているので見逃す心配はない。しかし何しろ上位市道の交通量が多い上に斜め交差なので車で市道を追跡するなら横切るのは一苦労かも知れない。


この分岐路に合わせて別の道が左から伸びている。
市道清水崎恩田線で、琴芝市民センターに向かって北上する路線である。


交角が小さいのでこの近辺からはまだメインの道が見える。写真には入っていないが、右側に見える空き地は先の宇部新川恩田線にも接している。


右側にやや浅い丘陵部、左端に排水路をみて丘陵部を巻くようにカーブする。



この先で丘陵部に向かう枝道に出会う。


カーブミラーに恩田公会堂の案内が出ている。
いつ設置されたのか分からないがそう昔のことではなさそうだ。


恩田公会堂は私が小学校高学年だった一時期だけに思い出のある場所だ。
同じ恩田でも住んでいる場所が異なるので、公会堂へ行くのにここを通ったことは滅多にない。しかし現在でも市道恩田則貞線が最も恩田公会堂に近い路線なのでここで案内しておく。
派生記事: 恩田公会堂への進入路
昔あった木の案内柱。建っていた場所が舗装されて居場所を失ったのか、コンクリート壁にそのまま置かれていた。もはや殆ど存在をアピールしていないのだが、捨てるわけにもいかず放置されている感じだ。


確かこの柱が公会堂に向かう道の入口に立っていたと思う。
思えばこのような白塗りに黒い文字の木製柱も絶滅危惧種である。かつては街の至る所に様々な用途でたっていたものだった。
「みんなの力でカとハエをなくしよう!」をご存じだろうか…

今までフラットだった市道はこの先で珍しく登り坂と体感できる程度にゆるい坂になる。もっとも自転車で嬉々として街中へ向かう当時の自分からすれば下り坂だ。
この付近の水路は何故か昔から真っ茶色の水を流していて、子供の頃から気になっている。
派生記事: 金気の多い水路


ここから先は地元でありながらあまり縁のない区間で、沿線の景色は殆ど覚えていない。
ただ自転車に跨るだけで距離を稼げる区間だったからだろうか。


ここで市道清水川恩田線がクランク状に横切っている。本路線と数メートルばかり重用し、右側に見える倉の手前を通っている。恩田近辺でもかなり昔からある古道であるが、現在は改変されてしまって昔をとどめる区間が殆どない。
この市道は終点側から辿ることを予定している


市道は一定勾配で登っていく。
前方には既に信号機が見えている。以前からの道路レポートを読んでいらっしゃる方なら、この先はきっと見覚えのある場所のはずだ。

(「市道恩田則貞線【2】」へ続く)

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