市道下条浜通り線・横話

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現地撮影日:2013/11/23
記事公開日:2014/2/26
ここでは、市道下条浜通り線の派生的記事をまとめて掲載している。
本路線の記事も近日公開する予定
《 奇妙な坂 》
本路線の下条寄りに一度自転車で通ってみると「何でここだけ坂なの?」と思えるような場所がある。
写真は終点側から撮影している。


位置図を示す。


上の地図には等高線が現れないので、この道や場所を知っていなければ坂になっていることすら気づけない。[1]実際この場所は本路線における唯一の起伏点となっている。

個人的にはこの道は終点側から通ることが多い。勾配はそれほどきつくはないが、自転車の場合遠くから加速するかギアを落とさなければ一気に登り切るにはかなりの労力が要る。


練積ブロックの天端が路面と一致したところが坂の頂点だ。
このことから高低差は家の一軒分といったところか。


登ったかと思うと家2軒分くらい進むとすぐに下り坂だ。
下り始め地点に右方向からの合流有りの標識が現れる。


左へカーブしながら同じ位の勾配で下っていく。
下った場所の合流地点は結構車の往来があり要注意地点だ。
本路線側に通行優先権がある


この小さな坂道には滑坂という名がついている。[2]車で通ると、まるで道路を造るとき削り取り忘れた残りの道みたいに思える。舗装が新しいからそう思えるのであって、実際には古くからあった坂道なのだろう。


坂道は緩やかな部分を含めても100m程度、高さもそれほどないから車の通行の便を考えるなら起伏部を全部削り取って平坦な切り通しにすれば見通しも良く安全にはなるだろう。しかし家が建った後で前面の道路の高さを変えるというのは基本的に禁じ手である。特別な事情がない限り有り得ない。[3]

下り坂の勾配や長さは上りと殆ど同じで、せっかく稼いだ高度をすべてチャラにしてしまう。それからまた暫く平坦な道が続くのである。
新しい外観の練積ブロックで分かるように、この区間は割と最近拡幅された。


本路線の100m程度南にはメインの道である浜バイパスが通じており、そちらには全く坂がない。この起伏は尾崎から小串台に登っていく県道の尾根の分枝になる。その先端が黄幡公園のある丘陵部にあたる。
車ならまだしも自転車の場合は余計な労力を要する坂になるので、普通なら避けるコースである。しかし実際には自転車で西の方へ向かった帰り道には、浜バイパスと同じ位の頻度でここを通る。浜バイパスの自歩道は歩行者や自転車の往来が多くマイペースで走りづらいこと、途中の小松原通りを横切る場所が歩車分離式信号で余計な待ち時間を要するからだ。
自転車は歩くより速いので信号待ちする位なら遠回りしてでも別の道を通る傾向がある

4年前に撮った滑坂の映像。
このときはまだ道幅が狭く、片側は石積みになっていた。


かつては車の離合も困難だったが、石積みを撤去し後退させて練積ブロックを築き直したので、減速だけですれ違えるようになった。
角にあった太い木が見えなくなっていることから、移植か伐採されたのだろう。

ところで、この坂の名称「滑坂」の読み方が分からない。順当に行けば「すべりざか」だろうが、滑の漢字は地名的には「なめら」「なめり」などの読み方がむしろ多い。小字にも上宇部に「なめら」が存在するし、請川では滑石(なめら石)を加工した石鍋の半製品が出土している。正確な名称や由来が判明次第、出典と共に追記する。[4]
【 記事の誤り訂正について 】
この派生項目は、かつて「滑坂」として掲載されていた。最近、手描き地図を参照することで位置の誤りが判明したので、この派生項目を「奇妙な坂」に変更すると共に、正しい位置を示す滑坂の総括記事を作成した。誤った場所で理解していた原因も記述している。詳細はリンク先を参照されたい。なお、この項目は(画像を外部参照していて現在の記事作成方針に合致しないため)内容の修正や削除を行わずそのままにしている。
《 小串北向地蔵 》
前項の滑坂の東側下にかなり立派な御堂がある。


大理石の石柱に緑青っぽい風合いの屋根。
最近改築されたような感じがする。


内部も新しい。壁には大理石が使われていてかなり丁寧に祀られている印象を受ける。


お地蔵様に向かって唱えるときの言葉が書かれていた。
もちろん私には意味が分からない。
特に「〜そわか」で終わることが多いのにはどんな意味があるのだろう…


この北向地蔵は、かつてこの場所が寂しい場所だった頃には馬の首や足が近くで出てきたので鎮魂のために祀ったとされる。[1]ここから近くに黄幡公園があるが、黄幡は王馬に通じ、農耕や荷物運びに使われた牛馬を祀った社とされる。
《 小串往還道 》
滑坂の東側下、前項の小串北向地蔵尊の反対側に小串往還道を示す木柱が立っている。


史跡 小串往還道とされており、「昔の宇部で一番大事な道だった」という説明書きがある。しかしどういう理由で大切にされていたかまでは説明板がないので、ここで補足しておこう。
現在の藤曲地区が藤山村だった頃、当時の宇部村の中心は上宇部地区にあった。重要な都市間が国道などで結ばれるように、当時の主要な村中心部を連絡する道は頻繁に通行される大事な存在であった。即ち藤山村と上宇部地区で相互に往来するとき、小串往還道が第一選択される道だったのである。

4年前に撮影した同じ場所の写真。
残念ながらこの一枚しかない。当時はこの道自体自転車で通ることも少なかった。


既に石積みは練積ブロックに置き換わっている。この道(市道下条渦田線)は工事中でいずれまた姿を変えるだろう。
《 下条浜通り線を利用するショートカット 》
浜バイパスこと市道北琴芝鍋倉町線は4車線の高規格な道だが、それでもなお需要に対応しきれないほど交通量が多く、また随所に効率の悪い動作をする信号機があるために夕刻のラッシュ時は非常に通りづらい。
公表はされていないが、鍋倉から小羽山方面に進みたいドライバーの間で学習され、頻繁に通行される実態があるショートカットが存在する。

地図に経路を書き込んでいるのでこの図で説明しよう。


藤山交差点から小羽山に向かう最も順当な道のりは赤で示した経路である。幅広の道なのでトラックでも通れるし離合困難な場所で悩む必要はない。
この経路には2箇所のボトルネックが存在する。小松原通りおよび県道琴芝際波線の十字路に対応するA地点B地点で、それぞれ歩車分離式の信号機である。
歩車分離式の信号機は歩行者・自転車専用の青時間が割り当てられているので、どの方向から通る車も青時間は他の信号機に比べて短い。他の信号機との連動性は考慮されてはいるが、それは通常走行時の場合である。夕刻など交通量が多い時間帯は緩行運転状態なので先の交差点へ到達する前に赤に変わってしまう。むしろ一番長く待たされる状態になりがちだ。

通りづらい歩車分離式の信号機を回避する経路として、本路線の終点側から入って県道の途中にでてくるピンク色の経路が頻繁に通行されている。実際、浜バイパスを左折して本路線の終点から進行する車の殆どはこの経路をたどっている。
沼交差点に向かう車は途中から市道西の宮小松原通り線に分岐することが多い

既にみてきたように本路線および市道内唐戸下条線などは道幅がやや狭く見通しも良くない場所が多い。そういう道をかなりの車が通行している。認定市道なので通行することに何の問題もないのだが、元々は生活道路に準じた規格であり、ショートカット目的の車が大挙して押し寄せれば事故は間違いなく増える。

情報以下の記述には個人的見解が含まれます。

このような現象が起きるのも、例えば市道樋ノ口琴芝線の派生記事でも指摘しておいたように、歩車分離式信号機の運用が稚拙だからだ。
浜バイパスと県道交差部の歩車分離式信号機は、多くのサイクルタイムで歩行者や自転車が横断しており貢献度は大きい。特にここで小羽山方面へ左折する車が多く、歩行者を遮断することで左折車はスムーズに進めるメリットがある。この場所の歩車分離式の信号機は変更する必要はないだろう。
しかし(いずれ市道小松原通り線の項目で述べる予定だが市道小松原通り線と浜バイパスの交差部に設置された歩車分離式の信号機は不必要であり、通常タイプの信号に戻すべきである。右左折の巻き込みは県道交差部ほど多くないし、何よりもここで車道向けの青時間を削ることで明白に浜バイパスの流れが悪くなっている。信号で停められると待ち時間が長いが故に、信号の変わり目にアクセルを踏み込み加速して突っ切るドライバーも少なくない。

横断歩道を渡る歩行者や自転車が優先なのは当然であり、左折車が巻き込みを注意して通過すれば済むものである。歩行者が少ないこの場所にわざわざ歩車分離式の信号機を設置する意義が理解できない。幹線道路レベルの重交通路に余計な渋滞を招く稚拙な信号機を放置しているのは、間接的に交通事故の原因を提供しているも同然で、行政の怠慢である。[5]
歩行者や自転車に専用の青時間を分け与えているのだから有り難いように思えて、決してそうではない。通常の信号なら一回のサイクルタイムでかならずどちらかの方向へ進めるのだが、歩車分離式の信号機だと車向けの交通を2度待たなければならない。そして小松原通りを横断するなら僅か十数歩である。そんな短い道路を横断するのに長々と待つ歩行者も少なく、自主的にサッサと渡っている事例が目立つ。自転車なら尚更のことで、少なくとも私はたまたま青信号と重なるタイミングに差し掛からなければ利用しない。待つ位なら遠回りしてでも歩車分離式の信号機でない場所を渡っている。いくら途中のプロセスを重視するスタンスとは言っても、不合理な交通整理で待たされるのはまったく時間の無駄である。先を急ぎはしないが、私ならその無駄な時間を別の用途に割り当てたい。

藤山交差点から小羽山方面へ行く便は私自身も結構多い。その折りにはかならずこのショートカット路を援用している。停止すべき場所は小松原通り線を横切る点滅灯のみで、計測するまでもなく浜バイパスを通るよりずっと早い。
ただし最後に県道で左折して合流するのが難しい場合がある

このルートは無駄な信号待ちを避けたいドライバーの間で学習され頻繁に通行されるようになっている裏道の筆頭格である。そして興味深いことに、浜バイパスがまだ小松原通りまでしか繋がっていなかった平成の初期までも沼交差点に抜ける類似したショートカット路が存在したことが知られている。それは新川小学校の裏手をうねうねと進む細い道だったことだけ覚えている。現在はその道は区画整理事業により失われている。
恐らく初期の市道内唐戸下条線がその路線に該当するのではないかと思われる
【 記事公開後の変化 】
2016年3月末に市道西の宮小松原通り線が小松原通りまで接続され供用開始された。これに伴い本路線と市道西の宮小松原通り線との交差点に本路線側が感応式となるタイプの信号機が設置されてからは、小松原通りに出たところで左折し、市道西の宮小松原通り線の終点で右折する経路を通る車が多くなった。従来の小松原通りを横切って進む経路ではかならず市道西の宮小松原通り線の交差点で長い信号待ちとなるのでショートカットのメリットはない。この信号があるところから市道東小串西小串線を中継する部分は同じである。

小羽山方面から逆方向に走る場合は、県道を下って市道西の宮小松原通り線まで出て右折しそのまま終点まで走るか、途中で信号のある交差点から左折するルートとなる。小松原通りは近年交通量が増え、市道下条浜通り線の経路のように横切る通行が困難になった。この十字路は現在黄と赤の点滅式だが、正規の信号機が設置されるかも知れない。(2018/3/22)
出典および編集追記:

1. 5mラインの記載されている国土地理院地図ではこの場所の起伏を読み取ることができる。

2.「宇部ふるさと歴史散歩」p.34,38

3. 県道琴芝際波線の樋ノ口橋前後は橋を以前より高く架け替えたため橋前後の道路を橋に合わせて擦り付ける必要があった。このため橋に近い建物は道路より低い位置に取り残されている。

4.「緑濱の真砂」(作者不詳)p.2 には滑坂(スメラサカ)という記述がみられる。後年の書籍では「なめらさか」と書かれたものも存在する。

5. この観点から言えば浜バイパスの起点付近、西梶返T字路の一つ西側にある押しボタン式信号機が西梶返T字路と連動していないのは醜悪でラッシュ時の渋滞の遠因となっている。以前から公安に申し入れしているのだが一向に対処される様子ではない。
調査すると明言はされているものの既に一年以上が経過している

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