恩田運動公園・俵田翁記念体育館

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記事作成日:2015/11/23
最終編集日:2020/1/27
俵田翁記念体育館は恩田町4丁目の恩田運動公園にある広大な公営体育館で、市民などにはしばしば俵田体育館と呼ばれている。
写真は陸上競技場横から撮影した正面の映像。
後述するように以下の写真は2018年から行われた改修工事以前の撮影である


現在使われている一般向けの入口をポイントした位置図を示す。


俵田翁記念体育館(以下「体育館」と略記))は恩田運動公園内にあり、現在は陸上競技場や他の施設と同様に指定管理者(市体育協会グループ)が管理している。市のホームページに陸上競技場の案内が載っている。[a1]利用可能な種目や体育館の使用申し込みなどについては同サイトを参照されたい。
《 概要 》
体育館は昭和34年に宇部興産(株)の創立60周年記念として当時の金額で1億6千万円の寄付により完成した。[a2]完成後に宇部市に寄贈され市の管理施設となっている。
1階ロビーには宇部興産(株)初代社長俵田明氏を顕彰する銅像が置かれている。


体育館は重厚なコンクリート構造物で、現在でも市内最大の体育関連施設である。その広さから市内で開催される公式戦の会場となり、大勢の観客を動員したイベント向きの観覧席の形態からレスリングの興業などにも使われたことがある。また、市内で行われる各種投票において最終集計を行う場ともなっている。

2011年に山口県で国体が開催されたときは球技関連の試合会場となった。国体開催に先立ちシャワー室の追加設置やトイレの改修などが行われ設備は向上したが、その後国体の開会まで体育館が出場選手専用の強化拠点となり一般の利用ができなくなった。このためインドアスポーツ活動を行うクラブは他に練習の場を求めなければならなくなり、館内活動を行うクラブ全般において市内および近隣地区のコート予約が取りづらくなる影響があった。
本件については後述の「個人的関わり」において批判的に詳述している

予約申し込みは本館1階にある事務所で行っていたが、現在では指定管理者制度により市体育協会グループの管理となっている。館内施設の予約申し込みは、宇部市野球場(UPRスタジアム)の1階にある事務所で受け付けている。後述するように2018年度から始まった耐震改修工事のため向こう2年間の利用ができないことが表明されていたが、工期であった2019年度末より若干早い1月に工事が終了し現在は利用可能となっている。
《 館内 》
航空映像を見ても分かるように体育館はほぼ正方形で、一般に供される空間としては競技を行うアリーナ部分と、ロビー上に造られた観覧席がある。
写真は館内に掲示されている配置図。


正面エントランスは大会など大人数が出入りするときのみ用いられ、通常は施錠されていて配置図のある事務室前のみが出入口となる。側面にも出入口があるが、殆ど常に施錠されている。
【 1階 】
正方形の空間にコの字方の通路兼ロビーを配置し、アリーナとは扉で仕切られている。通常の出入りは事務室の前を通る。指定管理者制度以前は事務室に管理人が常駐し、窓口で予約を確認したり使用料を支払ったりしていた。


ロビーは部分的に玉石を埋め込んだスタイルで、かなり広い空間である。天井は上層の観覧席構造がそのまま見えている。壁や柱の造りは頑丈で、建築素材の調達に強みのあった企業色が垣間見える。


俵田明氏の胸像はロビー正面付近に据えられている。また、幼児が遊ぶことのできるスペースが自動販売機エリア近くに追加設置された。

外周通路の外側はレンガの壁となっている。
このレンガ構造が当初からあったのか国体開催時の改修かは調査を要する。


アリーナは段差のない完全平坦構造でどの競技を行うにもコート外に充分な余裕がある。バスケットのゴールポストも使われないときはアリーナの外周へ寄せれば他の競技を行うのに支障はない。

奥に一段高くなったステージがあり、この空間はスポーツ関連では卓球に使われている。演劇や卒業式を行う目的でステージには横開きの幕が設置されているが、通常は両側に畳まれている。上部には市章の入った幕がみられる。


ステージ両袖の壁は、成形された壁材に斜めの補強材が入った独特なデザインとなっている。

これらと共に俵田体育館の象徴とも言えるのが、両袖の壁に掛けられたアナログ時計盤である。


改修工事後もこの時計盤は壁面に貼られた他の掲示物と同様、手を加えられることなく温存されている。
【 観覧席 】
2階観覧席は外周部の真上に造られ、スポーツのみならずレスリングなどの興業を行うのにも適した構造となっている。
アリーナはバドミントンコートで8面相当の広さを持ち、前面の一段高くなっているステージは卓球台を8台程度同時進行可能な広さがある。


観覧席部分は吹き抜け構造となっていてアリーナからは実質的に3階建て程度の高さがある。このため天井の高さや照明に影響を受ける競技には極めて好適な環境である。他方、館内の空間が極めて広大であるが故に改修工事前は冬場になると屋外並みに寒かった。

ステージの真反対側2階には投影関連の設備も備わっている。
ただし実際に使われているのを見たことがない


正面玄関のみならず外から2階の観覧席へ直接往来できる階段があり、初期は入退出が可能となっていた。
一連の階段は比較的早期に閉鎖され、階段の手前から立入禁止になっていた。


些か過剰気味に思えるこの出入口の設計は、大人数が集うスポーツイベントや興業を想定していたものと思われる。
【 地階 】
公開されていないが体育館には地下室があり、現在は投票時に用いる投票箱などを格納する倉庫のように使われている模様。
《 屋外 》
体育館は恩田運動公園全体のうちで北の端に位置し、隣接する陸上競技場の外周路との間に柵はなく一体化している。ここでは体育館近辺にある目立ったものをまとめている。
【 前庭 】
体育館正面の前庭には象徴的な若者の像がある。
この銅像も俵田翁の寄贈である。


現在ではこの他に彫刻も据えられているが、最初期はこの銅像のみだった。
【 駐車場 】
かつて建物と市道の間や体育館の裏側の余剰地しか車を停める場所がなかったが、平成10年代に体育館前の公園を一部削って車80台程度が停められる駐車場ができた。平成25年頃にはEV車対応のスタンドも追加設置されている。


この駐車スペースは午後10時15分には施錠されることになっている。

駐車場と前庭の端は、プラタナス並木から続く幅広いアスファルト舗装路でプールから隔てられている。
舗装路は国道190号側にある出入口と同様、四輪の通行はできなくなっている。


前面を市道恩田野中線が通っており、本体育館の前までは対面交通の道として整備されている。体育館より北側は昔のままの狭い道になっているのは、体育館建設に伴い重車両が通れるように拡げられたためと考えられる。[a3]駐車場には陸上競技場の本部席前を通る市道野原線からもアクセスできる。
【 その他 】
体育館横、陸上競技場に近い側の余剰地に国鉄時代の貨物車の上部が置かれている。


倉庫代わりに使われているようだが、何処の管理になるのか分かっていない。
《 近年の変化 》
・2018年4月より老朽化した俵田体育館の改修工事が始まった。耐震補強がメインであるが老朽化した部材などの取り替えも行われる。工期は向こう2年間が予定されていてその間は当該施設の利用ができない。[a4]詳細は以下の継続記事を参照。
時系列記事: 俵田翁記念体育館・改修工事
工事期間中は閉鎖されることが公表されていたため、着工前の3月下旬に内部と外装を2度に渡って撮影した。本総括記事に載せた多くの写真はそのときのものを援用している。したがってこの総括記事に掲載されている写真の一部は現在のものとは異なっている。すべて差し替えるのは大変なため、リニューアル後の変化部分のみ別の記事でまとめる予定。

・2019年12月中旬に現地を訪れ、改修工事関係者より当初の予定(2020年3月末)より早く改修工事完了のメドがたち、2020年1月の連休にこけら落としとして大会が開催される情報を得た。その後一般公開され利用できるようになる予定である。なお、現地は既に体育館周囲のフェンスが取り除かれ一部で内部が窺える状態になっている。

・2020年1月11日に俵田翁記念体育館のリニューアル企画としてVリーグの大会が開催された。[a6]連休を利用して開催されたイベントであり、連休後から一般の体育館利用も再開されている。

・同年1月23日にリニューアルした体育館の外装とアリーナ以外の内部を撮影した。撮影時には利用者がなくアリーナは真っ暗だったため撮影していない。3日後の夜にたまたまバドクラブの開催があったためこのとき一利用者としてアリーナの改修箇所を詳細に撮影している。
出典および編集追記:

a1.「宇部市|俵田翁記念体育館
Wikipedia - 恩田運動公園|俵田翁記念体育館

a2.「宇部ふるさと歴史散歩」p.89

a3.「FBページ|2016/7/6および「FB|2016/7/6のタイムラインFBページ|2015/9/23を参照。
ただし、最近前面道路が昔のままなのに俵田体育館の屋根が写っている昭和30年代の航空映像が見つかり、この説について疑義が差し挟まれている。例えば「1961/1/22(昭36)宇部市広域航空映像を参照。この航空映像を拡大すると、昭和34年竣工の体育館は当然写っているのだが、野球場前の道は昔と変わらない細い道である。また、産業道路を経由して搬入するために新造されたと考えられていた市道清水川競技場線はまだ線形自体が存在していない。このことから、体育館の建設資材を運んだ重車両は当時の産業道路から一旦恩田交差点まで出て現在の国道190号を西に走り、陸上競技場入口三差路から現在は締め切られている陸上競技場とプールの間を通っていたのではないかと考えられる。(2018/6/10)

a4.「宇部市|体育施設臨時休館情報

a5.「Wikipedia - 国民体育大会|批判と問題

a6.「宇部市|2019-20 V.LEAGUE DIVISION1 WOMEN V・ファイナルステージ チャレンジ4 開催
《 個人的関わり 》
学童期と社会人になってからの関わりが多い。以下、時期を分けて記述している。

注意以下には長文に及ぶ個人的関わりが記述されています。レイアウト保持のため既定で非表示にしています。お読みいただくには「閲覧する」ボタンを押してください。

2020年1月26日の夜7〜9時にバドミントンで久し振りに利用した。体育館のリニューアルより1週間程度後のことでありバドミントン自体年明け早々の激震もあってこれで2回目だった。試合を愉しむ前に照明の点いたアリーナを点検し改修部分を撮影して回った。

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