山口宇部道路【1】

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現地踏査日:2014/5/11
記事公開日:2014/5/26
山口宇部道路と呼ばれるくらいなので、起点は山口市側にある。しかし市街部近くに住む宇部市民なら常に終点に近い側から乗り入れて小郡方面に向かい、起点側から乗って市内に帰ることになる。そして自分自身も自転車や車にかかわらず往路は常に終点側から利用したので、今回のレポートも終点側から実走した流れを記述している。以下は最近行った自転車による時系列レポートである。

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5月の連休は概ね晴天に恵まれ、床波や東岐波方面を2度にわたって訪れた。国道を通ったり海沿いの市道を走ったり適宜コースを変えて走り、それでもなお踏査できていない場所を内陸部にいくつか残していた。具体的には丸尾や岐波からやや入ったところにある溜め池などである。
車なら沢波川を上ったところから入るいわゆる「農免道路」[1]を通るのが順当な選択肢だ。現在でも国道の裏道としての利用は多い。しかし農免道路はアップダウンが多く自転車ではかなりきつい。更に歩道が殆どなく路肩も狭いため常に背後から車のプレッシャーに晒される。あまり通りたくない道だ。

この次の選択肢として思い付いたことがあった。
山口宇部道路を通って行けば良いのでは…
如何にも…そこに道があるのだから利用すれば良いのである。ただし「安泰に利用できるなら」の話だ。

数年前まで山口宇部有料道路として供されていたので、通行可能なのは原付以上で自転車や歩行者は当然通れないと考える人がいても不思議はない。しかし(いずれ総括記事の個人的関わりでも触れるように)中学生の頃、自転車で山口宇部有料道路を通った記憶がある。ブースを通るとき担当者に「ちゃんと左側一列になって走るんだぞ」とだけ言われ、無料で通ることができた。

この辺りの事情は、現在はどうなのだろうか…山口宇部道路は山陽自動車道へ直結する高規格な道路だから、宇部湾岸道路のような自動車専用道路に昇格してしまって自転車通行不可になっているのでは…という懸念があった。
今更であるが、道路レポートは単純にその道を突っ走って終わりではなく周囲に展開される面白い物件や興味深い景色も対象としている。それを具に拾い上げたいなら小刻みかつ不定期な一時停止が効かない自動車は不向きだ。しかし徒歩では長距離は辛いしかったるい。やはりこういうシチュエーションでは自転車の出番なのだ。自転車の通れない道なんてのは純粋に目的地へ到達するための手段に過ぎず道路レポートとしての魅力に薄い。
宇部湾岸道路について記事を書こうという気がまったく起こらない理由がそこにある

自転車で問題なく通れるのか…まずはそこを調べた。そして扱いは終点となっていても宇部市民からすれば入口とも言える大沢西交差点から宇部東I.C.までは一般県道として軽車両も通れるという記述を[2]に見つけることができた。
宇部東I.C.は、市道請川王子線の接続地点で、目的地の丸尾に至るにはちょうど良い場所だ。現在では軽車両と言えば殆どの場合で自転車が該当する。
じゃあ、決まりだ。
後述する市道常盤公園岡ノ辻線とのT字路までは何度か通った経験があるものの、そこから先は自転車では(遙か昔の中学生時代は除外して)未知の世界だ。丸尾方面の踏査がメインディッシュではあるものの、中途プロセスの山口宇部道路の写真を撮りつつ進もう。 何しろ自転車では今後何度も通る道ではないだろうから…

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国道190号大沢西交差点へ来ている。国道と県道が斜めに交わる車通行時代の今も交通の要所である。
大沢西交差点を中心にポイントした地図を掲げる。


大沢西交差点については最初はここに書き付けていたのだが、個人的関わりを書きたくなって分量が多くなりそうな雲行きなので派生記事へ移動した。将来的に国道190号の記事を書いた折にも重複して書かずに済ませる意図もある。交差点の写真を含めて詳しくは以下の記事を。
派生記事: 大沢西交差点
山口宇部道路経由で丸尾方面へ行くだけが目的なら、何も大沢西交差点まで戻ってくる必要はない。まして何度も通っている場所である。しかしここは道路レポート仕様ということで改めて交差点へ移動した後にスタートを切った。
市道常盤駅線を経由して交差点に移動した

陸橋をくぐった先を左へ曲がり、実際は終点なのだが山口宇部道路のスタート地点へ移動する。


交差点を後にすると、その先は4車線の高規格かつ秀麗な直線路となる。
幅広の自歩道も設置されていて自転車も快適に走ることができる。


地下道の末端部分へ来た先にバス停があった。
小郡駅(現在の新山口駅)への便を考慮した快速便が設定されている。


名称は常盤駅入口バス停となっている。
しかし常盤駅へ向かう市道常盤駅線の入口までですら、このバス停から200mくらい離れている。
大沢西バス停の方が良いのでは…あまりにも常盤駅からは遠すぎる


殆ど注目もされていないだろうが、ここの中央分離帯に観光向けの石碑が置かれている。


歓迎
おいでませ
山口へ


交通量の多い道路を渡って中央分離帯で撮影する程の本気度はなかった。ここからズームで観察する限り、大理石の表面を平坦に加工した上で陰刻されているようだ。
石碑が宇部から山口へ向かうとき見える向きに設置されているので、下世話な憶測もすることができる。例えば「宇部市とかそんな観光する名所ないから早々に山口市へおいでませ」とか…^^;

まあ、そこまで卑屈にならず石碑の「おいでませ山口へ」は、山口市ではなく単純に山口県を指すと考えるのが妥当だろう。山口宇部空港を降りてバスを利用するなら、大沢西交差点を直進して山口宇部道路に入るときはじめに見える場所だからだ。そうは言ってもこの道に入る限り宇部を後にして山口方面へ行ってしまうことに変わりはないのだが…

4車線に幅広の自歩道がある道はほぼフラットである。しかし実際にはこの辺りの地形は結構起伏があったようで、丘を削って現在の道を拵えている。堀割の幅がとても広いので昔から平坦だったように思われてしまう。
この丘の上に小さな石の祠がある。


これは割と最近気が付いたもので、別途写真を撮ってきた。
派生記事: 八王子社の祠
その先にはかつての山口宇部有料道路時代から象徴的だったゲートが4車線を跨いで設置されている。


現在は宇部南I.C.を示す標示板のみとなっているが、かつては山口宇部有料道路の横長な表示板が架かっていた。
派生記事: 更新前後の山口宇部道路のゲート
このゲートに寄せて県道山口宇部線を示す新しい表示板が設置された。
さすがにまだピカピカのおNEW!である。
前の写真でも分かるように植え込みのすぐ後ろで車道からは視認しづらい


ここで200m先幅員減少の標識が現れる。


この記事をかく今の段階では自歩道つきの4車線区間はこの先までだ。自転車による道路レポートとしては宇部東I.C.までが可能で、この区間が4車線になるのはずっと先のことだろう。
拡幅される可能性は一応残っている

続いて歩行者・自転車に対する注意喚起の標識だ。
これは新規に建て替えられたものであり、以前は山口道路公社による通行車両関係の白い標識だった。


「ここから6km先が自動車専用道路になる」は、宇部東I.C.までを表している。そこまでは歩行者・自転車・125cc以下の二輪車も通行できることになる。6kmとは自転車でも結構あるなーっと感じる距離だ。

そしてこの先十字路ありの標識が現れる。この辺りは自分にとって有料道路時代から奇特に感じられる場所だった。


高速道路を含む有料道路は他の道路が交わることはなく立体交差となっているのが普通である。他の道路が乗り入れる交差点がある場合、地図などではその部分を有料道路の区間から除外するように記載する。
しかし山口宇部有料道路は大沢西交差点に終点がある。現にかつては交差点から来たとき「山口宇部有料道路」という看板の出たゲートをくぐっていた。そのことで有料道路に入ったと体感する。それでありながらゲートの先に交差点ありの標識を見つけ、信号機まで設置されていることに困惑したものだった。

現在は無料となり県道になったからかそれほどの違和感はない。そして自分自身、床波など自転車で東部に向かうときはしばしば通過する地点である。


ここで横切るのは市道常盤公園江頭線である。既に記事化しているのでリンクで案内する。
派生記事: 市道常盤公園江頭線|山口宇部道路との交点
この場所は交差点も常盤小学校へ降りる道も奇妙な構造になっている。
交差点は山口宇部道路に対して直角に交わるように直前でねじ曲げられている。常盤小学校へ降りる道はまるで歩道の一部のようだ。


実際、今までのペースで自歩道を進むと、強制的にガードレールで仕切られた外側へ追い出されてしまう。
入口に常盤小学校の正門へ至る案内看板が出ている。


この特異な形状のため、校門へ乗り入れるときはいいとして退出するときどの信号機を参照すれば良いのか悩んでしまう。この辺りの事情は以下の記事に写真付きでまとめている。
派生記事: 常盤小学校の入口通路
小学校への進入路と本線はガードレールで仕切られているので、自転車で本線を走りたいなら信号機のある交差点から車道側へ出ておかなければならない。ガードレールに切れ目はなくうっかり進入路側へ入るとまた交差点まで延々と戻って来なければならない。

敢えてガードレールの車道側へ移動する。
初めてではないがここを走ることは今までの自転車歴でもそれほど多くない。元々が有料道路で枝道がないので行き先の選択肢が限られるからだ。


交差点を過ぎると本線の方も進入路ほどではないが若干の下り坂になる。
進行方向右側に見える鳥居は八王子神社である。


寺院・仏閣関連は記事化しないのが基本だったのだが、今年の正月三が日を過ぎて撮影に訪れたときたまたま地元の方がいらして聞き取りを行うことができた。なかなか面白い話があったので一本記事を予定している。
派生記事: 八王子神社
(記事が書き上がり次第リンクで案内します)

常盤小学校への進入路が大きく下る場所の横に電光掲示板が設置されている。これは有料道路時代からのものだ。


面白いことにこの電光掲示板は遠くからだとよく視認できるのに、すぐ近くだとこんな感じで文字がプツプツと途切れてとても読みづらい。
元々、本線を走るドライバーに注意喚起するものなので遠くから見てちょうど正しく読み取れるようになっている。


八王子神社を見送ると、本線はいよいよ山の中に入っていく。
道路脇に松の木があった。今となっては本当に少なくなった気がする。
宇部市を象徴する樹木と言ったらやっぱり松の木は外せないと思う


有料道路時代の初期は確かにこのまま山の中へ向かい、先の常盤小学校入口の交差点が最後のもので、ここから先は本当に有料道路らしい一本道状態だった。
しかし現在はもう違う。チケットの発券や料金収納を行うブースが北へ移動してからは、いくつかの市道が接続されている。とりわけこの先にある平成期に造られたT字路は利用価値が高く、通ったことがある方もいらっしゃることだろう。

(「山口宇部道路【2】」へ続く)
出典および編集追記:

1. 農免道路として宇部市民に知られるその道は現在は認定市道(山村上の原大田線)となっているので厳密には農免道路ではない。しかし現在でも農免道路としての知名度が高いので本編でも市道名ではなく農免道路と記述している。

2.「Wikipedia - 山口宇部道路|概要

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